7 神殿騎士の扱いって・・
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
感謝です。
俺たちは街を歩きながら、とりあえずは神殿を探してみた。
ギルドみたいなものがあればいいのだが、わからない。
とにかく神殿を経由してからでいいだろう。
・・・
・・
街中を結構歩いたが、ビルのような建物ばかりで、どれが神殿かわからない。
ルナJrは結構疲れたらしく、俺が背負っている。
背中でどうやら寝ているようだ。
こりゃ、自力で探してもわからないな。
俺はそう思うと、街を歩いている人を捕まえようと思った。
・・
お! あの人に声を掛けてみよう。
どこかの山登りかというような恰好をしている。
「すみません・・」
俺が声を掛けると、立ち止まってくれてこちらを見る。
少し痛い子をみるような目で見てくるが、気のせいか?
「あの、神殿ってどこにありますか?」
「神殿ですか? えっと・・確か・・あ、あそこです。 あの赤いレンガの建物ですよ。 目立つ作りだから近くに行けばすぐにわかりますよ」
親切に教えてくれた。
「ありがとうございます」
俺はお礼を言って神殿へ向かう。
別れ間際も少し痛い子を見る目で俺を見ていた。
?
何か変なのかな?
ルナさんをおんぶしてるからかな?
そんなことを思いながら、歩いて行く。
神殿の前に来た。
赤茶色のレンガ造りの建物だ。
神殿と聞いていなければわからない。
普通のレンガ倉庫だ。
入り口に行くと、自動ドアのようだ。
ブーン・・といって、扉が開く。
ルナJrは俺の背中で眠ったままだ。
中へ入ると、ローブを纏った女の人が近寄って来る。
「こんにちは、当神殿に何か御用ですか?」
「あ、あの・・」
俺はそう言って、ライセンスカードを出した。
カードを見た瞬間に、ローブを纏った女の人がカードと俺たちを何度も見やる。
「しょ、少々お待ちください」
女の人はそう言って、早足で奥へ消えて行く。
神殿の中は普通の感じだ。
祈りを捧げる場所と空間がある。
俺が建物の中をゆっくりと見渡していると、奥から先ほどのローブを纏った女の人と、少し年配の男の人が近寄って来た。
「神殿騎士様、ようこそお越しくださいました。 こちらに到着される時間を知らせてくだされば、お迎えに上がったものを申し訳ございません」
年配の男の人が丁寧に挨拶する。
「い、いえ、こちらこそ突然伺って申し訳ありません」
「何をおっしゃいますか。 神殿都市の神官長からお話は伺っております。 さぁさ、こちらへ」
俺たちはこの神殿の人に案内されて、祈りを捧げる部屋を通り越し、奥の部屋へと移動した。
部屋の中に入って思うこと。
きれいな空間だ。
だが、神殿を謳っている割には贅沢ではないのか?
そう思った。
俺の心に少しだが、神殿に対する不審が根付く。
でもまぁ、情報は欲しい。
年配の男の人はこの街の神官長らしい。
名前はフォルセティという。
「夜の王の使徒様と龍神様の眷属の方々でしたな。 この度は我々の神殿へお越しいただき、ありがとうございます。 早速ですが、光の巫女の情報ですが、あまり良きものがございません。 申し訳ありません」
そう言って、頭を下げていた。
「いえ、神官長。 お顔を上げてください。 それよりも、とりあえず休憩できる場所を教えていただきたいのですが・・」
俺がそういうと、
「でしたら、遠慮なくこの神殿をご利用ください。 ありがたい限りです」
おい、このおっさん、どこかの営業か?
調子が良すぎるぞ。
なんか怖いな・・俺はそう感じる。
「いえ、神官長。 街の情報も得たいと我々は考えております。 街の中にどこか泊まれる場所があれば教えていただきたいのです」
俺がそういうと、神官長は大きくうなずいて言う。
「そうですか・・さすがです。 神殿だけでは得られない情報もあるかもしれませんね。 わかりました。 でしたらこのギルドの宿泊施設を利用されると良いかもしれませんね」
神官長がそう言って、パンパンと手を叩く。
部屋の横の扉がスッと開いて、先程のローブの女の人が入って来た。
「この方々を、ギルドの宿泊施設へご案内してください」
「かしこまりました」
ローブの女の人がゆっくりと神官長に頭を下げる。
!!
