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66 あの怖いんですけど



<ビフレストダンジョン31階層:テツ視点>


30階層のボスはゴーレムとジャイアントだった。

俺は特に苦戦することもなく、即座に通過。

31階層に到達していた。


入り口付近の魔物をサクッと討伐し、ゆっくりと奥へと進んでいる。

ん?

入り口付近に誰か人の気配を感じた。

集中して見てみる。

どうやら2人の人のようだ。

ピピ・・。

レベル33とレベル31か。

結構高いレベルだな。

俺はそう思いつつ、見つからないように岩の影に隠れる。

現れた2人は入り口付近で少し歩いていたかと思うと、来た道を戻り始めていた。



<ドレイクたち>


ドレイクは31階層へと足を踏み入れる。

「アッカよ、ここが誰も来たことのない最下層か」

「はい」

「寂しいな・・アーオインがいないと・・」

ドレイクは静かに言う。

「アッカ、今回は帰ろう。 このまま進むには危険が多すぎる。 それに急ぐこともあるまい」

「はい」

アッカはそう返事をすると、ドレイクと一緒に来た道を戻って行く。



<テツ視点>


俺はダンジョン31階層入口を見つめていた。

2人の人影はそのまま入口の奥へと消えてゆく。

「なんだ? 階層だけカウントさせて取りあえず帰ったのかな?」

そうつぶやきながら、人の気配などがないことを確認。

「よし、ここまで来たのだから31階層ボスもクリアしておこう。 だが、ダンジョンマスターなどの余計な仕事みたいなのが増えるのは嫌だな・・」

俺はブツブツと言いながら、奥へと進んでゆく。

途中に魔物が現れるが、たいしたことはない。

最大でもレベル35くらいの魔物がいるくらいだ。

しばらく進むと、大きな壁が見える。

山というほどではないが、切り立った岩山だ。

その岩のところに大きな扉があった。

おそらくボス部屋だろう。

俺は少し息を吐き、気持ちを整える。

いくらレベルが低いといっても、油断はダメだ。

それでいままでどれだけ失敗してきたか。


そう考えると、少し緊張した。

適度の緊張は集中力を高める。

いい感じだ。

大きな扉にそっと触れると、ゆっくりと扉が開いてゆく。

俺は中へ入って行った。


俺が入ると、すぐに扉は閉まっていく。

ズーーン・・。

ん?

今、扉のところで黒い影が動いたような気がしたが・・気のせいか?

いや、それよりもボス部屋だ、集中しろ!

扉が完全に閉じられたようだ。

俺は前方を集中して見る。


ピピ・・。

ミノタウロス:レベル38×3

魔物が見えた。

「ミノタウロスか・・そういえば、こいつら固有結界を作るんだっけ?」

俺は独り言をつぶやきながら進んでいく。

!!

「よし! 一気に行こう」

加速する!


左足に力を入れて前に蹴り出す。

ほんの1瞬だろう。

すぐにミノタウロスの前に現れた。

相手は全く反応できていない。

俺は即座に飛燕を抜きながら魔法を纏わせる。

そのまま横薙ぎに一閃。

スパーン!!


目の前のミノタウロスは何が起きたかわからなかっただろう。

ミノタウロスの身体がゆっくりとズレていく。

そのまま蒸発。

残りの2体は、自分たちの前のミノタウロスが消えたのを確認したようだ。

その方向を向こうとする。

その間に俺は動き、近い方のミノタウロスをまたも横薙ぎに一閃。

スパン!!

返す刀で、隣のミノタウロスを縦切りに斬り抜いた。

ドン!

ふぅ・・ま、こんなものだな。


飛燕を収納。

ミノタウロスが蒸発し、3つの魔石が転がっていた。

俺は魔石を回収しながら少し違和感を感じていた。

この階層が確か最下層だったはずだ。

このミノタウロスがダンジョンマスターだったのだろうか。

それにしてはまるで意思など感じなかったし、ボス部屋の扉も開く気配がない。

ゆっくりと辺りを見渡してみる。

何かがいるような気配はない。

ん?

ミノタウロスたちの後ろ、岩の間に小さなくぼみがある。

俺はゆっくりと近づいて行った。

「こ、これは・・ミイラか?」

それを見て少し驚いた。

こげ茶色になった人のような形をした腕が、くぼみの中で椅子を掴むようにして座っている。

身体もどこか損傷しているようでもない。

ミイラはうつむいており、全体としてこげ茶色の骨に見える。

・・・

!!

俺はドキッとした。

ビクッと一歩下がる。

・・・

今、動いたよな?

違ったか?


こういった恐怖シリーズは苦手なんだよ。

お化け屋敷や心霊ものは最悪だ。

見たくもないし、体感したくもない。

そんなことを思いながらも、目が離せない。

・・・

!!

やっぱり動いた!

俺が動けない。

こげ茶色の頭がゆっくりと動き、俺の方を見る。

『・・まさか、ここまで来るものがいようとは・・』

ミイラから声? 

いや違う。

念話のような言葉だ。

俺はそう思いながらも、どこか恐怖心が薄くなっていく。

ミイラの頭がゆっくりと起き上がり、俺の方を向く。

目のところは真っ黒だ。

あの怖いんですけど・・。

俺は動けずにジッと見ている。

『・・ワシはここのダンジョンマスターだ。 お主の名を聞こう』

俺は言葉が返せない。

今までも驚異的な存在は見てきた。

だが、すべて生きているものだった。

今、目の前にいるのはどうにも生の存在ではない。

いや、この世界では死ねば消滅するはずだ。

どういうことだ?

俺は頭の中でいろんな言葉が浮かぶ。




最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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