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44 おい、いきなりか!



俺が返答に困っていると、ドウブの横にいるシーナと呼ばれた人が言葉を出す。

「ごめんなさいね。 この人のいい方が悪かったのね。 光の巫女がいなくても、この魔術都市バナヘイムは安泰なのよ。 だから別に探さなくてもいいのですよ。 むしろどこかへ行ってもらっているとありがたいのだけれどね」

シーナは微笑みながら言う。

ますます俺にはわからない。

何を言っているんだこいつら。

ただ、言っていることはよくわらないが、俺は警戒レベルだけは引き上げることにした。

ルナは相変わらず無言のまま俺の横で立っている。

寝ているんじゃないだろうな?


「・・あの、おっしゃっていることがよくわからないのですが・・それに、神殿都市の神官長から、光の巫女を探すように依頼を受けたのです」

俺がそう答えると、ドウブたちはお互いの顔を見合わせて笑い出した。

「なるほど・・あの神官長は、まだそんなものにこだわっていたのか」

「あはは・・化石ね」

「フフフ・・」

「おっと、これは失礼。 光の巫女がいなくても、バナヘイムを中心として魔素の利用技術は確立済みなのです。 むしろ光の巫女がいると迷惑なくらいね」

シーナが話している。


「フッ・・あははは! お前たち、あの不完全な魔法陣で魔素を管理できると本気で思っているのか?」

ルナがいきなり話し出す。

!!

俺はドキッとした。

びっくりしたぁ・・。

ドウブたちが即座に真剣な顔になってルナを見つめている。

おごるなよ人間。 いくら魔法陣を完成させたところで、魔素の流れなど管理できんよ。 計算ではできるような感じがするだけだ。 それに貴様たちのレベル程度で何ができるか」

ルナが淡々と語っている。

ドウブたちは虚をつかれたのか、少しの間放心状態だった。

だが、すぐに顔を引きつらせて声を大きくしながら言う。

「何を言っているのかわからぬ。 それにそこの女・・ルナと言ったか。 魔法陣を知っているようだが、どういうことだ? 我らごく少数の人間しか知らぬ機密事項のはずだ」

ドウブが言葉にやや殺気を込めて言う。

平然とした態度でルナは答える。

「それはワシらが魔法陣を見て、破壊したからだ。 それだけだ」

ルナは当たり前のようにド直球で言う。

俺は黙って成り行きを見ているだけだ。


「は、破壊? いったい何を言っているのか? 破壊などできるわけがない。 魔法陣は地下深くに作られている。 それにそこへ行くにはいくつか関所を通過せねばならぬはず」

ドウブがそう話しているとルナが言葉を被せる。

「面倒なやつだな。 この階層にも魔法陣の入口があるだろう。 ワシらはそれを破壊するだけだ」

ルナがそう言うと、ドウブたちの顔色が変わった。


え?

ルナさん、ほんとですか?

俺も今ままで知らなかったのですけど。

俺も驚いた。


ドウブが真剣な顔になってルナを見つめる。

「貴様、何者だ? それにその情報をどこから聞いた?」

「バカか貴様は。 魔素の流れをたどれば自然と答えが出る。 このエリアは魔素が変によどんでおる」

当たり前のようにルナは答える。

俺には魔素の流れなどわからない。

ドウブたちもわからないようだ。


「ふぅ・・なるほど。 女、貴様はタダ者ではないようだな。 夜の王の使徒やら龍神族の眷属というのも嘘ではないのかもしれぬ。 だが、人は知り過ぎればよいというものではない。 ワシの横に置いてやろうかと思ったが、そういうわけにもいかぬようだ。 見た目は申し分ないが、邪魔になりそうだな。 惜しい・・な」

ドウブが勝手に話している。

あのおっさん、いったい何を言っているんだ?

まさかルナを自分のものにするつもりでいたのか?

そりゃ超絶美女だからな。

あのおっさんの頭の中では、いったいどれほどルナとの絡み妄想が進んでいたのだろう?

俺は少し興味があったが、考えると気持ち悪い。

・・・

「おっさ・・いや、ドウブさん。 いったい何を言っているのですか?」

俺は思わず聞いてみた。


ドウブがニヤッとして言う。

「フフ・・男の方はどうやらバカのようだな。 お前たちは知り過ぎているということだ」

ドウブはそう言うと、どこかから杖のようなものを取り出していた。

横のシーナというやつも銃を片手に持っている。

あれが銃なのか?

俺のシルバーとよく似ているな。

ということは、魔法銃?

俺は興味深々だ。

インパというやつは一歩下がって何やらつぶやいている。

すると、インパが両手をドウブとシーナに向けていた。

ドウブたちの身体が少し光ったような気がする。

・・・

なるほど、バフをかけたわけか。


俺にもようやくわかってきた。

理由はよくわからないが、どうやら俺たちを始末する気らしい。

俺はルナを見る。

ルナが眠そうな感じでドウブたちを見ている。

「ふわぁ・・テツ、何か面倒なことになったようだな」

ルナがあくびをしながら言う。

いやいや、あんたが火をつけたんでしょ。

ほんとにこの人は何をしでかすかわからないな。

俺がそんなことを思っていると、ドウブたちが魔法を放ってきた。


おい!

いきなりか!

失礼過ぎるだろ。

俺はそう思いつつも、一応防御魔法を展開。

そして用心のために神光気しんこうきまとい、ルナの前に立つ。

「テツ、すまんな」

ルナが俺の背中で言う。

別にどうでもいい。

ただ、いきなり俺たちを攻撃してきたのが少し腹立たしかった。




最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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