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第11話 ヘリルスの門番

「む、止まれっ!」


 銃夜達を止めたのはルーナと同じ鋼の鎧をした一人の門番だった。

 その門番はルーナと全く同じ服装だが、顔がバイザーによってわからない状態だ。

 身長は170cmの銃夜より少し高いぐらいなので180cm台で、両手用の長細い槍を装備している。

 その槍は銀色の鉄でできており、先端が鋭く尖り、輝いている。


「む、なんだね君たちは?」


「おいおい、この国の兵士様だぞこいつは」


 と、銃夜はルーナの肩を両手でポンポンとする。


「えへへ」と、ルーナ。


「『えへへ』じゃねぇよ。だいたいお前は兵士の軍隊からはぐれたかわいそうなやつなんだよ。まったく少しは反省しなさい!」


 銃夜は人差し指を雲一つない青空の方に立ててルーナを母親のように叱りつけるマネをする。


「まぁ、どうでもいいが門番よ。私はヘリルス王国の国民なのだが」


 アイリスが抜け駆けを試みる。


「む、ではギルドカード及び身分証明書を拝見する。」


 アイリスは持っていたバックをゴソゴソする。

 片手でギルドカードを取り、「ほれ」と門番に渡す。


「ではジューヤ、ルーナよ、じゃあっねー」と、アイリスはヘリルス王国の門をくぐる。


「で、では私も―――」ルーナもアイリスに続いて言った。


 ルーナがギルドカードを渡そうとした瞬間、銃夜はルーナをがっしりと捕らえる。


「おい、待て」


 ルーナは銃夜の方を向いて、「?」と間抜け面を晒す。


「『?』じゃねんだよ。俺は?」


「え、えーっと」 


 銃夜の目が真っ黒になりルーナに詰め寄る。「俺のギルカねぇーじゃん。」


「そ、そこの門番さんに聞いてみてはど、どうでしょうか?」


 と、ルーナは門番に指を指す。


「む、渡すならさっさとギルドカードを渡せ。」


「今だ」と、アイリスは銃夜の拘束を解き、自身のギルドカードを門番に提示し、門をくぐる。


 門の奥でルーナとアイリスは「まだか」と銃夜を待っている。


(おいどーすんだよぉぉ!!!!)


「む、さっさとギルドカードを提示せよ!」


 門番がとうとうしびれを切らした。


「む、わかったぞ!さては貴様異国のスパイだなっ!」


「え?ち、違う違う俺はただの旅人だ!」


「いいや信じられないっ!直ちに拘束するっ!」


 門番が銃夜に迫ってくる。

 ここでようやく門の奥からルーナとアイリスが助けにやってきた。


「おい、ジューヤー何やってんだー?」と、アイリス。


 ここで銃夜はあることを思いつく。

 そして、


「いいや、何も」


 明らかに先程までの銃夜とは別人のような雰囲気に変わっていた。

 銃夜はバックをごそごそするフリをする。

 そして、門番の目の前までドシドシとやってきた。


「これが、俺のギルカだっ!」


 と、銃夜はルーナやアイリスが提示していた持っていないはずのギルドカードを門番に示した。


「む、たしかに。最初っから出していなさいっ!」


 銃夜は堂々と門をくぐる。


「でも、銃夜さんさっきギルドカードがないとか言ってたじゃないですか」


「あーあれな実は……」


 と言って門番に提示したギルドカードをルーナとアイリスに見せる。


 二人共「?」という表情。


 次の瞬間、銃夜が持っていたギルドカードがバラバラになり一つの小さな小枝へと姿を変えた。


「どういうことだ?ジューヤ?」


「なーに簡単な話さ」と銃夜はあるトリックを説明する。


 銃夜のスキル『変幻自在』の本質は物質を変化させる力だ。

 変化できる範囲は同じ物質から同じ物質へ。

 この力を使いそこら辺に落ちている小枝をギルドカードに変えた。

 紙は一般に木材からできている。

 よってギルドカードを偽造することなど銃夜にとっては容易に過ぎないのである。


「なるほど。考えたなジューヤ」


「ふっまあな」


 ここでトリックを明かし終え、ルーナが新しい話題へと話始める。


「ところで、皆さんはこれからどうするんですか?」

 馬を撫でながら、「私はこれからこの子を馬宿に返しに行きますが……」


「そうだな。俺はしっかりしたギルドカードを作りに行きたいな。あとクエストも受けたいし、買い取り屋にも寄りたい。風呂にも入りたいし。宿も借りに行きたい」


「私は研究室に戻り集めた材料で薬の研究をする予定だが」


「では寂しいですがここで解散ですね。私も馬を返したあとは兵に戻るので」


「解散か。では皆の衆おつで〜す。」


 と最後に軽い感じでアイリスが締めくくる。


「じゃまたどこかであったら」


 銃夜がルーナとアイリスに軽く手を振る。

 ルーナは顔の近くで小さく手えを振り返す。

 アイリスは頭の上まで大きく腕を上げ、彼女らしく大雑把に手を振り返す。

 これにて旅パーティーは解散。各々がそれぞれの道を進むのであった。





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