第79話 田吾作
「戦闘力SSランク。Aランクのボスを、一刀の元切り伏せたのも納得出来る強さですな」
顔に戻したビン底眼鏡を、田吾作が何故か指でクイクイと激しく上下させる。
その謎の行動の真意は計り知れない。
というか計りたくもない。
『戦闘力じゃと!まさかこの陰キャひょろ眼鏡はワシらの強さを測っておるのか!?』
「まあそうなるな」
『なんという事じゃ!ならば見せねば……そう!見せつけてやらねばならぬ!この一世一代の晴れ舞台にワシらの真の力を!』
ただの測定が、何故一世一代になるのかは理解不能だ。
コイツも計り知れないし、当然計りたくもない。
反動のある力を使って辛いのは本人なので、まあ別に好きにすればいいけど。
『ふおぉぉぉ!燃えて来た!!封!印!解!除!』
ぴよ丸が勝手に封印されていた力を発動させ、全身に燃え上がる様な力が漲る。
「お、おおお!?戦闘力がSSSランクに上がった!?」
「SSSとか……マジか……」
「一体どうやってこの短期間でそこまで強くなったのか、ほんと興味深いわねぇ」
「まあ色々あったんで……」
俺の強さが急速に上がったのは確かだが、どちらかと言うとぴよ丸の影響の方が大きい。
勿論、それを説明する気はないが。
「驚きの強さですな。そう言えば……そこの猫は使い魔だそうで。では、そちらの方も測定させていただきます。アイアイアイ!」
そう言うと、田吾は許可も取らずに今度はアングラウスに向かってスキルを発動させてしまう。
アングラウスの戦闘能力は桁違いだ。
巨力な力を持つ謎の生物とか、知られても良い事は何も無いので、知られるのは余り宜しくない。
そう考え、咄嗟に手を伸ばしてスキルを遮ろうとするが――
「こ!これは!」
――考えを一瞬挟んだせいで間に合わなかった。
「何という事だ!『勝手に覗くでない。殺すぞ』ランクですと!?こんなランク見た事も聞いた事もない!!」
が、問題はなかった様だ。
「いやそれ……ランクじゃねーだろ、絶対」
「猫ちゃんの能力かしら?でも他人のスキルに干渉するなんて能力、聞いた事も無いけど」
エリスの時は、不完全とは言え鑑定魔法を普通に喰らってたけど……
スキルに関しては干渉できるって事か。
そういや、魔法はあんまり得意じゃないって言ってたしな。
「なんと!?スキル妨害でしたか!」
「天の高さを知るにはまだ早いぞ、小僧」
アングラウスが口元を歪めてニヤリと笑う。
人の姿でやったらニヒルなのだろうが、猫の姿なので可愛らしさしかない。
まあどうでもいい事だが。
「いやはや、御見それしました。SSSランクの戦闘力を持つプレイヤーに、ユニークスキルに干渉するとんでもない使い魔。世の中は広いですな。私もSSランクだからと天狗にならず、SSSランク目指して精進する次第です」
田吾作の言葉に――え?
となる。
こいつSSランクなのか?
姫ギルドに二人しかいない片方がこいつ?
山路と岡町の方を見ると、少し困った様な顔で頷かれる。
どうやら本当の本当にSSランクプレイヤーの様だ。
この田吾作という男は。
人は見かけによらない。
その言葉を痛感させられる。
いやこの見た目で強いとか、殆ど詐欺だろ。
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