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迷い人(まれびと)始まりの章 4  作者: 曼殊沙華(リコリス)
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 結婚式

始めまして 読んで頂きありがとうございます リコリスと申します 何分老齢かつ目が非常に悪いので遅筆です 万が一楽しみにして下さった方に大変申し訳ございませんがご理解のほどを

老体に鞭打って頑張りますので応援していただけたらありがたいです」よろしくお願いいたします



そして翌朝 目を覚ますと目の前にアインが居た

何時もと同じ朝だ 違うのは今日は結婚式で有ることだ

考えたら緊張するなぁと思ったがアインの笑顔ですぐに緊張も解けた まだ早いなとも思いつつ起きた

何をすれば良いのだろうか?と思っているとアインが何時もの朝の様にタオルを用意して井戸迄行こうとする

全くいつもの朝の情景だ まるでこれからもずっとこの日常が続くかの様だ そしていつもの様に顔を洗い家に入ると何時もの様に朝食の用意がされていた そうそれはいつもの日常に成りつつあった朝がそこにあった 「ケアリャーフ」といつも様に挨拶をすませ朝食のテーブルに着く 思えばケアリャーフおはようで有りこんにちはでこんばんはにも使う便利な言葉だが何時しか意識しなくても自然と口から出るようになったものだ そして何時もの様に祈りを捧げ俺は「いただきます」と朝食を頂く 

旨いな やはり旨い カノアのご飯は旨い きっと俺がノイローゼにも成らずに済んだのはカノアの食事による所が大きいだろうと改めて思う 感謝の気持ちしかない ポンスもだ どこの馬の骨とも知らない俺をまるで弟のように扱ってくれた 此方に来て寂しいと感じる事も無く過ごせたのはポンスのおかげだ あのまま草原にいたら今頃生きていなかっただろう そしてアイン 彼女は何と言うか生きる希望を俺に与えてくれたんだろうと思う そしてこの村全員にも感謝だ

思えば2か月ちょっとと僅かな時間で有ったが 沢山の偶然と善意のお陰で生きて来れたことに感謝の気持ちしかない

言葉も少しづつ理解し始めれたし文字も多少は知れた

帰りたいと言う気持ちは正直有る しかし帰る事は叶いそうも無いが ここで生きて行っても良いと思わせてくれたのも本当の事だ 不安しかないが 希望と覚悟をくれたのも彼らだ そういう意味でも感謝しか無い


朝食の後にお茶を頂きゆっくりしていると ポンス夫妻とアインが真剣に何か話しているがきっと「これまで育てて頂きありがとう お世話になりました」的な話なんだろう アインもだがポンス達にも涙がある そして俺に向かい何か言っている 肩を叩かれきっとアインを頼んだぞって事だろう 3人で抱き合い何か話して離れた そうしてアインがカノアと荷物を携え家を出た

暫くするとカノアだけが帰ってきた するとあの懐かしい高校の制服ブレザーを手に此方にやってきた 間違いなく泥だらけであったブレザーが綺麗に洗われていた いつの間に用意したんだろう?これを着て行けという事なんだろう 久しぶりにワイシャツに袖を通しネクタイを締めブレザーを着た なんだかこれを着て高校に行っていたのが遠い昔のように感じた ちょっと感動していると いつの間にかカノアの手には小さな箱が有った これを忘れちゃ駄目よ言わんばかりに大切に手渡された 

さすがに緊張してきた これからどうすればいいのか判らないし どうしようと おたおたしていると綺麗な服に着替えたポンスとカノアが さぁ行くよと手を取ってくれた 何処に行くかと思っていると そこは教会で有った そりゃそうかと納得した 教会に入るとそこには 流石にウエディングドレスではなかったが 綺麗なドレスを着て うっすらと化粧までしたアインが居た 横を見るといつもの神父様ではなく なにか上質の金の刺繍の入った白い服と偉そうな帽子を被った神父様が居た その横にユリエールが昨日と違い薄いブルーのドレスを着て待って居た 相変わらず威厳がすごい 前の方の席をみると何だか上品な服を着た人が多数いた 何時も見る村人ではない 村人もいるが後ろの方の席で小さくなっている なんだろう?偉い人でも来たんだろうか?・・・

