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90 鍛冶屋ガルのお店



さてルナだが、パクパクと1種類ずつ口に放り込んで行っている。

もう、山盛りだったスイーツがほとんどがなくなっている。

ルナはそのまま横のパネルボードの方を向き、迷うことなくタッチしていた。

その作業が終わると俺の方を向いて言う。

「テツよ、やはりチョコレートのケーキがおいしいな。 持ってきてもらった時に光が反射している。 触れると崩れるんじゃないかと思ったが、スッとナイフが入っていく。 口に入れると口いっぱいにチョコが広がるのだ。 これはたまらんなぁ・・」

いったい何の報告をしているんだこの人は?

俺は苦笑いしながらうなずく。

まぁ、ルナがご機嫌なのはいいことだ。


その後、ルナはケーキばかりを堪能した。

店員も何度か足を運ぶが、運ぶたびに顔が引きつっていたのは気のせいだろうか。

食事も終わり、俺たちは店を後にする。

部屋に戻るとルナが言う。

「テツよ、ワシは食後の休憩じゃ。 寝るぞ」

そのままベッドに横になっていた。

俺はまだ眠くはないし、まだ外は明るい。

「ルナさん、ちょっと街を散歩してきます」

俺はルナにそう声をかけたが、返事はない。

どうやら本当に眠っていたようだ。

俺は静かに部屋を出て外へと向かう。


外を歩きながら思っていた。

この武装都市に来て武器屋などを見ていない。

いったいどういうものを作っているのか気になる。

じぃちゃんの武器よりもいいものはおそらくないと思う。

あの人は私心がない。

ひたすら初めの思いのまま打つ。

だからこそ凄い武器が生まれるのだろう。

俺は武器屋に向かっていた。

ギルドなどに設置されている案内地図で場所は把握している。

武器屋は3つほどあったが、とりあえず一番近い武器屋に向かう。

宿泊施設からすぐにあった。

『鍛冶屋ガルのお店』

自分の看板にお店って表記はどうかと思うが、まぁいい。

俺はガルの店の前に来た。


店の前で見上げてみる。

確かに看板にガルのお店と書いてある。

それほど大きくはないが、いかにも武器屋という感じだ。

入り口は自動ドアらしく音もなく扉がスッと開く。

俺は中に入っていく。

まぁまぁ人が入っている。

みんな武器を手に取って眺めたり、素振りをしたりしている。

カウンターの方では剣を持った男が店員だろうか、女の人と話をしている。

剣を持って何やらいろんなジェスチャーを繰り出して、笑ったりしている。

俺も店内を見回ってみよう。

・・・

剣もあるし、銃もある。

魔法の杖もあるな。

ん?

アクセサリーもあるのか?

何でもアリだな。

近くの冒険者たちだろう、いろんな会話が聞こえる。

「・・お前の武器は剣だよな? 作ってもらったか?」

「いや、ダメだったよ。 ガルさん、なかなか作ってくれないんだよな」

「そうだろう。 俺もやっと作ってもらったが、重いんだ。 俺のレベルが上がれば軽くなると言っていたが、なかなかねぇ・・」

「レベルか・・なかなか上がらないよな」

「そうなんだよ。 だからまだ前の剣を使っているよ」

「そうか。 ガルさん、俺たちの成長をみながら作ってくれているんだろうな」

「あぁ、そう思うよ。 まぁお金もそれなりかかるけど、トップランカーの冒険者の話などを聞くと相当なものらしい」

「やっぱりか・・」

・・・

冒険者が気軽に話しているのが聞こえる。

俺はそれを聞きながら思っていた。

このガルって鍛冶屋さん、気難しいのだろうか?

あのドワーフのおやじみたいな感じかな?

でもまぁ、かなり信頼されているみたいだな。

そんなことを思っていると、店の入り口の扉が開く。


身なりの良い人が入ってきた。

冒険者だろうか?

店内にいた何人かの冒険者がすぐに気づく。

「おい、あれって・・」

「あぁ、間違いない。 アッカ隊長だ」

「あぁ、そうだ。 いったいどうしたのだろう?」

「アーオイン様が亡くなったと聞いたぞ」

「おい、声が大きい・・」

店内の冒険者たちがザワザワしていた。


アッカと呼ばれる人が気にするでもなく、まっすぐにカウンターへ行く。

先程剣のことで話し合っていた女の人が応対をしていた。

俺はそれを横目に見ながら、あの受付の人も忙しいなと思っていた。

アッカは背負っていた剣を取り出して女の人に渡している。

俺はそこまで確認すると店内を見て回る。

あまりやってはいけないのだろうが、これは! と思う武器を鑑定したりしていた。

武器には☆が一つ付いたりしている。

なかなかの業物だろう。

だが、じいちゃんのように☆が3つも4つもあるような武器はない。

ということは、じいちゃんはいったい何者なんだ?

アニム王が王宮直属にしたのもうなずける。

街に置いていたら、あのじいちゃんのことだ。

レジェンド級の武具をホイホイと作ってしまうかもしれない。

いろんな意味で、いいところで作業できているということか。

俺はそんなことを思いながら武器を見て回っていると、アッカと呼ばれる人はいなくなっていた。

どうやら武器を預けて帰ったようだ。


俺はそれよりも受付でいる女の人が気になる。

あの人、あそこから動かないな。

俺はガルっていう職人がどういう人か見たかったのだがな。

冒険者は出たり入ったりで、それほど人数に変化はない。

受付でいる女の人がニコニコしながらカウンターに両手を置いて、店内を眺めている。

俺もそろそろ帰ろうかと思った。

最後に受付のところでいる女の人に軽く声をかけてから帰ろう。

そう思って近づいて行く。


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