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第10話 ヘリルス王国

 さて、これにてサーペントを討伐終了だ。

 銃夜はアイリスを降ろし、ルーナを起き上がらせる。


「ほらルーナしっかり」


「う、ううう」


(ち◯かわか)と、銃夜。


 ここで、アイリスが切り出す。


「ところでジューヤ、先程ルーナからは魔法が使えないと聞いていたが?実は『使えました!』パターンか?」


 銃夜は首を横にふる。


「いいや、魔法は使えなかった」


 アイリスはポカンと「何いってんだこいつ」というような不思議そうな顔をする。


「だが、あれは誰が見ても、爆裂魔法『エクスハティオ』だよ。君だって叫んでいたじゃないか」


「あれを叫んだのは『俺』だと思っているのか?」


「違うのか?」と、アイリスは言う。


「確かに、あれは俺の魔力で撃ったし、俺のエターナルライフルから発射させた。だが、『エクスハティオ』自体を発動させたのは俺じゃなくて『ルーナ』なんだ。」


 と、銃夜は冷静に淡々と語る。


「ますます意味がわからない。だってルーナはサーペントを連れて走っていたじゃないか。」


(まぁ、俺がルーナ無双を誘発させたのだが)


 そう、銃夜は知っているルーナ無双を。

 そして、少し前銃夜はある作戦を考えた。

 その作戦は題して『ルーナ無双誘発大作戦!!』である。

 ルーナ無双の発動条件は以下の通り。

 ・ルーナ自身がピンチになること

 ・ルーナ自身の意識が外界から遮断されること

 この二点を踏まえルーナ無双が発動される。

 銃夜は最初のオーク戦で得た情報を元にこれらの条件を推測した。

 これ以上にまだ必要な条件があるかもしれないという疑念が銃夜に対する賭けでもあったが、見事その賭けに勝利し、生き残ることができたのだった。


 あの時、サーペントに追いかけられていたルーナは『死』というプレッシャーと、シャトルランという肉体的苦痛により0.2秒の気絶から『エクスハティオ』を引き出すことに成功。

 だが、0.2秒の気絶という短い時間により魔力の放出が遅れた。そこで、銃夜は自身の多大なる魔力を放出、そして、ルーナが唱えた『エクスハティオ』が銃夜の魔力に引火、結果的に魔法が扱えたということ。


 が、銃夜はこの説明をアイリスに伝えなかった。

 いや、伝えられなかった。銃夜自身でも正攻法ではないことぐらいわかっているからだ。


「ま、なにはともあれサーペント討伐成功したんだしとっととヘリルス王国を目指そうぜ」


 銃夜は仕方なくお茶を濁すことにした。

 アイリスは「うーん」と腑に落ちていない様子。


 その後、アイリスは討伐したサーペントに注射器のような物を刺し、血液を採取した。

 その数なんと50本分!


「それ、そんなに必要なのか?」


「研究材料はいくつあっても困らないのだ!」


 銃夜は一度森の入口に行き、ルーナの馬を回収し、荷物を馬に預ける。

 そして、未だ意識が戻っていないルーナをおんぶしながら迷子の子供でも導くかのように低身長のアイリスと手を繋ぎヘリルス王国を目指した。


 ◇


「おーいようやく見えてきたぞー」


 と、銃夜がガラガラ声でみんなに知らせる。


 例の森はサーペントがモンスターを全て狩り尽くしたのか一体も出会うことがなかったのですんなり進むことができた。


 地図によるとちょうど森を一直線上に突き抜ければヘリルス王国が見えてくるらしい。

 が、森は銃夜達が予想していたよりも広く、一時迷ってしまった。


 通算にして三日はこの森に閉じ込められていたということになる。


 銃夜は「ふぅー」額の汗を拭う。

 銃夜もルーナもアイリスもみんな服が泥や血で汚れてしまっていた。

 ルーナやアイリスは髪の毛がバサバサだし、銃夜なんか途中までルーナをおんぶしていたのでズボンが汗で足にひっついたりでベトベトだ。お風呂なんてのは森の中にはなかったので体中ハエのような小さな羽虫が集っている。


 だが、ようやく目的地が見えたというわけだ。

 銃夜一行はサーペントを討伐したときよりもひどく喜んだ。


 銃夜達は崖のような場所にいるので低い場所にあるヘリルス王国の全貌がはっきりとよくわかる。

 ヘリルス王国は硬いコンクリートの壁で円形に囲いを形成している。

 その内部に西洋のようなでっかい街が出来上がっていた。

 街というより都市に近いのかもしれない。

 見たところ人口も多いようだ。


 銃夜達はしりとりでもしながら既に開拓されている坂道を進んでいき、とうとうヘリルス王国の門の前まで到達した。




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