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39 最長老のところの影

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

感謝です。



テツたちが16階層のボス扉に入ったのを見送ったパーティ。

「リーダー、あの神殿騎士たちは大丈夫なんでしょうか?」

パーティの1人が聞く。

「さぁな、わからないが、転移石を持っているという。 危なくなったら外へ出られるから命を失うことはないだろう」

リーダーがそう答えると、違うメンバーが言う。

「神殿騎士って、それほど金持ちが多いのかね? 転移石なんて滅多に手に入る代物じゃないし・・」

「わからないな。 もしかして神殿騎士には付与されるのかもしれないな」

「いいよなぁ・・俺たちも早くレベルアップして金持ちになりたいよ」

「そうだよなぁ・・」

「リーダー、見ましたか? あの黒髪女の顔・・無茶苦茶美人でしたよ」

「あぁ、あまりに美人過ぎて声をかけれなかったよ」

「・・ったく、男はいつもこれね」

「い、いや、そういうわけじゃないんだ・・」

「じゃあ、どういうわけよ」

どこでもルナを見ると同じような反応のようだ。

・・・

みんなで顔を見合わせ乾いた笑い声が響く。

「「あははは・・・はぁ・・」」

すぐに笑いは収まり、みんなでため息をつき、扉を見つめていた。


<テツたち>


俺とルナは16階層のボス部屋の中にいる。

大きな空間が広がっているが、上空に何かいる。

索敵・・ピピ・・。


ガーゴイル:レベル16×5、オーク:レベル15×6、オーガ:レベル18×3、後は雑魚っぽい魔物がいた。

「ルナさん、雑魚がいっぱいいます」

俺が前に出ようとするとルナが言う。

「うむ。 ワシが片づけてやろう。 食後の運動だな」

ルナが右手の人差し指を立てる。

指先に小さな黒い炎が揺らめく。


ルナがピッと指を前に倒すと、黒い炎がスーッと前方へ動いて行く。

・・・

見えなくなったと思ったら、黒い大きな球体の膜のようなものが広がり、一気に黒い炎が広がった。


ゴァ!!

ドォォォーーーーーン!!!


・・・

俺には言葉がない。

一瞬だ。

まさに一瞬の出来事だった。

索敵をしてみる。

・・・

何の反応もない。

すべての魔物が、あの小さな黒い炎で消えたのだ。

まぁ、レベル15程度の魔物だからそんなものだろう。

だが、ルナも1/10の分身体だ。

俺の生命エネルギーを吸収して、少し基礎レベルが上がったとはいえ(元々が相当なものだが)、目の前の現象をみると引くぞ。


「さて、こんなものだろう。 テツ、行くか」

ルナは何事もなかったように言う。

「はい」

俺も素直に答え、ルナと一緒に次の階層へ向かって行った。


◇◇


ダンジョンのテツたちを尾行している影がいた。

最長老のところの影だ。

テツたちの後を追っていた。

影は20階層までは進んだことはあった。

だからその階層まではいつでも飛ぶことができる。


テツたちを追っていて、初めは何も思わずに遠くで見ていた。

だが、10階層を超えてもテツたちの進行速度に変化がない。

初めから同じ速度で進んで行く。

ボスの部屋に入っても、まるで歩いて通過するように次のエリアへ移動しているようだ。

影は20階層で待つことにした。

影の計算では、ここまで来るのに早くても3時間くらいを考えていた。

15階層を超えるとレベルの高い魔物が現れる。

ボス級の魔物が普通のエリアに出現するため、それらを倒してボスまで挑むとなると、時間がかかるだろうと思っていた。

だが、驚いたことに1時間もかからずに20階層に現れた。

まさか今までにこのダンジョンに来たことがあるのか?

いや、そんなはずはない。

早すぎる。

いったい何だと言うのだ。

影は息を殺し、気配を消し、テツたちに気づかれないように隠れていた。

無論テツたちは気づいていたが、ソロ攻略者だろうと思って気づかない振りをしていた。


影は急いで戻って報告せねばなるまいと思っていた。

三巨頭の影にも知らせてやらねばいけないだろう。

そう思い、テツたちが20階層の入口からエリアの中央へ移動するのを確認し、即座に地上へと戻って行った。


◇◇



<テツ視点>


ダンジョン20階層。

俺たちは何の障害もなく散歩気分だ。

俺はエリアに来るとまず索敵をしてみる。

ピピピ・・

なるほど、レベル20~23程度の魔物がいるな。

ん?

人がいるぞ・・1人か。

この階層をソロで攻めてるなんて、やるなぁ。

そっと気づかないようにしておいてやろう。

俺はそう思うと、ルナと一緒に歩いて行く。


「テツよ、何か休憩したい気分だな」

ルナがつぶやく。

・・・

俺は聞こえない振りをする。

どうせ、スイーツを出せだろう。

「テツ、ワシのいい方が悪かった。 ティータイムだ、スイーツを出せ」

俺は歩く足を止めた。

何て、どストレートに言うんだ。

反対に気持ちいい。

「わかりました、ルナさん」

俺も思わず返事をしてしまった。


アイテムボックスからまずは飲みものを出す。

常にコーヒーは入っている。

ルナと俺のカップを取り出して、コーヒーを注ぐ。

次にシュークリームを出した。

このシュークリームはスーパーエイトのものではない。

専門店のものだ。

魔物が溢れたときにも、生き残っていたお店だ。

和菓子屋だが、この店のシュークリームがとてもおいしい。

中のカスタードと生クリームホイップもおいしいが、皮がしっとりとして食べやすい。

それに、皮の上の部分だけが少し甘くなっている。

1つ1つ包装してくれているので、保管もしやすい。

たっぷりと買い込んである。

それを3つほどルナに出してみた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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