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第111話 フリーダム

第2フェーズは敵の数が減る。

半数ほどに。

が、当然だが難易度が下がる様な事はない。

数が減った分、それを補う以上に敵のレベルが上がるのだ。


第1フェーズの敵のレベルは2,500程度だったが、第2フェーズでは平均3,500オーバーに上がる。


とは言え、東西南北全ての組が第1フェーズを余裕をもってクリアできているので、これにつまずく事はなかった。


東門の大和ギルドは、第1フェーズと同じ様に対処。

西門の姫ギルドは、第1フェーズに温存していた主力を出した事で、第2フェーズの方が早く終わった程だ。

南門のノーブルウィングは第1フェーズより少し時間がかかった物の、余裕をもって終わらせている。


そして北門のM・Sは――


「しぇいしぇいしぇいしぇい!腰がはいっと取らんぞ!そんな事ではマヨネーズクイーンなぞ夢のまた夢じゃ!気合入れんしゃい!このヘタレ共め!」


魔物達と戦う十文字昴(じゅうもじすばる)顔憂(かんばせうい)に、ぴよ丸が涅槃のポーズでマヨネーズ片手にヤジを飛ばしていた。

その様はまるでガラの悪いスポーツ観戦者のそれである。


「はぁ……全くぴよちゃんは……」


「溜息を吐く出ない。そんな暇があったらわしにマヨネーズを寄越すんじゃ!マヨプリーズ!」


戦闘を短時間で終わらせた顔憂に、ぴよ丸が追加のマヨネーズをねだる。


「だーめ。もう十分回復したでしょ」


「まだ腹半分じゃい!」


「半分で十分。満腹にしたら、まーた勝手に必殺技使うに決まってるんだから」


「そしたらまたマヨを嗜む!まさに無限ループ!winwinじゃ!」


「それ、winしてるのぴよちゃんだけでしょ」


駄目だしされてもごねるピヨ丸。

だが、彼女の扱いに慣れた顔憂にそんな物は通用しない。


「プギャース!マヨネーズヨコセー!」


「だーめ」


「ぐぬぬぬ……こうなったらマヨライキじゃ!マヨライキマヨライキ!」


我儘を通すため、マヨライキを連呼しながら地面に寝転がって手足をバタつかせるピヨ丸。

まるで子供の駄々である。

まあ実際、彼女の本体はまだ幼体ではあるが。


「ぴよっち、勝利の美酒(マヨネーズ)ってのはここぞって時に煽るから最高なんだぜい」


「ばかめ!そんな戯言でわしを騙くらかせると思ったら大間違いじゃ!マヨよこせ!」


十文字昴が駄々を宥めようとそれっぽい言葉を口にするが、ぴよ丸には梨の礫である。

以前ならコロッと『確かにその通りじゃ!』となっていただろうが、今のぴよ丸は少しだけオツムが成長していた。

主に悪い方に。

そのため、上っ面だけのカッコイイ台詞はもう通用しなくなっていたのだ。


「はぁ……全くこの子は。はい、一本だけだからね」


最終的に根負けした顔憂が、しぶしぶマジックバッグからマヨネーズを取り出しぴよ丸に手渡した。


「ひゃっはー!マヨネーズだー!」


勝利の雄叫びを上げながら、ハイテンションでチューチューするぴよ丸。

その姿は完全にジャンキーのそれである。


「まったく。これじゃマヨネーズがいくつあっても足りないわ」


「ほんと、マジックバッグが出てよかったねぇ」


「ええ、全く」


顔憂は今、SSランクダンジョンのボスドロップで手に入れたマジックバッグを装備していた。

見た目の1,000倍近い容量を持ち、重量も増えない超レアアイテムだ。

もしこれを持っていなかったら、彼女の荷物は常に大量のマヨネーズで偉い事になっていた事だろう。


なにせ必殺技を打つたびに、ぴよ丸はマヨネーズを10本も飲まなければならないのだから。

まあ使わなければいいだけなのだが、当然あのアホ鳥にそんな理屈は通用しない。


何故なら、彼女はフリーダムだから。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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異世界転生帰りの勇者、自分がいじめられていた事を思い出す~何で次から次へとこんなにトラブルが起こるんだ?取り敢えず二度と手出ししてこない様に制圧していくけども~
異世界から帰って来た主人公が、ふざけた奴らを力で無双制圧して行く話になります。
最強執事の恩返し~転生先の異世界で魔王を倒し。さらに魔界で大魔王を倒して100年ぶりに異世界に戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。お世話になった家なので復興させたいと思います~
魔界で大魔王を倒して戻って来た勇者は、かつて転生者だった自分を育ててくれた侯爵家が没落した事を知る。これは最強男勇者が執事となって、恩返しとして侯爵家の復興に尽力する物語
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