しかし考えてみても当たり前か 公爵家のお嬢様が立会人をするという事に成れば 知って居て無視するわけには行かないだろうし近隣で来れる距離の有力者は来ざろう得ないか・・本当にご苦労様 取る物も取り合えず来たんだろうな なんだか大事に成ったなと思いつつ他人の事情よりも自分の事で頑張らねばと気合を入れた 

先ずはユリエールが何か宣言的な事言ってる 皆神妙に聞いている その後神父様に名前を呼ばれ前に来るように促される 次にアインも呼ばれる 横に並ぶ 近くに来てふと頭を見るとティアラをしている まるでお姫様みたいだと思う ふとユリエールを見るとどや顔でこっちを見てる サプライズのつもりなのだろう しかし感謝しておこう そしてやっぱり小さいな そして可愛い しかし今日は化粧のせいか すごく綺麗だし大人ぽい 

神父様がなにか説教であろう きっと有難いお言葉なんだろう しかし全く判らないのだが・・・  

ぼうっとしていると ユリエールが「ぼけっとしてないで指輪を出して アインに嵌めてやれ」と言われた あわててブレザーより箱を出した 指輪を出そうとするが緊張で指が震え上手く出せない 「何やってる しっかりしろ」と激励の言葉がユリエールより送られる うるせえ わかってるよと思いつつ一度深呼吸して落ち着き 指輪を出す 

そしてゆっくりとアインの手を取り 指輪をはめる 有れ?大きい筈の指輪がピッタリだ きっと昨日のうちにカノアが鍛冶にでも無理を言って直したのだろうか?そして今度はアインが箱から指輪をだして俺にはめてくれた いつの間に用意したのだろう?ユリエールが又ドヤ顔をしている お姫様が手配したのか 俺には選ばせてくれないのね とは言え感動と幸せに包まれた 神父様が又お話をしてくれた後にアインが「ヤー」と言った 続いて又話の後シーンとした ユリエールが「お前の返事の番だぞ 気持ちを込めて返事してやれ」言われ 俺は感謝と感動の気持ちを込めて大きく「ヤーー」と答えた 大きく教会内に声が響いた 

沢山の拍手と共に 掛け声が上がった 多くの人に祝福されている実感が有った こっちに来て僅かだがまさか結婚に至るとは思わなかった 流されているのだろうか?いいや これは自分の意思だ 幸せを噛み締めよう 新しい門出なのだ

それに何よりアインに好かれていることは単純に嬉しいのだから

ユリエールが俺たち二人の手を取り何かしら宣言している

小声で「何て言ったの?」と聞く「公爵家の名に懸けて二人の婚姻を認め祝福すると宣言したんだ 何かまずいのか?」「いいえ ありがとうございます」「うん これからアインの為に生きて行くが良い 本来この村に残るのが筋なのだが 今回は特殊だからな 聖都に行ってもしっかりやれよ」と祝福というか激励された

何故か突然二人が呼ばれ 向き合う形に成った これは・・・と思ったが覚悟を決めて少し俯いたアインの顔を顎を持ち顔を上げさせた そして初めての口づけを交わした 歓声があがる 拍手も沸き上がる アインの顔は茹蛸の様に真っ赤だった ユリエールが「あそこはアインの額にキスするのが慣例なのだが口づけも良いな」と小声で言った ああだからアインは俯いていたのか・・だって何も言ってくれなかったじゃないか と思ったが後の祭りだな 


そこからアインと手を繋ぎ教会を出ると いつぞや祭り騒ぎの有った牧場に皆と共に移動した 移動中も沢山の人から祝福の言葉を貰った

そして前回とは比べ物にならない豪華な食事が沢山並んでいたユルエールが村人に向かって大きな声で何か言っている「何て言ったの?」と聞く

「ああ 二人の門出に際して僅かばかりのご馳走を用意したので遠慮なく食べ呑んでくれと言ったんだよ」すると各々にカップが渡され酒が注がれる これは乾杯をやるんだな

ユリエールに「乾杯の挨拶したいんだが 通訳してくれないか?」と言う「よし判った 好きにしろ」と返事をいただく

「今日は俺とアインの為に多くの皆様 ありがとうございます

此方に来て僅かな間ですが多くの方に助けて頂き感謝の気持ちしか有りません 皆様の幸せを祈ってかんぱーーい」と言うと

ユリエールの通訳の後なので一拍遅れて杯を掲げて「テリュイー」(かんぱい)と声が上がった ふと見るとポンスが寂しそうだ (あれ これって本当はポンスの役目だったのか?すまぬ義父さん)と心の中で謝った

