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83/236

83 疑惑



魔法ならいざ知らず、身体能力ではドレイクの方が遥かに上だ。

三巨頭たちもそれくらいはわかっている。

「い、いやドレイク、すまなかった。 我らも自身の魔法陣が被害を受けて気持ちがたかぶっていたようだ。 許してくれ」

インパが慌てて言葉をつくろう。

・・・

少しの間緊張感が漂うが、ドレイクが言葉を出す。

「ふぅ・・まぁいい。 だが、誰にも気づかれずに魔法陣を破壊できるものなのか?」

「それはない。 必ず誰かの目に触れる。 だからこそ、こうして我々もお主のところへ直接足を運んだのだ」

ドーブの言葉に全員がうなずく。

みんながその場で悩んでいる。

・・・

シーナが顔を上げて話し出す。

「そういえばドレイク。 お主のところに神殿騎士が来ているであろう。 どこにいるのだ?」

ドレイクは一瞬迷ってしまった。

確かに俺の執務室にいる。

だが、それをこの三巨頭に言えば、俺は間違いなく疑われるだろう。

嘘を言えば、バレたときにこれまた疑われる。

それに受付やすれ違った連中は知っている。

また、返答が遅れればこれも疑われる。

それらの判断を一瞬でドレイクはした。

そして答える。

「今、俺の執務室で待機してもらっている」

ドレイクはそう答えながら、今からの一言一言に注意しておかなければいけないなと、気を引き締める。

この猜疑心の強い三巨頭たちのアンテナに、どの言葉がひっかかるかわからない。

面倒なことになる。


ドーブたち三巨頭がドレイクを見つめる。

「なるほど・・早速尋問をしていたわけですか」

インパが言う。

ドレイクは片口を引き上げニヤッと笑い言葉を出す。

「今、来てもらったところだ」

「そうか。 我々も同席させてもらってもよいだろうか?」

ドーブが言う。

ドレイクの頭の中は今までにないくらい回転していただろう。

断るわけにもいかず、連れて行けばどうなるかわからない。

間違いなく面倒なことになる。

しかし・・。

そこまで考えると、ドレイクは覚悟を決めた。

「もちろんだ。 では行こう」

ドレイクはそう言うと、三巨頭を連れてルナたちのいるところへ向かって行く。

歩きながらドーブが誰に話しかけるでもなく言葉を出す。

「俺たちの魔術都市に神殿騎士が来たときには会えなかったからな。 ダンジョンに入って行方不明になったと聞いていた。 無事に脱出できたのだな」


ドレイクはその話を聞きながら考えていた。

確かルナ様は各地の魔法陣を破壊して回っていると言っていた。

どういうことだ?

この三巨頭と遭遇しなかったのか?

・・・

わからない。

そんなことを考えていると、ドレイクと三巨頭はルナたちがいる執務室の前に到着。

ドアをノックしながら入って行く。

「入ります」

ドレイクはそう言って入って行った。

三巨頭も一緒に入って行く。


<テツ視点>


俺はルナと部屋ですることもなく少し呆けていると、ドアをノックしながら入って来るドレイクを見つける。

その後ろから、魔術都市にいたあの三巨頭が一緒に入ってきた。

確か、こいつらルナに記憶を改ざんされて俺たちのことは知らないはずだ。

そう思ったが、俺は少し焦ってしまった。


三巨頭は部屋に入って来ると、ドレイクの横に並び俺たちを見下ろす。

「貴様らが神殿騎士か?」

ドーブが完全な上から目線で言う。

俺は席に座っていたので、ゆっくりと立ち上がり返事をした。

俺が立ち上がっても相手の方がでかい。

俺はやや上を見て答える。

「はい、そうです」

「確か、テツとルナといったかしら?」

初めに聞いてきた横の線の細い身体の女が聞く。

インパだ。

「はい」

俺も素直にうなずく。

どうやら俺たちのことは覚えていないようだ。


そのやり取りを見てドーブの人物鑑定が終わったのだろうか、鼻で笑うような仕草をした。

「フンッ、なるほど。 確か、夜の王の使徒と龍神族の眷属とかいう話だったが、そうなのか?」

ドーブが聞いてくる。

俺はどう答えようか迷った。

勝手にこの世界の連中が言っていることだ。

どうでもいい。

「いえ、私にはわかりません。 確か、測定器で計った後に勝手にそういう言葉が出たようですし・・」

俺は取りあえずそう答えてみる。

「へぇ・・素直な子はかわいいわね」

シーナが微笑みながら言う。

インパは横で微笑みながらうなずいていた。


前もこんな会話なかったか?

どこかの三文芝居のようだぞ。

俺はそんなことを思っていた。

ルナは下を向いたまま動かない。

俺がチラっと見ると目と閉じている。

・・・

ね、寝ているんじゃないのか?

「そちらの横の婦人はどこか調子が悪いのか?」

ドーブが聞く。

ドレイクが少し驚いたような顔をして言葉を発する。

「え、まさか・・」

「ドレイク、どうかしましたか?」

インパがドレイクの方を見た。

「い、いや、何でもない」

ドレイクはルナの事を心配しているようだ。


俺がルナを見て三巨頭たちを見る。

「いえ、彼女はよく気を失うのです。 移動も私が背負ってすることが多くあります」

俺がそう説明すると、ドレイクが一番驚いていた。

「それは本当ですか?」

ドレイクはハッとして、すぐに平静を取り戻す。

三巨頭は不思議そうな顔でドレイクを見てから俺を見る。

「何かの病気なのか? まぁいい。 それよりもドレイク、先ほどの提案どおり魔法陣を見に行こう」

ドーブが言葉を出す。

「え、いや、しかし・・」

ドレイクが少し戸惑っていた。

「構わないではないか。 彼らは神殿騎士だ。 魔法陣を見ておくこともこれからの勉強になるだろう」

ドーブがそう言うと、インパとシーナも同じことを言う。

「そうよ、別にいいじゃない」

「何か見られて困ることでもあるのかしら、ドレイク?」

「い、いや、別になにもない。 では行くか」

インパたちの言葉に返答し、ドレイクはゆっくりと歩き出す。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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