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第16話 弔い

 シャイナーを深々とした穴から助けた後ルイーゼは銃夜に話しかけに行く。


「君達は、いや、君はいったい何者なんだい?」


「俺は皇銃夜。ルイーゼだったか?同じ冒険者ならまた、会うかもしれないな。よろしく」


 ルイーゼは一歩引いた態度で、


「いやいやいや、名前を聞いているのではなくて、まぁ名前もそうだが私が尋ねているのはその武器、その魔法の威力だ」


「いやーなんというか生まれつき魔力が異常にあるらしくてですね。そして、これはエターナルライフルと言って銃なんですね」


「銃という武器は初めて聞いたが……」


 急にルイーゼは険しい表情をし、


「そんな強力なら、もっと早く到着してろよっ!何人もの命が犠牲になったと思っているのだっ!私の冒険者仲間も死んだっ!村の人達も死んだっ!どうして到着が遅れたのだっ!」


 と、怒鳴った。


 それに対して銃夜は、


「ああ、それは本当にすまない。俺の心の弱さが原因だ。自分の強さに気づけなかったのもある。しかし、克服できた。もし、心の弱さを克服できていなかったら、戦場には出れなかったと思う。自分で言うのはどうかと思うが、俺があのまま心が折れていたら、もっと被害が出ていたと思う。そして―――」


 と、ルイーゼを指し、


「あんたも死んでいたと思う。」


 ルイーゼは反論する。


「ふっざけんじゃないわよ。私の命など―――」


 ルイーゼの言葉を遮るように、


「どうでも言ってか?」


「くっ…ああそうだっ!どうでもいいんだよっ!死んでいった仲間達のほうがずっと優秀だった。私よりずっと価値のある命だったのだっ!では、なぜ私なのだ。どうして、私を一人にしたんだ?いっそのことあのままゾンビ共に殺されていれば良かった。この命は無意味に生き残ってしまったのだ」


「無意味なんかじゃねぇ。死んでいった仲間達のお陰で今のお前はここにいるわけなんだろ?巡り巡って受け継がれてきた命なわけなんだろ?それはもうお前一人だけの命じゃねんだよ。俺がさっき言った『あんたも死んでいたと思う。』って発言はお前一人に向けた言葉じゃない。あんたも仲間はあんたの記憶として心の中で生き続けなければならない。これからもお前の命の重みは増え続けるだろうがくれぐれも命を軽んじるんじゃねぇぞ」


 ルイーゼは口から血を流すほど「くっ……」と歯を食いしばり涙を堪えた。


 銃夜はルイーゼの肩をトンとたたきその場を去る。


 次に、銃夜達は崩壊してしまった村の様子を見に行く。


「ちっ」


 と、アドルフは舌打ちをする。続けて、

「ひでぇ有様だな」


 村は真っ暗な静寂を告げていた。

 家などはほとんどが潰されていて、道なんかもズタズタに荒らされている。

 冒険者達以外の村人達の気配がしない。

 全滅してしまったのだろうか。


 その時、一人の冒険者が声を上げる。


「おいっ!こっちにまだ生きている人がいるぞっー!」


 銃夜達は声がした方向に走っていく。

 見覚えがある。ほとんど崩壊してしまった村でも銃夜にはしっかりと記憶されている。

 そこは、村の村長ラウルが住んでいた家だった。

 どうやらラウルさんは家の下に穴を掘ってそこに子供達と隠れていたらしい。

 第一発見者の冒険者はラウルと他五名の子供を穴の奥から救出した。


 そして、銃夜がその元へたどり着く。


「ラウルさん。無事だったんですね」


「おお、ジューヤでないか。じゃが、ここにいる五人の子供達とワシ以外はもう……」


 と悲しげな表情をする。

 五人の子どもたちはみんな泣き叫んでいた。


「ラウルさんヘリルスに来るのはどうです?」


 ラウルは少し考える。が、


「いや、ワシらだけでこの場所で再びやり直すとするよ。お気遣いどうもありがとう」


「で、でもいいんですか?」


「いいんじゃそれに―――」


 ラウルは手で輪っかを作って自分の目でその輪っかを覗く。


「ちゃんと()()()おる。ワシらが、幸せになる未来がな」


 やはり、このじいさんは何か見えているようだ。


「わかりました。ラウルさんがそういうのであれば。また、なんかあったら言ってくださいね」


「うむ」


 ラウルの表情は少し明るくなったような気がした。


 そして、銃夜達冒険者はヘリルスへと戻った。

 シャイナーは一旦シャル区の冒険者ギルドに戻る。

 そして、銃夜、アドルフはダガー区の冒険者ギルドに戻ると色んな人に称賛された。

 中でも受付嬢達は「ええ!?」という表情とともに、

「あの滅多にない緊急クエストをまさか無傷で!?」や「前回のゾンビ討伐は一晩はかかっていたのに」など「すごすぎる」という言葉でいっぱいだ。


「いっやー」と照れながら報酬を受付嬢から受け取る。


 例の報酬。ゾンビ一体に対して金貨一枚という最早嘘なのではないかと疑ってしまうほど割に合わない報酬金額。


「ゴクリ……」


 銃夜は唾を飲み込む。


 受付嬢は茶色の布で包んだ布袋を銃夜に渡す。


「中に報酬金が入っていますので」


 おそるおそるその布袋を開けると、銃夜の視界は黄金で包まれた。


「う、うわー本当に金貨じゃん」


「はい、ゾンビ一体討伐とクエストクリア報酬金の合計で金貨120枚ですね」


「ひゃ、120?き、聞き間違いかな?120と聞こえたんだけど?」


 銃夜は信じられないご様子。

 ちなみに金貨一枚は日本円で1万円ぐらいだから120万円くらい。


 ちなみに


 鉄貨=10円

 銅貨=100円

 銀貨=1000円

 金貨=10000円


 日本円にするとこのくらいだ。


「無一文から一生暮らせていけそうな額が手に入った。もう笑いが止まらねぇな」


「おい、ジューヤ。一体全体その金貨何に使うんだ?」


 と、アドルフが聞く。


 そして、さっきまで笑いが止まらなかった銃夜は急に我に返ったような冷静な顔をして、

「それはもちろん死んでいった冒険者達なかま達の墓を立ててやるのさ。弔いだよ。バヘ村に習ってね」


 と、目を細め、悲しそうにつぶやいた。






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