表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/236

70 いいパーティじゃないか



ブルー:ビフレストで1位の冒険者の名だ。

ビーツとそれほどレベルが違うわけではない。

パーティ全体のまとまりもそれほど違わない。

ただ、常に相手がほんの少し運がいい感じがするだけだ。

そして今、ダンジョンの攻略を目指してビフレストの上位ランカーたちが戦っていた。

攻略組のパーティがすべて20階層を過ぎた辺りで行き詰まっている。

ブルーと呼ばれるランク1位のパーティも25階層で立ち止まっている。

ビーツたちは24階層をカウントして戻って来たところだ。

ランク2位の冒険者は23階層をカウントしたという。

後の攻略を目指している上位ランカーは22階層に到達したという話を耳にした。

ランク2位もまだ23階層はクリアはしていないようだ。

クリアまで時間はかかるだろうが、追いつかれてしまう。

せっかく2位よりも先に進んでいる。

2位よりもかなりの時間ダンジョンに潜っていたためだ。


ビーツは表面上は落ち着いていたが、内心は穏やかではない。

ブルーにしてもたった1歩先に進んでいるだけだ。

何としても追いつきたい。

だが、そんな深い階層に一緒に行ってくれる人なんて滅多にいない。

そんな時、ギルドにテツが来たわけだ。

素性はわからないが、とにかくあのマッドドッグのミスリルの斧を軽々と扱っていた。

()()()()ではないだろう。

それにサッサと声をかけておかないとどこかのパーティに取り込まれてしまうかもしれない。

そう思ってテツに声をかけたところだったという。

ビーツはそういった意図も隠さずに正直に話してくれた。


信用できるやつだな。

俺はそう感じる。

良いことだけではなく、嫌なこともきちんと教えてくれた。

「どうだろうか、テツ?」

ビーツはジッと俺を見つめる。


俺はビーツを見て少し考えていた。

ビーツたちの話を聞いていて心が痛む。

ふぅ・・ダンジョンマスターがレベル44のタイタンになっている。

もはや、当分攻略は誰も無理だろう。

行けば死ぬ。

何か変な責任を俺は感じていた。

少しだけなら付き合ってもいいかもしれない。

このビーツって人からは嫌な感じはしない。

ただ、完全攻略はダメだろうから、少し進む程度なら一緒に行ってもいいかもしれない。

それほど時間もかからないだろう。

俺は軽い気持ちで答える。

「えっと、ビーツさんでしたね。 それから・・」

俺は周りの仲間を見渡しながら、名前が出て来ない。

「ピマンだ」

「プリカよ」

「マーネギです」

みんながそれぞれ挨拶してくれた。

「少しの時間でしたらお供させていただきます。 よろしくお願いします」

俺がそう答えると、ビーツはとても喜んでくれた。


「そうかいテツ! ありがとう!!」

ビーツが嬉しそうな顔をみんなに向ける。

他の仲間も仕方ないなという感じでうなずいていた。

誰も嫌がる顔はしなかった。

俺はホッとした。

一人でも嫌な感じになると、うまく連携が取れないからな。

いいパーティのようだ。

俺はそう思いながらパーティを見ていると、マーネギが手で座れば? と合図してくれる。

「テツさん、どうぞ」

「あ、あぁ、ありがとう」

俺も軽く返答し座らせてもらう。


ビーツが近寄って来て、皆で作戦会議らしきものが始まる。

「では、話を続けよう。 俺たちはダンジョン24階層までカウントしている。 ただクリアはしていない。 ブルーたちは25階層に到達したところだという。 おそらく1か月くらいはその階層で力をつけてクリアを目指すことになるだろう」

ビーツの話を聞いて俺は驚いた。

1か月も同じ階層で戦うのか?

俺が意表を突かれたような顔をしていたのかもしれない。

ビーツが俺の方を見て言う。

「どうしたんだいテツ? 何か変なことを言ったかな?」

ビーツが言う。

「い、いえ、別に。 ただ同じ階層で1か月も戦うのかと思うと、大変だなって思って・・」

俺がそういうと、逆にビーツたちは意外そうな顔を俺に向ける。

「何言ってるんだよ。 1か月なんて早い方じゃないか。 普通は半年くらいが基準になるのだが、ブルーたちは効率がいいからね」

ピマンが笑いながら説明してくれた。


俺は説明を聞きながら、自分の情報修正をする。

ダンジョンの階層クリアには相当時間がかかること。

暗黙ながらもそれぞれのパーティが意識し合っていること。

ビーツたちはこのビフレストでギルドランク3位だというが、それでも24階層までしか行けていないことなどなど。

・・・

「ビーツさん・・俺なんかで大丈夫ですか?」

俺なんかがいたら、逆の意味で邪魔になるんじゃないかと思った。

「ビーツでいいよ、テツ」

ビーツが言ってくれる。

「では、リーダーと呼ばせてもらいます」

俺がそう言うと、他の仲間もうんうんとうなずいている。

今会話していて思ったが、悪くないパーティだ。

変に馴れあうのではなく、適度に距離を保ち相手の言葉も尊重できている。

何よりリーダーが独裁的ではない。

後は戦闘なんかを重ねながら理解するしかないな。

とはいえ、それほど長い時間一緒にいるわけじゃないし。

俺はそんなことを思いながらビーツに聞く。

「リーダー、それでダンジョンの攻略ですが、どうやって進めるのですか?」

「うん、それなんだが、とりあえずはブルーたちに追いつこうと頑張っているんだ。 これはあまり聞いていいものかどうかわからないが、テツはどんなスタイルで戦うんだい?」

ビーツが聞く。

他の仲間もピクッとなって動きが止まり、俺の方に注意を向ける。

・・・

何か少し緊張するな。

「いや、すまない。 テツがパーティに入ってくれたので、一応スタイルを聞いておきたいと思ったものでね。 あまり自分のスキルに関することは答えなくていいよ」

ビーツが丁寧な口調で言ってくれる。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


よろしければ、ブックマークなど応援お願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