表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/112

第95話 魔法の呪文

「え?SSSランク?今、SSSランクって言ったか?」


「SSSランクってマジか?」


「聞き間違いじゃねーの?」


「SSSって事は、あの子レベル5000なのか?」


「いやいや、そんなのあり得ないだろ」


受付のおねーさんが私のランクを叫んでしまたっため、それを耳にした周囲の人が騒めき出す。

なんかめっちゃみられて、ちょっと恥ずかしい。


「レディーの秘密を勝手にばらすとは!賠償じゃ!ワシは賠償にマヨネーズを所望するぞ!」


その時、私の中で昼寝していたぴよちゃんが起きて飛び出して来た。

受付のお姉さんの大きな声で目が覚めてしまった様だ。


あ、ぴよちゃんってのはぴよ丸ちゃんの愛称ね。


で、ぴよちゃんは目覚めると同時に、自身の欲望を満たすための要求(ダイレクトアタック)を始めだす。

本当に困った子だ。


「すいません、つい……所で、そのボール……いえ、鳥かな……えーっと……」


急に私の頭から出て来たぴよちゃんをみて、受付の女性がオドオドしてしまう。


「あ、この子は私の使い魔です。気にしないでください」


「ふぎゃ!」


放っておくといつまでも騒ぎかねないので、私は慌ててぴよちゃんを頭から降ろし、顎下から頬の部分を片手でガシッと掴んだ。


これはアングラウスさんに教えて貰った、対ぴよちゃん用制圧方法。

下手に嘴部分を抑えると融合からの解除で逃げられてしまうので、嘴には触れずに彼女を瞬間的に黙らせる最適解である。


「は、はにゃしぇい……こみゅしゅめぇ……(放せ小娘)」


そんな状態でも、諦めずに藻掻くぴよちゃん。

本当に諦めが悪いんだから。

しょうがない、最後の手段を使おう。


私は呪文を唱える。

荒ぶる彼女を鎮める究極の呪文を。


その名も――


「五月蠅くすると、今日から食事の量(マヨネーズ)を減らしちゃうよ」


――強制ダイエット。


「しょ……しょれだけはごきゃんびぇんうぉ(それだけはご勘弁を)」


呪文の効果は抜群。

ぴよちゃんがごめんなさいしてくる。


「えっと……かんばせ様、少々お待ちいただけますか」


そう断ると、受付の女性が席を立って奥の机に置いてあった電話の受話器を取った。


「あ、はい」


内線って奴かな?


「実はレベル5000の判定が出しまして……え?いえ、決して冗談ではなく……本当に……はい、はい。分かりました」


どうやら私のレベルの事をどこかに報告している様だ。

なんだかちょっと、大事になってきた気がする。


単にレベルが高いってだけなのに、なんでそんなに気にするんだろうか?

謎だわ。


「あの顔様。支部長が少しお話を伺いたいとの事で。直ぐに担当の者がやってきますので」


受付の女性が戻ってきてそう告げる。

むう、急によく分からない偉い人に話があるとか言われても困るんだけどなぁ。


これって宝くじの高額当選者が、銀行の店長に口座開設とかの話を持ち掛けられるみたいなものだよね?

超面倒臭いんですけども。


断れないかな?


「えーっと、もう鑑定は終わってるんですよね?でしたら、証明だけ貰って帰りたいんですけど」


「直ぐに参りますので少々お待ちください。本当に直ぐに来ますんで」


直ぐかどうかではなく、話をするのが面倒くさいんですけども……まだ証明を貰っていないので無視する事も出来ないし、諦めるしかないか。


「大変お待たせしました」


程なくして、髪を七三に分けたメガネの男性がいそいそとやって来た。

年齢は50台ほどかな。


「ささ、どうぞこちらへ」


「はぁ……」


ああもう、面倒くさいなぁ……


あたしはしぶしぶ、面倒くさいながらも促されるままついて行く。

どうか早く終わります様に。

と、心の中で祈りながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作宣伝
異世界転生帰りの勇者、自分がいじめられていた事を思い出す~何で次から次へとこんなにトラブルが起こるんだ?取り敢えず二度と手出ししてこない様に制圧していくけども~
異世界から帰って来た主人公が、ふざけた奴らを力で無双制圧して行く話になります。
最強執事の恩返し~転生先の異世界で魔王を倒し。さらに魔界で大魔王を倒して100年ぶりに異世界に戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。お世話になった家なので復興させたいと思います~
魔界で大魔王を倒して戻って来た勇者は、かつて転生者だった自分を育ててくれた侯爵家が没落した事を知る。これは最強男勇者が執事となって、恩返しとして侯爵家の復興に尽力する物語
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