37 ダンジョン到着
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俺たちが歩いていると、やはり尾行者がいるようだ。
前と同じ距離を保ってついてくる。
高い確率で神官長の間者だろう。
一気に距離を詰めて相手を捕まえてやろうかな。
しかし、放っておくほうがいいかもしれない。
俺がそんなことを考えていると、ルナが早足でどんどんと先へ行く。
食べ物街に到着。
この前食べたお店の近くには、おいしそうなケーキ屋さんが並んでいる。
ルナがキョロキョロしていた。
落ち着きがないな、この人は。
この前のお店をチラッと見て、近くの違うお店を物色していた。
すぐに一つのお店の前で動かなくなる。
どこかで見たような感じだな。
!
そうだ、フレイアがスーパーエイトでスイーツを凝視していた姿だ。
そっくりだ。
俺はルナに近づいて行き、ルナの目線を追う。
・・・
なるほど、確かに美味しそうできれいなスイーツが並んでいる。
こちらのお店はチョコ系統なのだろう、ザッハトルテも顔負けじゃないのか?
もし、この世界と行き来できるようになれば、あのスーパーエイトの店長なら絶対に仕入れに来るだろう。
俺がそんなことを考えていると、ルナが糸で引っ張られるように店の中へ入って行く。
おいおいルナさん、マリオネットか!
俺も一緒について行く。
ルナは早速店員に話しかけている。
「おい女、店の前にあるスイーツだが、全部持ってきてくれ」
ルナは熱く語っている。
お店の人も苦笑いしながら、丁寧に応対している。
忍耐強いな、この店員さん。
俺はそっちの方に感心した。
俺は肉の照り焼きのようなものがあったので、それを注文。
それぞれ後でテーブルに運んで来てくれるそうだ。
俺とルナは席に移動して、食事が来るまで待っている。
ルナに落ち着きがない。
「ルナさん、どうしたのですか?」
「ん? 何がどうしたんだ? くぅ・・このいい匂いばかりで食べられないのがイライラするぞ」
ルナさん、あんた駄々っ子か!
それに、人の話を全く聞いてないな。
「ルナさん、すぐに持ってきてくれますよ」
「わかっている! だがな、あの飾っているのを持ってくるだけで、なぜこれほど待たされなきゃいけないのだ」
とてもじゃないが、美人が待っているような姿ではない。
飢えた狼か!
俺の食べ物よりも、ルナの方のケーキが先に運ばれてきた。
そりゃそうだろう。
ただ、俺のが先に運ばれて来なくて良かったよ。
順番逆だったら、この店、消滅したんじゃないか?
ルナの前にケーキが並べられていく。
その量が増えるとともに、ルナが落ち着いて行く。
そして、満面の笑みを浮かべる。
子供か!
店員が並べ終わると、また次をお持ちしますね、と言って去っていった。
ルナはさすがに店員が並べている間に食べることはしなかったが、すぐに食べ始めた。
一口を食べると、目を大きくしてにっこりとする。
「テツ! ここのスイーツもおいしいぞ。 お前がくれたザッハトルテだったか、それと変わらないおいしさだ」
「そうですか、それは何よりです」
ルナさん、よく名前覚えれたな。
フレイアなんて未だに怪しいぞ。
店員が次のケーキを運んで来て驚いていた。
!!
先程運んできた、山盛りのケーキがなくなっている。
そりゃ驚くだろう。
店員は驚きつつも、次のケーキを並べていた。
俺の肉の照り焼きも来た。
いい感じで焼けている。
一口食べてみた。
表面はカリッとして中は柔らかい。
美味しい。
北京ダックを食べたことはないが、もしかしてこんな感じなのかな?
そんなことを思いながら、ゆっくりと食べる。
ルナは相変わらずパクパクとケーキを口に運ぶ。
店員が最後のケーキ類を運んで来る。
もう驚くよりも呆れていた。
ケーキのお皿を回収しながら、新しいケーキを置いて行く。
「どうぞごゆっくり」
笑顔を絶やさずに店員は戻って行く。
俺は呆れて見ている。
ルナは相変わらずパクパクと回転ずしのように食べていく。
俺は思わず笑ってしまった。
「プフ・・あはは」
ルナがなんだ? という感じで俺を見る。
「どうしたのだ、テツ?」
「いえ、ルナさんがあまりにも夢中で食べているのが急に可笑しくなったのです」
「・・そうなのか?」
「ほんとにおいしそうに食べますね」
「うむ。 美味しいからな」
ルナは最後の一皿まできれいに食べていた。
俺の肉の方はまだ残っている。
ルナは満足したらしく、にっこりとして落ち着いて座っている。
俺も最後の一口を食べ、ごちそう様だ。
「ルナさん、お腹いっぱいですね」
「うむ」
「では、神官長の依頼でも行きますか」
「あ、そうだったな。 よし、では行くか」
ルナは忘れているようだった。
さて、ダンジョンの位置は既に聞いている。
やはり街のはずれにあるようだ。
街が作られると、みな同じような位置にダンジョンが設置される。
おそらく都合がいいのだろうな。
ダンジョンに到着。
イザベルと同じシステムだ。
ダンジョンの入口でパネルにライセンスカードをかざし、中へ入って行く。
ダンジョンの入口は結構な賑わいになっていた。
みんな冒険者なのだろう。
年齢層もいろいろいるようだ。
ただ、剣を持っている者はほとんど見かけない。
ソロで行くものもいるみたいだな。
ほとんどはパーティを組んでいる。
即席のパーティなんかもあるようだ。
俺たちも声をかけられたが、断った。
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