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第12話 ギルドへようこそ!

 即席パーティーが解散した直後、銃夜は一人冒険者ギルドを探していた。

 ヘリルス王国は西洋のような街並みで王様が住んでいる城が街の中心にあり、その中心から円状に広がるようにして街が出来上がっている。

 どうやら円の外側に行けば行くほど街の発展が遅れているようだった。

 家はレンガでできていてほとんどが一軒家だ。

 マンションだのアパートだのなんてのは存在していない。が、宿はある。

 今銃夜がいる場所は一番外側にあるダガー区という場所だ。

 それぞれ区という区切りがあり、それぞれの区に冒険者ギルドがあるらしい。

 例によって区をまたぐ時はギルドカードや身分証の提示が必須ということ。


 銃夜の視界に大きく『冒険者ギルド』と書かれた看板が目に入る。


「ここか」


 冒険者ギルドの外見は真っ白なレンガで、柱や骨組は茶色の木造でできている。

 外には木の板に『冒険者ギルド』と大きく目立つように黒い墨と筆で習字のように書かれてあった。

 その板はドアの直ぐ側に立てかけてある。

 ドアは喫茶店のような明るい木材が使われていて錆びてしまった金色のドアノブとドアを開けるとチリンと鳴るベルが付いていた。

 銃夜はドアノブに手を当てる。錆びているのでザラザラとした感触が手に残った。

 そのままドアノブをひねり、奥に向かってドアを押す。


「あれ?あかない」


 どうやら引き戸だったようだ。

「ゴホン」と銃夜は仕切り直してドアノブを自分の手前側に持ってくる。

 チリンと、ベルの金属音が辺りに鳴り響いた。


 奥の方から「いらっしゃいませー」と女性の声がした。

 受付嬢だろうか。


 冒険者ギルドの中はほとんど木造で、火が放たれたら一瞬で燃え尽きてしまいそうな感じだ。

 二階建て建築で一階はクエスト受信や受付で二階は宿になっており冒険者達の疲れを癒やす場となっている。

 銃夜は入り口から続いている大きなレッドカーペットを進んでいく。

 レッドカーペットは金色の装飾が入った少しおしゃれなカーペット。

 クエストをクリアした猛者達がぞろぞろとやってくるので土や泥などで少し汚れている。


 さて、そんなレッドカーペットを躊躇ちゅうちょなくずかずかと進んでいく銃夜だが、周りを見渡すと最外区なのに大勢の冒険者でごった返していた。

 なかには「見ねー顔だな」や「新入りか?」などというあるある的な話題が早速展開されている。

 そして、先程の声の主受付嬢の所までやってきた。

 受付は外壁と同じような真っ白なレンガで作られていて、受付嬢と客の間にはガラスのような薄い透明な膜がある。

 コロナ禍にコンビニとかにあった飛沫防止のようなものだ。


「いらっしゃいませー。要件をお聞きします。」


 と、可愛らしい金髪のポニテのお姉さんが接客してくれた。

 危うく銃夜のハートを持ってかれそうになる。

 が、ここはぐっとこらえて再び小枝で作ったギルドカードを受付嬢に見せる。


「ギルカの更新をしたいと思いまして」


 受付嬢は接客するような笑顔を見せ、


「更新ですねわかりました。」


 と言って受付の奥の方へと姿を消した。

 受付嬢、再び参上。今度は黒髪のきれいな子だった。さっきよりもお姉さん属性がましている。

 その受付嬢はカメラと一枚の紙、ボールペンを持っている。

 紙とボールペンを銃夜に渡した。


「こちらにお名前を書いてください。」


「わかりました」


 銃夜はボールペンを走らせる。

 そして、受付嬢に提出。

 今度は受付嬢が持っていたカメラでパシャリと銃夜の顔写真を一枚激写。

 受付嬢は紙とカメラを持って再び受付の奥の方へと消えていった。


 今度は、最初に接客してくれた金髪ポニテの受付嬢が出てきて、


「こちらがジューヤ様のギルドカードになります。」


 と、ぴかぴかの新品の今度は正真正銘のギルドカードが手に入った。


 ギルドカードの内容は銃夜の鑑定スキルを使った時とは変わらないが免許証のような顔写真付きで鑑定スキルの概念が具現化されたような厚みを感じた。

 男ならこうゆうのライセンスには憧れるものである。


「あのーすいません。クエストはどこで受ければ良いのでしょうか?」


 と、銃夜は受付嬢に対しやや腰の低くい話し方をする。


 受付嬢は、


「あちらのボードに紙が貼ってあるのがクエストです。

 あの紙を持って受付にきてもらえればクエストの受信が完了になります。

 難しいクエストなどもありますのでパーティーを組む事をおすすめします。」


 と、優しい受け答え。ここの店の評価は☆4以上はついているだろう。


「わかりました!ありがとうございます!」


 受付嬢は「では」と言って、仕事に戻る。


 とりあえず銃夜は『クエスト』というのが気になるので、「では、早速」と銃夜はボードのそばに寄ってみる。

 だいたい、『薬草収集』や『スライム討伐』といったどれも大したクエストがない。

 そんな中、大きな一枚のクエストを発見した。

 紙には赤文字で『高難易度』と書かれてある。


「どれどれ」と、銃夜は興味津々のご様子。


 クエスト名は『最大級!?全長10mのサーペント!!』らしい。

 クエスト難易度A+


(難易度A+だったのか)