しかし凄い人数だ 子供も入れたら恐らく300人は居るんじゃないか?こういうイベントは中々無いので村人全員でやるものなのだろうな 始めのうちは遠慮がちな村人も あちこちで乾杯が繰り返され盛り上がってた 誰もかれもが笑顔だ ただちょっと気に成ることが有った

ユリエールに聞きたいが あちらこちらで立派な服装の人達と話している ちょっと動けば又声を掛けられている 偉い人は偉い人で大変なようだ やっと一人成った所を声を掛けた

「大変そうですね でも色々有り難うございます 所で聞きたいことが有るんですが」「なんだ?遠慮しないで聞いていいぞ」「あの 此方の料理や調理してくれている人達の費用とかはどうなって居ますか?」「なんだ そんな事心配していたのか?」「だってポンス達が出すんなら大変だし後々になるけど幾らかは費用出さないとだし」と言うと「心配するな 料理は今日来た連中がウチの調理人の腕を見てくれと競って連れて来たんだ 勿論食材もだよ つまり此方は何も心配いらない 奴らにすれば私と直に話せるのだからこれ位安い物だろう まぁお陰でこっちは色々な聞きたく無い陳情を聞く羽目になったがな 飲み物は私が手配したものだ 勿論貴族連中が持ち込んだものも有るがお前は心配するな ポンスに迷惑になるようなことは無いから」と言われ安心した

俺もあちこちに顔出しして「テリュイー」「テリュイー」とやって呑まされている

ふと見るとアインも顔が赤い 誰だアインに呑ませた馬鹿は!

目出度い気分で皆浮かれている まさにどんちゃん騒ぎだ でもいいな こんなお祭り騒ぎなんて日本に居た時は経験してない 好きだなこういう雰囲気 そして一生忘れられないだろう

しみじみ幸せを噛み締めていると肩を叩かれ「テリュイー」と来る ああいつも畑で一緒になるロウズじゃないか 何か言っ

て来る なんだコイツアインでも狙っていたのだろうか?やたらに絡んでくるなw何か言って来るが何もわからないのはこういう時は便利だな 肩を叩き慰めて置いたら仲間がきて連れて行ってくれた いやぁいい加減酔っぱらってきたぞ 立って居るのがつらく成って来た 座る場所を探し見つけると座った 水でも欲しいなと思ているとアノンが水を持って来てくれた

ああ この子は良い嫁に成るなと思った 二人で暫く見つめ合った 手を握り愛おしさを噛み締めた 嫁さんか 恋人は居たが結婚なんて考えた事も無かったな 結婚なんて責任が重すぎて考えられなかった 実際実感もまだ無い これで何年かして子供でも出来たらどうなるのだろう?考えただけで重圧に潰されそうだ しかし昔は酔っぱらった大人達(特にオヤジ達)が馬鹿だと思っていたが自分がその立場に成るとこういうのも悪くないと思った


暫くして ユリエールが又皆に何か言っている あれだけ大騒ぎだったのが一瞬で静まり返る 又何か宣言の様な口調だった

ユリエールの言葉が終わると 村人が一斉に歓喜に沸いた

ポンスに村人が次々に声を掛ける

一段落した頃合いを見てユリエールに聞く

「さっきは何て言ったの?」「ああさっきはポンスのこの村の領主と正式に決まった事とこの村の名前がタルホ村に成った事だ しかも聞けばこの辺りに村長の居ない村が2つ有るらしく そこもポンスの領地とすることに成った事を皆に伝えたのだ これでポンスも下級とは言え貴族様に成ったのだ どうだ貴族様の娘を伴侶にした気持ちは?」と聞かれたが「はぁ 貴族がどういうものか知らないので・・」と正直に答えた

「ふふ 正直なのだな しかしなここは大変光栄ですって言っておくとこだぞ」と悪戯っぽく笑った 仮面で表情の良く分からないお姫様だが 笑うと口元が可愛らしい ユリエールと話いるとアインが酔っぱらった赤い顔で 怒っている やきもちか ふふ それも可愛いな

