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68 ドレイクの怒り



その空間を見ていると、キラキラと金色か銀色かわからないが光るものが見える。

その光っているものが、ゆっくりとタイタンに向かってゆきタイタンと同化した。

「よし、タイタンよ、このダンジョンを管理しろ」

ルナがそう声を掛けると、タイタンはうやうやしく片膝をつきルナに挨拶をしていた。

「さてと、テツよ帰りはワシをおぶってけよ。 少し近くに寄れ」

ルナがしんどそうな目を向けて俺に言う。

俺は言われるままに近寄って行く。

「まぁ、おぶって行くくらいならいいで・・」

俺がそこまで言うと、いきなりキスをされる。

いや、キスというよりもライフドレインだ。

!!

俺の意識が薄れていく。

・・・・

・・

俺が目を開けると、ルナの膝枕で寝ていた。

少し顔を動かすと、タイタンがルナの横で鎮座している。

まるで置物のようだな。


「起きたかテツ。 さて、帰るか」

俺は何も言えない。

起きたかって、ねぇ。

何かライフドレインされるのが当たり前のようになってきたな。

・・・

俺は身体を起こし軽くブルブルと揺すってみる。

全然問題ない。

しかし、ルナにライフドレインをされると意識が飛ぶのは耐性ができないものかな。

一気に持って行かれるのがいけないと言っていたが、ゆっくりやられたらやられたで、妙な感じになってしまうだろうし・・まぁ命に別状はないようなので、いっか。

俺が少し考えているとルナが聞く。

「テツよ、どうした?」

「いえ、あのミイラのことを少し考えていました」

俺は答える。

あのミイラ・・結局何者なのかわからなかった。

だが、自分の存在がダンジョンを守ることにつながっていると信じて、死ぬに死ねなかったのだろう。

そして、いつか来るであろう強者を待っていた。

そして、俺がやってきた。

うれしかっただろうな。

いや、そんな感情すらなくなっていたかもしれない。

だが、あのタイタンは何の躊躇もなく一気に片づけたからな。

むしろ、あれくらいの方がよかったのかもしれない。

・・・

いろいろ考えても仕方ない。

済んでしまったことだ。

俺はタイタンを少し見つめて、ルナの方を見る。


「テツ、あのダンジョンの管理者だが、リッチになっていたのだな。 さて、新たな管理者もできたことだ。 ほれテツ、背を低くしろ。 ワシが乗れないではないか」

ルナは別に感傷的になるわけでもなく普通に物事を進めてゆく。

俺も言われるままにルナを背負う。

やっぱり軽いな、ルナさん。

そして、背中のボリュームは役得だ。

俺たちはそのままダンジョン最下層を後にした。


◇◇


<ビフレストの神殿>


ドレイクとアッカは神殿へと戻ってきていた。

アッカは事後処理をすると言って自分の部屋に戻る。

ドレイクは神官長としての職務があるので、政務室へと来ている。

帰ってきてから、アーオインのことで感傷にひたることもできず、書類に目を通しサインをして決済していく。

その煩雑はんざつさが、少しだけ心を軽くしてくれているようだ。

決済を一つずつ処理していくと、一つの妙な書類に目が留まった。

その書類を見ると市民からの投書のようだ。

書類といっても紙媒体ではない。

魔法で紙のような感じに文字を表示しているだけだ。

決済を済ませ、サインをすると消える仕組みになっていた。

その決済したものは、政務室の管理するシステムに整理されて収納される。


ドレイクはその書類を見つめていたが、ベルを押し影を呼ぶ。

すぐに影が現れた。

「お前たち、この書類を見ろ」

ドレイクはそう言うと、見ていた書類を影たちに見せる。

影はササッとドレイクの所へ行き、書類に目を通した。

「この書面の通りなら許されるべきことではない。 事実が確認できたならば、関係者を調べ上げ現場の判断で良い、処断しろ。 可能ならば生き証人が欲しいが、お前たちに任せよう」

ドレイクはそれだけ言うと、書類にサインをする。

影はいつの間にかいなくなっていた。

書類には、街の外れにある大きな屋敷で人身売買を行っているというものだ。

エルフまで扱っているとあった。

テツからの投書だった。

差出人は書かれていない。

ただ、ビフレストのギルドからの投書だというはわかる。

すぐにでも白黒がはっきりするだろう。

ドレイクはそう考えると、次の書類に目を通していた。


しばらくして、ドレイクは書類の決裁が終わったようだ。

何枚かの書類を持って眺めていた。

「う~む・・神官長の集まりか・・行かねばなるまい」

ドレイクはブツブツとつぶやいている。

すると部屋をノックする音が聞こえる。

「入れ!」

ドレイクが言うと、静かにドアが開かれて拘束された男3人が影に連れられて入ってきた。

ドレイクはその中の1人を見つめ、少し驚くも軽蔑する目を向ける。

「貴様は確か上級貴族だったな。 街の外れの屋敷に住んでいたと思うが・・」

ドレイクが言葉を投げ捨てるように言う。

影にこのような形で連れて来られたということは、既に有罪確定だろう。

影の1人がドレイクの前に進む。

頭を下げ報告をする。

「ドレイク様、書面の通りでございました。 仲間が現場を押さえております。 子供たちが軟禁されておりました」

ドレイクはその報告を聞き、ゆっくりと立ち上がる。

落ち着いた足取りで上級貴族の前に進んで行く。

上級貴族はドレイクが近づくに従って身体をのけ反らせながらも、その場で震えていた。

「なるほど、我が管理下で恥知らずが。 そちらが奴隷商人か・・」

ドレイクがそう言葉を発すると、影が一つのものを差し出していた。

首飾りだった。

!!

ドレイクはそれを見つめ、すぐに顔色を変える。

「こ、これは・・誰が作ったのだ? 隷属の首輪ではないか!」

ドレイクの声が重みを増す。




最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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