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第20話 勇者選抜

 闘技場内であの極悪非道と恐れられていたフランメンが頭から血を流して倒れている。

 原因は銃夜の放った弾丸だ。


 エターナルライフル(スナイパー)の銃口からは湯気が出ている。


 刹那の沈黙が続く。


 しばらくすると、ぼーっと立ち尽くしている銃夜のもとに上からフリューゲルが降りてきた。


「貴様、何者だ?」


 上から目線でフリューゲルは銃夜に問う。


「俺か?お前こそ誰だよ」


 アイリスが横からフリューゲルに聞こえないように銃夜に耳打ちする。


「バカ!こいつ、フリューゲルだよ!」


「ますます誰だ?」


「この国最強の騎士団。魂の守護者ゼーレンヴェヒターの団長だよ。ほら、ルーナが入った騎士団の」


「なんか強そうだな」


「強いなんてものじゃないよ。こいつだけは次元が違う。最年少の剣聖で魔族討伐数もヘリルス最多で、次期勇者候補にもなっている。文字通りバケモンだよ」


 フリューゲルは「ゴホッゴホッ」と咳払いをしてこの会話の路線を戻そうとした。


「改めてだが、貴様の持っている武器はなんだ?みたところ飛び道具のようだが……」


「そうだな、銃って言って鉄の塊を発射させる。それと、俺からもいいか?そんな最強様が俺になんの用だ?」


「用などない。が、あのフランメンを一撃で殺すやつがどんな奴かと思っただけだ」


「逮捕か?」


「いいや、やつは元々処刑するつもりだった手間が省けて助かるよ。それと、ジューヤと言ったな。どうだ?勇者を目指してみるというのは?」


「……けるなよ」


 銃夜は拳に力を込める。

 そして、フリューゲルの顔面に向かって拳をふるった。

 どうやら言葉より行動が先に出てしまったらしい。


 が、フリューゲルは自分の顔面に当たる直前で銃夜の拳を防いだ。


「ふざけんじゃねぇよ!!そんな最強なら、そんな社会的地位を獲得していながら、どうして、ルーナの出場を止めなかった?止めてやれなかったんだよ!!」


 冷静さを忘れ怒り狂った銃夜に対し、フリューゲルは冷静に対処する。


「その問の答えだがこれは俺が設定した対戦カードだからだ」


「てめぇ、ますます最低だな。……そして、今決めたぜ。さっきの質問の答えはYesだ。どうやらお前も勇者候補らしいな。俺がこの国の勇者になってお前を完全否定するっ!!!」