そう言えばポンスがガッカリしていたのは乾杯の時に自分でこれを発表したかったのか?すまぬ義父さん 至らぬ息子でと心の中で謝って置いた


村を上げての大宴会は 夜更けまで続いたが まずは恐らく貴族らしき人達がユリエールに挨拶をし帰って行った だが村人は帰る素振りもない 完全に酔っ払い寝ている者も居るが 放置されている ユリエールを見ると始めは遠巻きに見ていた村の女性達と何か話している 酒の力は偉大だな なんか恐れ多いって感じで遠くで見ていたのが酔っぱらえばこうして話し込んでいる 時折おおきな声で皆で笑っている アインはポンススとカノアの所で何か話している 笑っている そうだよな 今日が本当に本当の親子で話せる最後の夜だしな ゆっくり甘えて欲しいな そうして夜が更けて行った

しかしユリエールが又何か宣言した 皆グラスを持ち「テリィー」とグラスを挙げお酒を呑みほした それを合図に皆帰路に就いたのだった 

「あー疲れた しかしこうした宴は良い物だな 下らん貴族のパーティーより断然良い まぁここは本当に良い所だな 皆気さくに話してくれる 貴族同士の腹の探り合いも無いしな」と言ってきた 更に「すまないが明日は早くに経つことに成る 馬車の旅はしたこと無かろうが けして楽ではないので 少しでも寝て置け」と言った 「分かりました それではラースー(おやすみ)」と言ったら 「ほう もう此方の言葉を使うのか ラースー」 と言って立ち去った護衛の人や侍女だろうか?5~6人で帰って行った


家に戻ろうと歩いていると ふと 今夜で親子3人も最後なのだから少し時間を作るために 寄り道でもして帰ろうと思った

とはいえ 店など開いているはずも無くと思っていると一軒開いていた 営業ではなく仲間内で一杯やって居るようだ 俺のの顔を見ると カップを掲げ お前もやっていくか?みたいにされた そして手招きしてくる なら喜んで頂こう すぐにカップに酒を注いでくれた 慣れとは恐ろしい 来たばっかりの頃むせて碌にの呑めなかった酒だが 普通に呑める様になったものだ 何を言われているか良く判らなかったが 肩を叩かれがんばれと言ってくれているんだろう 有難い事だそうして3~4回「テリュイー」と陽気に酒を酌み交わしているとカノアとアインがやって来た アインの顔がちょっと怖い 怒っているのだろうか?一気に良いが醒めた するとカノアが村の男たちに一言二言話をすると アインに袖を掴まれ店を出た「ラースー」と挨拶しその場を離れた 

帰り道 カノアもアインも無言で有る 参ったなぁ 家族水入らずを作っただけなんだが 時間が長すぎたか?帰って来ないから心配して探して来てくれたんだろうな

無言のまま家に着く 袖を掴んだままベットルームに連れていかれる 無言のまま服を脱がされ 一つ一つ畳んでいく うーん手際が良い 着替えを渡され ベッドに腰掛けると 横からアインに抱き着かれた 顔を見るとうっすら涙ぐんでいた 判らないとは思ったが日本語で「心配掛けたね ごめんね 今夜でポンス達とも暫くお別れだから 家族だけで過ごせるように時間作っていたんだよ」と言った 勿論意味は伝わらないんだろうがアインは「ヤー」と言った可愛らしくて思わず抱きしめてしまった だが此処までだ まだ14歳に成るまでは いけない事だろう アインは「ラースー」と言ってランプを消し部屋を出て行った そのまま横に成り眠りについた


翌朝何時もの様に目を覚ますと何時もの様にアインの顔が有った いつもと違うのは 死ぬんじゃないかと思う位頭が痛かった事くらいだ 「ケアリャーフ」と朝の挨拶をすると「ケアリャーフ」と返事してくれる ただ少しやっぱり寂しそうな顔だ


いよいよこの村とお別れの朝が来た 短い間では有ったがやはり離れがたい感情が湧いて来る 朝食を取りに食堂に行く そこには何時もより豪勢な品々が並んでいた そうか此処での食事はもう暫く食べられないんだなと実感した ちょっとしんみりした気分に浸って居ると いつの様にお祈りが始まり俺はいつもの様に「いただきます」と言った いつもと違ったのはアインも「イタダキマス」と言った 少し感動してしまった 

アインが気を使って日本語で言ってくれたんだろう そしていつもの様に食事が始まった 

食事が終わりお茶を飲み終えた丁度の時間に ドアがノックされた 迎えが来たのだ 



最後まで読んで頂きありがとうございます まだまだ書くことに不慣れですが精進していきます

よろしくお願いいたします

長々と導入書いてしまいました 次回より徐々に物語が動きます

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