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第106話 聖女と聖騎士

――レジェンドスキル【聖女】。


魔力に大きな倍率補正がかかり、回復魔法や結界などの防御魔法。

更に不浄を浄化する魔法等を習得する事が出来るスキルだ。


攻略者の中で魔法を扱える物は希少で、その中でも回復魔法を扱える者は一握りと言われてて。

その中でも最高のヒーラーであるピナーさんは、ギルドマスターであるにもかかわらず、各国の大手ギルドからの引き抜きのオファーが絶えないそうだ。


因みに、デメリットは恋愛禁止と、正義に準ずる行動の強制との事。


ピナーさんは覚醒時既に60歳だったから、恋愛禁止はそこまできつい縛りって感じではないんじゃないかなと思ってる。

まあ、あくまでも若い子に比べたらマシかもって、個人的な話ね。

いくつになってもなんて言葉もあるし、実際の所は違うのかもしれないけど。


正義の強制の方は明確な犯罪系は当然として、他人の悪口とか、愚痴をこぼしたりとか、そういった悪って程ではないけど正しくない行動も出来なくなるらしいの。

かなり堅苦しい感じだし、私としてはこっちの制限の方が嫌かな。

まあまだ恋をした事が無いから、そう思えるのかもしれないけどね。


顔憂(かんばせうい)さん。貴方のお陰でレベル5,000を越える事が出来ました。改めて御礼を言わせて貰うわね。ありがとう」


ピナーさんが椅子から立ち上がり、大きく頭を下げる。


聞く所によると、レベル上げは彼女にとって正義なのだそうだ。

なんで?

そう思うかもしれないが、レジェンドスキルに求められている正義の中にそれがあり、しかも優先順位が最高――なので殆ど使命に近い――だそうなので、そういう仕様としか言いようがない。


まあつまり、私のアルティメットスキル【聖なる戦乙女の守護(ヴァルキリー)】は、ピナーさんの使命を凄くバックアップしてるってわけよ。

その事について、ピナーさんは今日、私の所にお礼を言いに来たってわけである。


「私からも御礼を言わせてもらいます。ミス憂、本当にありがとうございます」


アーサーさんも席から立ち上がって、腰を直角に折るぐらい深く頭を下げて来た。


アーサーさんはレジェンドスキル、【聖騎士】の持ち主だ。

【聖騎士】は主に身体能力全般を上げる強力なスキルで、そう効果もあってか、本人はプレイヤー世界ランキング12位に位置するぐらい強かったりする。


【聖騎士】のデメリットは剣を主に捧げて、絶対の忠誠を誓わないといけないってもの。

主の命令には絶対服従で、更に主を守り切れずに死なせた場合は自身も死んじゃうっていう、結構強烈な制限になってたりする。


言われたら嫌な事でも絶対しなきゃいけないし、守れなかったら自分も死ぬって結構えぐいよねぇ……


でもエリスさんの話だと、アーサーさんはそれを制限とは全く考えてないんだって。

信頼できる主に剣を捧げてるから、だそう。


そんなアーサーさんが剣を捧げて忠誠を誓っているのが、なんとピナーさんだったりする。


確かに、正義の人である事を求められる【聖女】持ちのピナーさんだったら、理不尽な悪い命令とかは絶対しないだろうし。

命の事も、強いアーサーさんが守り抜けばいいだけって考えるなら、デメリットは殆ど無いに等しと思うのも納得かな。


あ、因みに、ピナーさんは90歳だから年齢的にアーサーさんより先に死ぬ事になる訳だけど、あくまでも一緒に死ぬのは外的要因から守り切れなかった場合だけね。

だから寿命で先に亡くなっても、アーサーさんが死んじゃったりする心配はないわ。


ただその場合、主不在って事になって、レジェンドスキルの効果が切れちゃうっぽいけど。


「ギルドの平均レベルもグンとあがったし、ほんと、憂ちゃんには頭が上がらないっす」


「壁越えまでサポートして貰えてる訳だし、例を言わない訳にも行かないわよねぇ」


ミノータさんとエリスさんも立ち上がって、あたしに向かって頭を下げた。


因みに、あたしのアルティメットスキルは、それまで壁で阻まれていた人達の限界突破の効果もあったりする。


「いやそんな……頭を上げてください。今回、SSSランクダンジョンの攻略にも協力してもらう訳ですし……」


改まってお礼を言われると照れ臭い。

それに、私のした事は決して純粋な善意による無償の助力って訳でもない訳だしね。


私はエリスさんや、他の覚醒者達が大幅に強くなる事を望んでいた。

何故なら、世界の危機が刻一刻と迫ってきているからだ。


それに対応するためには、少しでも多くの覚醒者のレベルを上げておく必要がある。

だから私はアルティメットスキルの力を貸与し、少しでも育成の加速を図っているのだ。


つまり、彼女達へ助力は来る日の戦力としての期待ありきだって事。


ぶっちゃけ、世界の為であるとは言え純粋な好意とは言い難かった。

私の場合、(にい)の手伝いをしたいって下心ありありなんだよねぇ。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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異世界転生帰りの勇者、自分がいじめられていた事を思い出す~何で次から次へとこんなにトラブルが起こるんだ?取り敢えず二度と手出ししてこない様に制圧していくけども~
異世界から帰って来た主人公が、ふざけた奴らを力で無双制圧して行く話になります。
最強執事の恩返し~転生先の異世界で魔王を倒し。さらに魔界で大魔王を倒して100年ぶりに異世界に戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。お世話になった家なので復興させたいと思います~
魔界で大魔王を倒して戻って来た勇者は、かつて転生者だった自分を育ててくれた侯爵家が没落した事を知る。これは最強男勇者が執事となって、恩返しとして侯爵家の復興に尽力する物語
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