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38 順調に進む

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

感謝です。



勧誘もほとんどがルナ目当てのようだが、ルナが軽くあしらう。

脳筋のような奴はどこにでもいるんだな。

俺たちの護衛をしてやろうと押し売りのように近づいてくる。

ルナが片手でデコピンをすると、筋肉バカは吹き飛んでそのまま動かなくなった。

ルナがゆっくりと歩いて行き、回復魔法をかけてやる。

「お前、無駄な力を使わせるな」

ルナが静かにそうつぶやくと、筋肉バカは頭を地面にうずめるように平謝りをして、そそくさっと退散していく。

そのおかげか、それからはあまり声をかけられなくなった。

俺はヒョロイおっさんに見えているのだろう。

あまり誰も声をかけない。


そういえば、俺たちがダンジョンの入口付近まで来ると、尾行していた反応は消えていた。

いったい何だったのだろう。

俺たちはバナヘイムのダンジョンへと入って行く。


◇◇


<バナヘイム三巨頭たち>


3人がいつものように密談室に集まっていた。

「ドウブよ、例の神殿騎士がダンジョンへ入ったそうだぞ」

「そうか。 シーナの放っていた影の報告か」

「うむ。 気づかれることなく尾行したと見える」

シーナとドウブが会話をしていた。

「どれくらいで25階層に到着できそうかな?」

インパが問う。

「そうだな、ダンジョンは順番に進んで行かなければいけない。 行った階層ならば飛ぶことができるが、初めは地道に進むしかないからな」

シーナがそういうと、ドウブが続けて言う。

「うむ。 我らが3人で同じように進むと半日くらいで到着できるだろう。 相手を大きくみても、それくらいの時間を考えて我々が出向けばよい」

「そうだな。 我らが先に向こうで待つことになるが、その方が良いかもしれぬな」

インパがうなずきながら言う。

「うむ。 そうなるな。 さて、最初が肝心というから私は魔法銃を取りに行って来る」

「シーナ、まさかあの銃を持って行くのか? それほどのことになるとは思えぬが・・我も神殿に行くか」

ドウブが少し驚きながらつぶやく。

三巨頭たちはゆっくりと席を立ち、神殿へと向かって行った。


◇◇


<神殿のとある部屋>


ゆっくりとした時間が流れているような、静かな部屋がある。

陽の光が優しく差し込み、椅子に腰かけた人物の膝に光が当たっている。

その座っている人のそばに近づいてくる影があった。

座っている人の邪魔にならない位置で影が止まる。

「最長老様、例の神殿騎士ですがダンジョンへ入りました。 また、三巨頭の影も同じように尾行していたようです」

影が報告をしていた。

「そうですか。 ご苦労様でした。 下がってよろしい」

「はっ!」

影はそう言うとスッと消えていた。


最長老と呼ばれた男は、椅子に深く腰掛けて目を閉じていた。

三巨頭・・ドウブ、シーナ、インパ。

力を持ちすぎたのだ。

周りのことが見えないとみえる。

魔素の独占など、摂理をゆがめる。

光の巫女の動きをコントロールして魔素の流れを歪めおって・・。

かなりの時間が経過したようだが、もはや限界だろう。

それに神殿都市からの報告で、突如現れた異能者。

神殿騎士というが、夜の王の使徒と龍神族の眷属というではないか。

真意のほどはわからないが、相当な能力者だろう。

奴等も見誤らなければ良いがな。

・・・

ワシも若かった。

だが、今だからこそわかる。

光の巫女の恩恵は、人種だけのものではない。

光があるからこそ夜が引き立つのだ。

逆もまたしかり。

せめてこの世界が自然な形ですべての種族が調和した世界に戻ってもらいたいものだ。

クックック・・バカな話だ。

ワシもその一員だったのだ。

責任はある。

だが、それに気づいたのはワシくらいではないのか?

神官長の職もかなり前にナナバに譲渡した。


さて、この世界の神はいったい何を望んでおられるのだろう。

神の声が途絶えて久しい。


どうやら最長老は椅子に座ったまま眠ったようだ。

窓の白いレースカーテンが、ゆっくりとなびいている。

優しい風が最長老の部屋を吹き抜けてゆく。


◇◇


<ルナとテツ>


俺たちはダンジョンをドンドン進んで行った。

ボス部屋の扉の前では、待っているパーティに軽く挨拶をして、俺たちだけで入って行く。

部屋は誰が入っても、すぐにリセットされるらしく次のパーティも入れる。

後からのパーティと混ざることはない。

1度1度空間が違うようだ。

ただ、一緒に行かないかと誘われることがあるが、断っている。

無論、邪魔だからだが、そんなことは言えるはずもない。

こんな時には、神殿騎士のライセンスカードが役に立った。

このライセンスカードを見せると、ほとんどが後ろに下がってくれる。

嫌がっているのか、警戒しているのか知るすべはないが、俺たちにはどうでもいい。

とにかく俺たちだけで進めればそれでいい。


15階層辺りになると極端に遭遇するパーティが少ない。

16階層でのボス部屋の扉の前。

扉の前で待っていたパーティが心配そうな顔で声をかけてきた。

「き、君たち、2人でこの部屋に入るのか?」

俺はうなずいて扉に近づく。

「ちょ、ちょっと待て。 この中はガーゴイルかオーク・・もしかすればオーガがいるかもしれない。 2人だけでは危険だぞ」

俺は足を止め振り向いて答える。

「ご心配ありがとうございます。 でも大丈夫ですから」

そういって神殿騎士のライセンスカードを見せた。

パーティのリーダーがそれを見て少し驚く。

「神殿騎士だったのか。 だが、注意し過ぎて困ることはないぞ。 悪いことは言わない。 俺たちも仲間のパーティが来るのを待っているんだ。 もうすぐ到着すると思うのだが、良ければ一緒に攻略してもいいのだが・・」

何か、どこかで聞いたような台詞だな。

このパーティのリーダーは本当に心配してくれているようだ。

いい人だな。

「ありがとうございます。 でも、俺たちもあまり時間もないし、転移石も持っているので問題ありません」

俺はとっさにそう返事をした。

転移石と言えば無事が確保されるだろうと思ったからだ。

無論、持ってはいないが。

効果はテキメンだった。

「そうか、転移石を持っているのだな。 それなら大丈夫だろう。 気を付けてな」

リーダーはホッとした表情をして見送ってくれた。


俺とルナは扉を開けて中へ入って行く。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

よろしければ、ブックマークなど応援お願いします。


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