47 交易都市
武装都市。
魔術都市との対になる感じの都市らしい。
魔法も存在するが、より武具に偏っているという。
魔法銃の制作なんかもこの都市で行われているそうだ。
剣などもこの都市では珍しくもないみたいだ。
俺たちがこの世界に来てから剣を持っている人にはほとんど出会っていない。
まぁ、魔法の比重が高かったといえばそれまでだが、それでも稀だった。
ドラゴンなどは、素手がそのまま伝説級の剣と同等の威力だという。
そう聞かされて、あの赤いドラゴンを思い出したが、どうでもいい。
魔術都市から武装都市までの間に交易というか休憩する場所、そういった街がある。
この街の地下に魔方陣があるようだ。
その街が見えてきた。
道なりに目線を遠くに移動させていくと見えてくる。
結構な大きさの街のように見える。
街が近づくに従って、周辺の魔物などを討伐だろうか、冒険者に出会う頻度が増えてきた。
挨拶すると、みんな気軽に挨拶を返してくれる。
ただ、男たちは皆、軽く挨拶した後同じ反応をする。
俺がこんにちは~と挨拶すると、片手を挙げたり「おう」と言って言葉を返してくれる。
そこまではいい。
その後、目線を自分たちの移動方向に向けてからすぐにルナを見つめる。
・・・
まぁ、わからないでもない。
ルナは誰が見ても、超絶美女だ。
見た目は申し分ない。
性格は・・はっきり言ってわからない。
ただ、信用はできる。
ルナは相手の視線など全く気にすることなく俺と一緒に歩く。
俺は妬み視線を少なからず感じる。
相手のパーティが男女なんかでは、後が大変だろう。
そして、パーティだが、剣を所持している人たちも多く見かけるようになった。
俺はなんかホッとした。
冒険者らしさというか、場違いでないというか、妙な安心感を得ていた。
魔法の杖を持っている人もいる。
もちろん、魔法銃を持っている人もいるのだろう。
剣で多いのは、諸刃の剣だろうか、日本刀のような武器を持っている人はあまりいない。
全くいないわけではない。
よく似た剣をぶら下げている人もいた。
そういった人たちとすれ違いながら、街に近づいていく。
街の入口が見えてきた。
周りは城壁で囲まれている。
結構な高さもあり、城壁上には一定距離で砲台が設置してあった。
なんか物騒な感じだな。
入口に到着。
結構広い入口だ。
車の車道で言うと3車線くらいの大きさがあるだろう。
高速道路の料金所のような感じで受付がある。
その一つに俺たちは近づいて行く。
「ようこそ、交易の街ウルザブルンへ」
そう笑顔で言われて、俺たちはライセンスカードを提出。
神殿騎士のライセンスカードだ。
相手は少し目を大きくして俺たちをチラっと見て、ライセンスカードを返却。
「どうぞ。 良き滞在を」
それだけ言うと、すんなりと通過できた。
なるほど、神殿騎士のライセンスカードはやはり特別なようだ。
こういった時にはありがたい。
前にチラっと聞いたが、神殿騎士を邪険に扱うと、神殿などからの評価が下がるのだそうだ。
回復施術や行政業務などで、やってはいけないが、何かの時に後回しにされたりするという。
どこでも、いつの時代も同じか。
だから、神殿騎士は危険物を触るような感じで接する人が多いのだそうだ。
実際、特殊な能力を持っている人しかなれないそうだが。
まぁ、そんなことはいい。
俺とルナは街に入って行く。
入り口を後にして、街の中を歩く。
かなりの賑わいのある街だ。
俺たちの格好も違和感がない。
「ルナさん、街に到着しましたけど、どうします?」
俺は街の雰囲気に気分が高揚しているのか、妙にソワソワする。
「うむ。 まずは食べ物だな」
「え?」
「食べ物だ」
ルナは当たり前のように言う。
・・・
ルナさん、ダンジョンからエネルギー補給されてるでしょう。
食べなくてもいいのでは?
そんなことが頭に浮かぶが、俺の口からはとても言えない。
「な、何が食べたいのですか?」
俺はそう言葉を返すだけで精一杯だ。
「うむ、決まっておろう。 この街にもスイーツの店はあるはずだ。 前のあの街はなかなか良かったからな。 移動する度にだんだんと食べ物のグレードが上がってきているように思う。 期待しているのだ」
俺は何も答えれない。
頭の中では突っ込みどころ満載だ。
まず、スイーツを主食にしているルナ。
ないぞ、それは。
スイーツはデザートで嗜好品と俺は思っている。
この人の見方は違うのだろうか?
俺の考えが違っているのか?
そう思えてくる。
また、他に比較する対象がいない。
ただ、女の人に対しては変に言い訳などしてはいけないことだけは学んでいる。
俺の嫁もそうだが、女の人に対しては言葉では勝負にならない。
勝ち負けを言うなら、初めから負けている。
理詰めじゃないんだ。
誰かの本であった。
脳の構造がそもそも違っている。
右脳と左脳をつないでいる領域が、女の人の方が太いとか。
情報交換する領域が広いということは、いろんな選択肢が選べるのだろう。
ただ、逆に一つの物事を突き詰めていく研究職などは、同じ思考を繰り返すためにむしろ閉じこもっている方がいいのだろうか。
情報交換する領域が狭い分、特化しやすいのかもしれない。
俺の勝手な解釈だが。
俺は呆れながらも、ルナの言葉には逆らわない。
「そ、そうですか。 前の魔術都市でもそうでしたが、この世界の食事レベルは高いのかもしれませんね」
俺がそう言うと、ルナが大きくうなずく。
「そうだろう、テツ。 楽しみだな」
ご機嫌なルナと歩きながら、街に到着すれば最初に行くのはギルドだ。
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