うお!
今、胸が揺れたぞ。
マジか?
この子、着痩せするタイプか!
「どうかされましたか?」
ローブの女の人が言う。
「い、いえ、何でもありません。 よ、よろしくお願いします」
俺は急いでお辞儀をした。
神官長にお礼を言って、俺たちはローブの女の人に案内してもらう。
ルナJrはまだ俺の背中で眠っている。
ローブの女の人は歩きながらいろいろ話してくれた。
この街がどんな街でどういった人たちがいるのかなど。
まず、ほとんどが光の神の信徒だという。
その恩恵が多いからだそうだ。
特に回復系の力が強く、いろんな活動に有利になるのだとか。
また、どの街にも神殿とギルドが存在しているらしい。
ギルドは経済的な活動を主に担っていて、冒険者なども活躍しているという。
そこで俺が神殿都市で神殿騎士のライセンスカードをもらったと伝えたら、それは凄いですねと回答。
何でも、なかなか発行してもらえず、ギルドでは無条件でB級冒険者扱いになるのだという。
ギルドでもライセンスカードはそのまま使えるそうだ。
ダンジョンも街には存在しているらしい。
そして何でもこの街は、この世界でも第1級に名を連ねるダンジョンらしい。
その階層は40階層あると言われているという。
言われているというのは、誰もその階層まで到達したことがないのだそうだ。
今のところ到達最下層が31階層という。
それもS級クラスの冒険者がパーティを組んで攻略したそうだ。
伝説になっているという。
・・・・
・・
いろんな話をしてくれているうちにギルドへ到着。
また、俺たちの格好が少し田舎風過ぎる感じだそうだ。
だから痛い目で見られたのか。
さて、このギルドは帝都のギルドとほとんど変わらない感じだ、なるほど。
俺は見ていてそう思った。
ローブの女の人も一緒に中に入ってくれて、受付へ行く。
受付は結構混雑していたが、中から一人の男の人が出て来た。
「これはこれは、ノートさんじゃないですか? どのような御用ですか?」
男はにっこりとして言う。
「こんにちは、ギルドマスター。 この方々の宿泊するところをお願いしに伺いました。 よろしいですか?」
ノートがそう言うと、ゆっくりとうなずきながら俺たちを見る。
「あ、それとギルドマスター。 この方々は神殿騎士様です」
ギルマスは目を大きくして驚いていた。
「なるほど・・でも、どうして神殿で・・いや、何か言えない事情が御有りなのですね。 わかりました、お引き受けいたします」
ギルマスはにっこりと返答。
ノートはよろしくお願いしますと言うと、俺たちに挨拶をしてギルドを後にする。
俺も案内してくれたお礼を言う。
「さて、神殿騎士様、どういったお部屋がご希望ですか?」
ギルマスがいきなり俺たちに聞く。
「あ、そうですね。 ゆっくりできる部屋でしたらどんな部屋でもいいです」
俺がそう答えると、不思議そうな顔を俺に向ける。
「神殿騎士様・・あなた本当に神殿騎士なのですよね?」
ギルマスがそう言うので、俺はライセンスカードを見せた。
ギルマスはそれを手に取り、ボードパネルに乗せている。
大きくうなずいて、カードを返してきた。
「これは失礼しました、テツ様。 ですが、神殿騎士様はいつもスイートルームなどを用意しろとおっしゃるものですから・・少し驚いたのです。 申し訳ありません」
は?
いったい神殿騎士ってどんな奴等なんだ?
それって優遇措置じゃなくて、迷惑な奴等だろう。
大丈夫か、神殿騎士?
「そ、そうなんですか? 俺にはよくわかりませんね。 ほんとにゆっくりできる部屋でしたら、どこでもいいのですが・・」
俺はルナJrをチラッと見て言った。
「わかりました。 お連れの方もお疲れのようですね。 早速手配いたしましょう」
ギルマスがそう言って素早く手続きをしてくれた。
部屋はギルドの上層部にあり、駅ビルのホテルのような感じだ。
スイートルームのような感じではないが、結構いい部屋なのはわかる。
俺たちはその部屋にギルマス直々に案内されて、連れて行ってもらった。
「こちらをお使いください。 また、何かありましたら遠慮なくお呼びつけください」
ギルマスはそう言って部屋を出て行った。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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