「おいおい」という感じで銃夜は見て見ぬふりをした。

 そのうち巨大サーペントが討伐されていることに気づくだろうとほっとくことにした。


 エターナルライフルを片手に銃夜は再度、クエストボードを見て周る。


 そうするとさっきまで噂していた人達が銃夜に興味を示し、寄ってきた。


「おい、おめぇー見ねー武器もってんな。」


 銃夜の後方から男の声がした。

 振り向く前でもわかる。銃夜より遥かに背丈が高いことに。

 これから何をされるかわからない恐怖と戦いながら、銃夜は思い切って振り向くことにした。

 そこにいたのはガチガチでトゲトゲの鉄の防具を身に纏っていて左目には黒色の眼帯をしたスキンヘッドの大男だった。


 震えながら、「お前こそ誰だよ」と、言ってみる。


「はっ俺か?」親指を自分に向け、「俺はこのダガー区の武器職人アドルフだっ!」


 と、大男は盛大に自己紹介をする。

 案外常識人なのかもしれない。


「俺は銃夜だ。で、なんのようだ?」


「見たことねー武器を装備したルーキーがいるって聞いてよ」


「なんだ、興味あんのか?この武器に?」


「あー、さっきも言ったが武器職人だ。そりゃあ気にもなるね」


「へぇー武器職人なのに随分と装備がガチガチだな。それに、ここは冒険者ギルドだぜ。武器職人なんかが来る場所じゃあねぇはずだ」


「ふん、俺はこれでも昔は冒険者だったんでぇ。今でも時々クエストを受けに来る。そのついでだって時になんか妙な武器を装備してると聞いてよぉ」


「ふっ、納得。銃だ。見るがいい」


 銃夜は自慢の銃に興味を示してくれて満更でもない様子。


「ほらよっ」と、銃夜はエターナルライフルをアドルフに投げる。


「おっとっと」


 アドルフはエターナルライフルを見るやいなや、「こりゃなんでー?剣でも斧でもねぇーどうやって攻撃すんだー?」


「そうだなー見せてやるっ!表に出ろっ!」


 銃夜達は一旦ヘリルス王国の門をくぐり、壁外へ出る。

 町中では少し目立ってしまうためである。

 草原のちょっとした丘とターゲットの岩を見つけたのでここに決めた。


「この辺ならいいだろう」と、銃夜はエターナルライフルを片手に持つ。


 アドルフは「なんだなんだ」と興味津々だ。


「よく見とけよー」と、銃夜はエターナルライフルの引き金に手を置く。

 風が止んだ。

 次の瞬間、エターナルライフルの銃口から火花がちり、高速で繰り出される弾丸が空気を切り裂いた。


 アドルフから見ると何かの魔法を見ているような感じだ。


 高速化された弾丸はアドルフの目では追うことができない。弾丸の軌道はまるで、決まったルートを走らされているように、岩に吸い込まれていった。


「なんだこの武器は!?何が起こったんだ!?」


 銃夜は弾丸を持って、

「これだよ」とアドルフに披露する。


 アドルフは弾丸を手に取り、

「これは?ひょっとして鉄か?」


「大正解っ!そう、鉄の塊を発射させた。これを弾丸って言うんだ」


「な、なるほど。確か、シーラでも似たような物があったような。でも、こんなにコンパクトではなかったはずだ」


 銃夜の頭の上に「?」が浮かぶ。


「シーラってなんだ?」


 アドルフは丁寧に説明する。

「シーラはここヘリルスと敵対している国だ。」


 銃夜の顔が一気にくもった。


「戦争中?」


「え、あーいやいやまだ戦争ってほどではないが、近々起きるという噂だ。一応武器商人でもあるから噂には敏感なんだよ」


 銃夜はさっき冒険者ギルドで国籍をヘリルスとしてしまったので、戦争に駆り出されることを恐れているのだ。


「だが、お前さんのこの武器がありゃ一発で戦争を終わらせる切り札になると思うぞ」


 銃夜は静かにエターナルライフルを一点に見つめ、

「そんなんじゃねぇよこれは」


 長い沈黙が続く。

 そして、アドルフが口を開く。


「俺から提案なんだが一緒にクエストに行かないか?」


 銃夜は人差し指をアドルフに向け、手で銃を表現する。


「もちろんだっ!」





お読みいただき、ありがとうございます。


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