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第21話 レベルアップ

水溜まりと呼ばれるDランクダンジョン。

その特徴を一言で言うなら、敵と罠の数が少ないダンジョンだ。


これだけ言うと、Dランクの中でもレベルの低い方に分類されている様に感じてしまうだろうが、実際はその逆だったりする。


何故なら、罠も敵も少ない反面、出現する敵自体の強さはDランク最高峰となっているだからだ。

なんなら、ワンランク上のCランクの敵に匹敵する程らしい。


その癖ドロップはDランク相当。

そら人気無いわって話である。


「びゃびゃびゃ!」


人型をした全身を魚の鱗に覆われた魚人が、水溜まりから飛び出して来た。


「サハギンだな」


こいつがこのダンジョンのメインモンスターだ。


「ぴよ丸。維持を頼んだぞ」


もちろんこれは訓練も兼ねているので、俺自身も維持する事を心掛けるが。


『アイラブマヨネーズ!』


真面な返事返せよな……

まあいいけど。


先に動いたのはサハギンだ。

奴は口先を尖らせて両手を添え――


「ぶぶーっ!」


――水を超高速で吐き出す。


アクアバレットと呼ばれる攻撃。

俺はそれを右手で防ごうとしたが――


「……ぶち抜かれちまったな」


「まったく、我がライバルながら情けない」


――防いだ右手が弾き飛び、胸元に大穴が開いてしまう。


痛みはあっても衝撃はたいして感じない。

それは俺の肉体が、障害物にすらならないほど高威力でぶち抜かれた証だ。


ダンジョン概要をネットで調べたから知ってはいたが、想像以上の威力である。

これを防ぐのは、エクストリームバーストを使っても無理だろう。


「成程、こりゃDランクじゃきついわな」


装備がないとはいえ、命三つの今の俺を此処まで容易くぶち抜く攻撃だ。

アクアバレットは速度もかなり早いので、一般的なDランクの能力や装備では対応するのは難しいだろう。


「維持が解けてるぞ?」


「まさか胸をぶち抜かれるとは思わなかったんだよ」


痛みになれているとは言え、それでも痛い物は痛いのだ。

想定外に胸をぶち抜かれてなお冷静に裂命を続けるのは、流石にハードルが高い。


「ぎゃ……ぎょぎょ!?」


即座に生えてくる右手。

そして埋まる胸の大穴。

それをみてサハギンがギョッとした表情になる。


「悪いな、俺は不死身なんだよ。という訳で今度はこっちの番だ」


一気に間合いを詰め、驚いて無防備になっていたサハギンの顔面をぶん殴る。


「ぎゅがぁ!」


サハギンが俺の拳を受けて大きく吹き飛ぶ。

手応え自体はあった。

だが致命的なダメージとまではいかなかったのか、受け身をとって素早く起き上って来てしまう。


起き上った奴は両手を口の前に添え、再びアクアバレットで攻撃して来ようとする。

間合い的に妨害するのは難しい感じだ。

だがまあ問題ない。


「相打ちオッケーだぜ!」


俺はその攻撃を無視して突っ込んだ。

もう少し攻撃力が低かったら衝撃で体が吹き飛ばされたりもするのだろうが、幸い?威力が高いので喰らっても綺麗に貫通して胸に穴が開くだけ。


――つまり、俺にとってはなんの妨げにもならない。


発射されたアクアバレットの直撃を喰らい、再び胸に綺麗な大穴が開く。

だが当然、そんな事で俺の足は止まらない。

そのまま勢いよく突っ込んで、全体重と勢いを乗せた拳をサハギンの顔面に叩き込んだ。


吹っ飛ぶサハギン。

今度は受け身を取れず、奴はそのまま地面の上を転がっていく。


「ぎゅぐうぅ……」


終わったかなと思ったが、奴は口や鼻から紫色の血を流しふらつきながらも起き上って来る。

攻撃力だけではなく、耐久力も結構高い様だ。


「まあけどこれで――」


俺は弱っているサハギンに突っ込んで、勢いよく飛び回し蹴りを叩き込んでダメ押しする。


「ぎょげぇ……」


サハギンはその一撃で息絶え、そしてドロップである魔石が落ちた。


「終了、と。やっぱ裂命維持は難しいな」


俺の裂命は途切れていた。

やはり本気で動きながら維持するのは難しい。

しばらくはぴよ丸頼りになりそうだ。


『ふおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』


そんな事を考えていたら、唐突にぴよ丸が雄叫びを上げる。

一体なんだってんだ、こいつは。


『なんか知らんがみなぎって来たぞおおぉぉぉぉ!!!』


「どうやらレベルが上がった様だな。ぴよ丸の」


いつの間にか俺の足元にアングラウスが移動して来ていた。


「レベルが……上がった?」


俺はアングラウスの言葉に眉根を顰める。

ぴよ丸は通常の生物ではないので、レベルがあった事自体に驚きはしない。

俺が『ん?』となったのは、レジェンドスキル【不老不死】の恩恵を受けているのにぴよ丸のレベルが上がった事である。


【不老不死】は、その不死性と引き換えにレベルが一切上がらなくなるスキルだ。

当然ぴよ丸も融合中はその恩恵を受けて不死身になっているので、デメリットの影響も受けていなければおかしい。


「どうやらぴよ丸の融合は、美味しい所取りの様だな」


「……」


いい所取りとかずるくね?

心の底からそう思う。


いやまあぴよ丸が強くなればその分融合している俺の強さも上がる訳だから、良いっちゃいいんだが……


でもやっぱずるくね?


『ふおおおぉぉぉぉぉ!世界よワシに平伏せい!!』


そんな俺の胸中のもやもやなど他所に、ぴよ丸は雄叫びを上げるのだった。

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異世界転生帰りの勇者、自分がいじめられていた事を思い出す~何で次から次へとこんなにトラブルが起こるんだ?取り敢えず二度と手出ししてこない様に制圧していくけども~
異世界から帰って来た主人公が、ふざけた奴らを力で無双制圧して行く話になります。
最強執事の恩返し~転生先の異世界で魔王を倒し。さらに魔界で大魔王を倒して100年ぶりに異世界に戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。お世話になった家なので復興させたいと思います~
魔界で大魔王を倒して戻って来た勇者は、かつて転生者だった自分を育ててくれた侯爵家が没落した事を知る。これは最強男勇者が執事となって、恩返しとして侯爵家の復興に尽力する物語
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