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王宮の幻花 ~婚約破棄されたうえ毒殺されました~  作者: 玄未マオ
第二章 精霊たちの世界
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美と夢幻の精霊ネイレス

 その精霊は、美丈夫と言っていいサタージュに比べると線が細く女性的な雰囲気があった。


「はじめまして、美と夢幻を司るネイレスと言います。仲間は略してネイレと呼んだりするけどね」


 所作の一つ一つが洗練されていて、確かに「美」を司るにふさわしい。


「精霊って男が多いの? でもフェリ様は女性だっけ?」

 ロゼラインがつぶやいた。


「我々精霊には基本的に性別はない、無性じゃ。彼らの姿は司る概念から人が思い浮かべる姿形がそのまま具現化されているにすぎない。『正しさ』という概念からはたくましい男性を連想する人間が多いからサタ坊はその姿なのじゃ、ただネイレの場合はの……」

 精霊王は説明しながら途中で口ごもった。


「ネイレの概念だと女性を連想する者が多いけど、こいつは無理やり姿を男に変えているのだ、その理由がな……」

 サタージュが続きを説明し、また口ごもった。


「だって、どうせちやほやされるなら男からより、女の子にされるほうが嬉しいじゃないか! だから男の姿でいる方がいいかなって」


 屈託のない笑みを浮かべてネイレスが答える。


 チャラ男かよ⁈

 ロゼラインは鼻白んだ。


「それはさておき、とにかく君の身の振り方だ。君が過去世を忘却して転生の流れに乗る通常のやり方に不信感を持っているのはよくわかった」

 サタージュが話を切り出した。


「あら、そこまで理解してくださっているなら、転生をつかさどる神かなんかに文句を言いたいし、殴り込みをかけたいから案内してくださるとうれしいのだけど」


 ロゼラインの言葉にサタージュは絶句する。

 精霊王フェリはそれをクスクスと笑いながら見ていた。


「あのな、転生の神と言っても、個別の存在が人の魂の輪廻転生を管理しているというわけでもなく、まあ、我々にもよくわからないのだが、気づけばそういう仕組みになっていたと言った方がいいから、責任を問おうにもな……」

「でも、私は、美華の時もロゼラインの時もあんなくそみたいな親の元に生まれさせられるようななんか悪い事でもしたのか、と、聞いたら答えはノーだったわよね」

「ああ、こちらでも可能な限り調べさせてもらったが、そういう因果応報的なものはみつからなかった。それでもなんだな、厳しい人生を歩むように宿命づけられたのは君の魂の水準が高いからであって……」

「はい、出た! 魂のレベルが高いから厳しい人生歩む説! 輪廻転生を司っている存在ってやりがい詐取でもモットーにしているの? レベルの高い魂だから? それが宇宙の進化につながるから? あのね、親ガチャハズレの人生強いられるとね、その理不尽さから運命とか、目に見えない魂の話まで調べたりする。そしたらそういうことがよく語られているわけよ」


 さらにロゼラインは続けた。


 美華が死ぬ間際の社会でも、企業による『やりがい詐取』はすでに問題になっていた。気立てのいい人ほどそれに引っかかるけど、その罠に陥ってはならないしそれをする企業を許してはいけない。

 矮小な人間どもの社会ですらそこに気づいて改めようと努力し始めていたというのに、その人間の魂を束ねる宇宙全体の輪廻転生のシステムそのものが『やりがい詐取』になっているのか?

 だとしたら地球やこの世界の輪廻転生ってどんなポンコツシステムなのか!


「ポンコツシステムって……。まあ、私が作ったわけじゃないし、君がそう感じるならそうなんだろうな……」

 サタージュが口ごもる。


「なんというかの、生まれ変わるたびにいちいち前世のことを忘却してから新たな生を始めるシステムは、それぞれ個別の魂がやらかしたことの果報をちゃんと受け取れているかというと、これまた少々おおざっぱな気がするわ。何度も繰り返す転生の中で帳尻合わせればいいと考えているような節があるが、そんなやりかたでは、粗悪な果報ばかり続けて受け取らされる魂が疲弊するのも当然じゃ!」

 精霊王フェリが意見を述べた。


「そこで、僕たち四柱の精霊だけがこの世界においてすることのできる、召喚による転生をお勧めしようと思ってやってきたんだよ!」


 美と夢幻の精霊ネイレスが自信ありげに言った。



 

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