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第63話 再襲撃

「よう、また会ったな」


Aランクダンジョン――オーガの里で魔物を狩っていると、唐突に声を掛けられる。

振り返ると、見知った顔がそこに立っていた。


「あんた一人か?」


相手は以前、滝口と一緒に俺を襲ったカイザーギルドのSランクプレイヤーだ。

他の人間の姿は見当たらないので、偶然出くわしたのかとも一瞬思ったが、流石にそれはないよな?


「まさか?一人な訳ないだろ」


そいつが片手を上げると、何もなかったはずの森の中の風景に、突然俺を取り囲む様に10数名のプレイヤーが姿を現した。

その中には滝口の姿もある。


まあ分かってはいた事だが、やはりこの前のリベンジの様だ。


「隠密系のスキル……もしくは魔法か」


「まあそんな所だ」


「やれやれ。俺がここにやって来るのを態々待ち伏せするとか、随分ひま……いや、違うか。それじゃ流石に効率が悪すぎるよな。入り口を見張ってたって所か」


来るかどうかも。

仮に来るにしても、いつ来るかもわからない俺を大人数でダンジョン内で待ち伏せるのは現実的ではない。

俺が入るのを確認し、どこかで待機させていた人員で後を追って来たと考える方が妥当だろう。


まあ普通に考えるなら、それも現実的ではないんだが……


条件を考えると、追跡開始までにはそこそこ時間が空いていたはず。

そう考えると、この広いダンジョンで先に入った俺を見つけ出すのは至難の業だ。


だが奴らは見事に俺を捕捉している。

つまり――


「カイザーギルドには、余程優秀な追跡系のスキル持ちがいるみたいだな」


相手は日本三大ギルドの一つだ。

カイザーギルド程の大手なら、そういった優秀なスキルを持つ者がいてもおかしくはない。


「テメーの追跡は俺がしたのさ」


滝口が一歩前に出て来て、ドヤ顔で自分の顔を親指で指す。


「お前か……」


滝口は前回、探索云々と口にしていた。

どうやらとんでもなく範囲が広いか、もしくは追跡能力も持ち合わせている様だな。

奴のスキルは。


「今回こそ、テメーをボコボコにさせて貰うぜ」


滝口が楽しそうにボキボキと指を鳴らす。

いやぶっちゃけ、前回も大概ボコボコにされてたんだけどな。

まあそれだけじゃ全然足りないって事だろうが。


「痛い目を見たくないなら、さっさとレジェンドスキルの秘密を話す事だ」


「あいにく、痛みには慣れっこでね。と言うか……人数を増やせばどうにかなると思ってるのか?」


前回は、ぴよ丸の超高速ブリンクで逃げ切っている。

俺を囲う人間の数が倍ほどに増えてはいるが、多少数を増やしたところで大した意味はない。

その事は相手も理解している筈だが。


「今回は逃がさねーよ。何故なら――」


Sランクの男が自分の後ろに視線をやる。

彼の背後には、黒いローブを身に着けた女性の姿があった。

そのローブの女性は、ワンドに向かってブツブツと何かを呟いている。


「クローズドフィールド!」


その女性が手にしたワンドを高々と掲げ、魔法を発動させる。

見えない何かが周囲を覆っていく。

それが、魔法の使えない俺にもハッキリと理解できた。


「結界魔法か……」


「安住のこの結界は、転移魔法も阻害する」


「テメーはもうどこにも逃げ場がねぇって事だよ!顔!」


どうやら、相手はちゃんと転移対策を用意して来ていた様だな。

ま、別に問題ないから良いけど。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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自作宣伝
異世界転生帰りの勇者、自分がいじめられていた事を思い出す~何で次から次へとこんなにトラブルが起こるんだ?取り敢えず二度と手出ししてこない様に制圧していくけども~
異世界から帰って来た主人公が、ふざけた奴らを力で無双制圧して行く話になります。
最強執事の恩返し~転生先の異世界で魔王を倒し。さらに魔界で大魔王を倒して100年ぶりに異世界に戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。お世話になった家なので復興させたいと思います~
魔界で大魔王を倒して戻って来た勇者は、かつて転生者だった自分を育ててくれた侯爵家が没落した事を知る。これは最強男勇者が執事となって、恩返しとして侯爵家の復興に尽力する物語
― 新着の感想 ―
[一言] アンさんの結界は仕事しる!
[良い点] いつから主人公が狩られる側だと錯覚していた?
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