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62/236

62 階層30



1階層に入ってみると、なるほどと思う。

さすが何もない。

人がいるだけだ。

チュートリアルというか、ダンジョンの紹介みたいな感じなんだろうな。

周りを見ながらゆっくりと進んで行く。

どのダンジョンもそうだが、10階層くらいまでは大した魔物はいないと思う。

俺は普通に進んでいるが、冒険者の中には必死で戦っている者もいる。

まぁ、頑張ってくれ。

ここのダンジョンでは10階に初めてレイドボスが現れるようだ。

ボスの部屋は入るとすぐにリセットされて、また次のパーティが入れるようになっていたはずだ。

同じボスだが、入ったグループごとで戦う場所が違う。

それぞれが戦って勝たねばいけない。

そして、入ると勝つか負けるか、最後の手段としては転移石なんかで強制脱出くらいしかない。

どのダンジョンも結構シビアな設定になっている。

何せ、ボス部屋は入って勝てなければ死が高い確率で待っている。

だからこそなかなかダンジョン攻略者がでないのだろうが。


さて、10階のボス。

ワーウルフ:レベル12×3

・・・

マジですか。

この犬がレイドボス?

俺は一人でボス部屋に入っている。

他のパーティなんかがボス部屋の入り口で待機しているところをスッとすり抜けて扉に入っている。

待機しているパーティなんかは、俺の移動には気づいていない。

ボスの扉が少し開いて閉じられると、

「おい、今扉が開かなかったか?」

などと言う声が、俺の背中で聞こえたりする。

大きく扉を開くこともないので、勘違いで済んでいるのだろう。


さて、ワーウルフ。

俺が一歩前に進むと、ワーウルフたちが一歩下がる。

上体を低くして吠える体制を整える。

確か、咆哮で相手を硬直させるスキルを持っていたっけ?

そんなことを思いながらさらに一歩進める。

ワーウルフたちがまた一歩下がる。

あれ?

吠えるんじゃなかったのか?

さらに俺が一歩進んだら、ワーウルフがお腹を見せてひっくり返った。

・・・

犬の服従サインですか?

俺はその場で立ち止まってしまった。

これじゃあ、倒せないだろ。

だからといってこいつらを倒さないと進めないし。

それに、俺よりもでかい犬モドキがそんな仕草してもかわいくないしなぁ。


俺は少し迷ったが、飛燕で一閃。

俺の目の前にいたワーウルフがパァッと消える。

残りの2匹がビクッ!!! となりながら、身体を起こした。

どうやら戦闘態勢に切り替えたようだ。

ウゥゥ・・とうなっている。

ヨシヨシ、それでいい。

俺も即座に移動。

あっさりと2匹を始末すると、次のエリアの扉が開いた。

・・・

そんなことを繰り返しながら、散歩気分でどんどんと階層を進んで行く。

他の冒険者なんかは必死で戦っているのだろう。

階層が進むに従って、魔物のレベルも上がってくる。

まぁ、レベルが上昇すると言っても今の俺には問題ない。

ただ、普通の冒険者たちは苦しいだろう。


俺は何の問題もなく30階層に到着。

他の冒険者の間をすり抜けながら、特に気づかれることもなく移動できたようだ。

30階層には人の気配はない。

そこら辺のフィールドのモンスターを倒し、ボスの扉の前に来た。

フィールドではワイバーンやスフィンクスなどのレベル28前後のモンスターが結構いたが、すべて討伐。

といっても魔物が少ないような感じがした。

それに同士討ちか?

初めから傷ついている魔物もいた。

ま、そんなことはどうでもいい。

さて、このボスはいったいどんなボスが待っているのだろうか。

特にワクワクするでもなく、作業をこなすようにボスの扉を開けてゆく。

ゆっくりと俺が通れるくらいに扉を開き、俺は中へ入って行った。



<30階層ボスの部屋:ドレイク達>


ドレイク達は30階層のフィールドモンスターを何とか片づけて、満身創痍になっていた。

回復薬や魔法で自分たちを回復させて、少し休憩してからボスの部屋に3人で入っている。

テツがフィールで傷ついたモンスターを見たのは、ドレイク達のパーティの進んだ後だったようだ。


「ドレイク様、まさか30階層のフィールドに伝説のスフィンクスがいるとは思ってもみませんでした」

ドレイクに付き従って歩く男が言う。

「アッカ、無駄話をしているところではないぞ。 前を確認しろ」

ドレイクが真剣な顔になって言う。

ドレイクに付き従っている2人の神殿騎士。

アッカ(♂)とアーオイン(♂)。

ドレイクの言葉に即座に集中して前方を見る。

見た瞬間に動けなくなった。

ただ、かろうじて言葉を発することができたようだ。

「ド、ドレイク様・・こ、これは・・」

アッカが言う。

「あぁ、どうやら我らが全力で戦っても勝てるかどうかわからない。 だが、ここまで来た以上戦うしかない。 万が一の時はアーオイン、転移石を迷わず使えよ」

「はい」

ドレイクの言葉にアーオインがうなずく。

アーオインはうなずきながらも複雑な表情を浮かべる。

転移石は2つしかない。

ドレイクは自分以外にとアッカ、アーオインにそれぞれ持たせてくれている。

ドレイクの優しさか自信の現れか、その両方かもしれない。


転移石、アーオインは万が一の時には、自分の代わりにドレイクに使おうと思っていた。

アッカも同じ考えだろう。

一歩進むごとに、そんなことを考える余裕もなくなってきた。




最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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