第61話 お父さん似
「よし、5つ目完了」
ぴよ丸が進化?してから2か月。
命を5つ目までつなげ終わる。
これならSランク相手でも、そこそこ戦えるだろう。
多分。
多分と表したのは、一括りにするにはSランクはレベル幅が余りにも大きすぎるからだ。
何せ下は1000で、上限は2499な訳だからな。
その差最大1499。
当然大きくレベル差があれば、その分ステータスも全く違って来る。
また、Sランクに上がってる様な奴はユニークスキルを所持している率が高い。
それが強力な戦闘系スキルだった場合、その強さは跳ね上がると言っていいだろう。
その最たる例が十文字だ。
Sランクでありながら、Sランクダンジョンを単独攻略できるのはあいつ位の物である。
まあアイツの場合はレジェンドスキルだが、ユニークスキルでも侮れない様な物は多い。
「強くなったんすか?」
「ああ」
「不思議っすねぇ。レベルも上げずに強くなるとか」
エリスやミノータには、俺の強さの秘密を話していた。
レジェンドスキルを突破してない事を説明する為に。
まああくまでもざっくりとで、裂命によって増やした命を他人に分け与えたりできる部分なんかは当然伏せてある。
流石に、そこまで信頼し合う程の仲じゃないからな。
「にしても……頑張るな」
「正に執念っす」
視線を動かすと、ソファの上で座禅を組んで座っているエリスの姿が目に入る。
その肉体は成人女性のそれへと変わっており、もう既に訓練はほぼ終わっている状態だった。
なら何故まだ続けているのか?
答えは簡単である。
今のエリスの姿は、彼女の望む理想には届いていないからだ。
どんな理想かだって?
それは――
「私は胸なんか言う程気にしなくてもいいと思うんすけどねぇ」
ま、という訳だ。
俺もそんなに気にしないでいいと思うと言いたい所だが、エリスのそれは限りなく絶壁に近い物だった。
お父さん似、極まれりである。
別に大きい必要はないとは思うけど、まあ流石にこれはな。
「あんたにはわかんないわよ!」
「あたっ」
ミノータの言葉が聞こえていたのだろう。
瞑っていたエリスの眼がカッと勢いよく見開かれ、クッションを掴んでミノータの顔面に叩きつけた。
因みに、ミノータは結構巨乳だったりする。
そんな彼女に言われたら、まあ腹も立つだろう。
「集中しろ!」
勝手に訓練を中断したエリスの顎を、胡坐の隙間に収まっていたアングラウスが、その肉球付きの手で殴り飛ばす。
「へぶっ!?」
当然加減はしてるんだろうだろうが、それでもSSランクのエリスの顔面が大きく跳ね、そのショックで魔力で成長した肉体が空気の抜けた風船のようにあっという間に縮んでしまった。
「あいたたた。ちょっと師匠、何も殴らなくてもいいじゃないのよ」
「我の貴重な時間を割いてやってるのだ。それを無駄にするなど許す訳が無かろう。そら、成長が解けてしまっているぞ。さっさと集中しなおせ」
暇なときは延々タブレットでウェブ探索してる奴が、貴重な時間と来たか。
まあ一々突っ込みはしないが。
「分かりました……」
「うむ。気合いを入れよ」
エリスが再び目を瞑って、魔力のコントロールを再開した。
その胡坐の中心で、アングラウスが丸まって目を瞑る。
一見ただ寝ているだけの様に見えるが、その実、精神を同調させて常に的確なアドバイスをアングラウスはエリスへと出しているとの事。
口頭でしないのは、その方がより的確なアドバイスが出せるからだそうだ。
「そういや気になってたんだけど」
「なんです?」
「二人は日本に来てもうずいぶん経つよな?ギルド的には問題ないのか?」
エリスは世界5位にランクインする程のプレイヤーだ。
ミノータもSSランクの壁を越えられていないとはいえ、そのレベルは2499と高い。
そんな二人がもう既に二か月も日本に滞在していて問題ないのかと、気になって尋ねててみた。
「もちろん……大問題っす。もう毎日の様にまだかまだかとせっつかれてます。耳タコっすよ」
「ああ、そうなんだ……」
全然大丈夫ではなかった様だ。
ギルド的にはデメリットが解除されるならと送り出したのに、単に姿形を変える為だけに中核の人物に長期間抜けられたら、そら堪らないわな。
「まあ何と言うか……それに付き合わされるミノータさんも大変だな」
「エリスちゃんとは結構長い付き合いっすから。まあ彼女の悲願の為なら黙っていくらでも付き合うっすよ」
ミノータがドンと胸を叩く。
揺れる胸。
それを見て思う。
まあ確かに、無いよりは絶対あった方がいいよな。
と。
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