「そうか、どちらにせよ国にはプラスの良い話だ。より強いやつが勇者になったほうがいい」


 そう言ってフリューゲルは着ていた衣服をバサッとして銃夜に背を向け去っていった。


 ◇


 その後、観客達も興が冷めたのか一斉に解散する。

 銃夜とアイリスも去っていく客に便乗して、闘技場を出た。

 闘技場を出る際、客達からも「フランメン、あまりにも残酷だ」などと、批判の声が殺到していた。

 そして、フリューゲルの部下がフランメンの遺体を回収し、ルーナの手当にあたった。


 一方、銃夜とアイリスはロワ区の冒険者ギルドを訪れていた。

 なぜなら、勇者選抜の説明を受けるためである。どうやら、ヘリルス最内区であるロワ区の受付嬢から勇者候補を申請できるらしい。


 一応、誰でも申請はできるようだが、条件が厳しいので、周りの冒険者達に笑いものにされる。


 さて、肝心の条件だが、まず、A+以上のクエストをそれぞれ三回クリアすること(パーティークリア可)※パーティーは最大四人まで組むことができる。


 そういえば言ってなかったが、クエストランクは次の通りだ。


 SSS>SS>S >A+>A>B>C>D>E


 と、こんな感じで、難易度が上がってくる。

 銃夜が倒したサーペントはA+の難易度にあたる。

 スライムとかゴブリンとかいわゆる雑魚モンスターはDかCで、採取系のクエストはだいたいEだ。

 また、難易度はS、SSは魔族がほとんど。フリューゲルはこの辺のモンスターに余裕で勝てる程の実力をもっている。


 そして、難易度SSSは未だクエストボードにすら貼られたことはない。

 最早、都市伝説レベルで、あくまでもいるだろうという予想にすぎない。


 A+以上のクエストを三つクリアすると、勇者候補者達が国の中から三人選び、パーティーを結成する。

 そのパーティー同士、四対四のバトルをトーナメント式で行う。


 そして、見事勝ち残った四人が勇者パーティーとして、魔王討伐任務を受けることが可能となる。


 ざっとこんな感じの説明を受けた。

 若干受付嬢に笑われていた気もするが多分、ギルドカードに記載されている実績が少ないからだろう。


 四対四のバトルトーナメントが開催されるまで残り三ヶ月しかない。

 ギリギリの戦いを強いられそうだ。


 時間がないので早速ロワ区の冒険者ギルドで銃夜とアイリスは作戦会議を行う。


「さて、アイリス。A+のクエストをクリアするにあたってパーティーが必要だと思うんだが……」


「そうだな」


 アイリスは腕を組む。


「パーティーが必要だと思うんだが……」


「そうだな」


「アイリス、パーティーが必要だと思うんだが……」


「そうだなぁ!!何回言うんだよっ!!私はやらないよっ!!弱いし!!」


 ドヤッ


「はぁ〜。どうしよ」


 皇銃夜、ここで絶界の壁にぶち当たる。

 パーティーを組む人がいないという壁に。


「どうしよ……」


「さっきまで『絶対勇者になっている』って感じだったのにいつからネガティブキャラになったんだよ?それに、ジューヤ。お前そこそこ強いんだし一人でA+クエストなんざクリアできるんじゃないか?」


「正直、俺もそう思っている。だが、しかぁーし!!俺はその先の話をしてるんだ!!この三回のA+のクエストを受ける過程でパーティーメンバーとも仲良くなれたり、連携をとれたり、背中を預け合ったり、そぉーゆーことをしないと後々の四対四のトーナメント戦で上手く戦えなくなるだろっ!!」


「うっ……確かに……でも、私は無理、戦闘員としては絶対に向いてないから!!」


「じゃあぁどうやって見つけりゃあいいんだよぉー!!」


 などと、騒いでいると銃夜は肩をトントンと叩かれた。

 騒ぎすぎたので苦情かと思ってゆっくり後を振り返る。


 が、実際はそんなんじゃなかった。


 そこに立っていたのは、女の子で、金髪のゆるふわウェーブで髪の毛が背中まで伸びていた。

 白い帽子を被っていて、白い肩マントを羽織っている。

 そして、現代の丸メガネのようなものもかけていて、魔法使いだろうか片手に先端に水晶のような物が付いている杖を持っていた。


「すいません。騒ぎ過ぎました。以後気をつけます」


 丁寧に、頭を下げさっさと終わらせようとする。

 だが、


「あのー、そうじゃなくてですね。パーティーを作るみたいな話が聞こえてきて、私もそのパーティーに入りたいなーみたいなそんな感じなんですね。はい」


 一目見ただけでわかる彼女は真面目。第一印象がそれだった。

 クラス内では張り切って委員長なんかやるんだなきっと。


(いや、ちょっとまてこいつ今、なんて言った?パーティーに入りたいとかなんとか言ってなかったか?)


「あのー聞いてます?ここのパーティーに入りたいなのです」


 どうやら聞き間違いや勘違いなどではなく彼女は純粋に銃夜のパーティーに入りたいらしい。

 そのことを耳に留め、銃夜は笑顔になり、彼女を歓迎し始めた。


「ようこそー。ちょーど募集してたんですよ。ささっどうぞどうぞここにおかけください」


「は、はぁ」


 なにかの悪徳セールスマンのような立ち振る舞いを見せ、椅子に座るように促す。


「俺は皇銃夜。このパーティーのリーダー的存在。そして、こっちはアイリス。パーティーには入っていない。まぁ、言うなれば友達で薬師やってるやつです」


「私はフリーデン。私もちょうどパーティーを作ろうか入ろうか迷っていたところだったのでとてもタイムリーです。よろしくお願いします」


 そして、銃夜はフリーデンにパーティーの目的を話す。

 勇者選抜の話だ。


「いいですね。私も協力させてください」


「お、おう」


(やけに素直というか、詐欺とかにあってそう)


 アイリスが銃夜に小声で耳打ちをする。


「ていうか。大丈夫なの?」


「何が?」


「だーかーらー。勇者選抜のパーティーを探してるんだよなこれ。フリーデンの戦闘能力とか図らなくていいのか?ってこと」


「まぁ、いいだろ。こっちの世界に来て大体わかったが、銃がこの世界だと強すぎる。実際俺一人で事足りる。ぶっちゃけいるだけでいい。形みたいなもんだよ」


「いいのかな〜?」


「あの?お二人で何を話しているのでしょう?」


 フリーデンが話を割って入ってくる。


「いや、なんでもない」


「そうですか?では、早速A+のクエストを受けに行きましょう!」


「そうだね。早くしないと期間が終了してしまいそうだし。それじゃあアイリス、お留守番よろしく」


「ああ、行っておいで」


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