36 神官長からの依頼?
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<バナヘイムの宿泊所>
俺は身体をクリーンアップしてベッドに座ってみた。
ふかふかで気持ちいい。
「ルナさん、俺少し寝てもいいですか?」
こんなに気持ちいい感触ならすぐに寝られそうだ。
「ん? 疲れたのか? ワシはシャワーでも浴びてくる」
ルナはそう言うと、ゆっくりと歩いて浴室の方へ向かって行った。
俺はその後ろ姿を見送ることもなくベッドに横になる。
「ふぅ・・気持ちいいな」
そこまで思ったら眠っていたというか、気を失っていたようだ。
・・・
・・
しばらくして、俺は目を開けた。
いったいどれくらい寝ていたんだ?
ハッとしてすぐに身体を起こす。
椅子で座っている黒髪の女の人の背中が見える。
ルナだ。
ルナは俺が起きたのに気づいたようで、ゆっくりを俺の方を見た。
「おぅ、起きたかテツ。 よく寝ていたな」
ルナが微笑みながら言う。
「え? ルナさん、俺って結構寝てました?」
ルナが笑いながらうなずく。
「そうですか、すみません」
「何を謝る必要がある。 疲れていたら誰でも寝る」
「ありがとうございます」
俺も笑いながら返事をする。
「テツよ、お前が寝ている間に神官長のところから使者が来たぞ」
ルナが言う。
「使者・・ですか? いったい何でしょう・・」
俺たちに何の用があるのだろう。
俺にはわからない。
「口頭で伝えに来たのでな。 何でもダンジョンに潜って魔石を持ってきてほしいということだ」
ルナが言う。
「はぁ? 意味がわかりませんよ」
俺がそう答えると、ルナが笑う。
「確かにな、意味がわからん。 だが、何かあるのは間違いない。 神官長からの依頼だからな」
「ルナさん、それって何の魔石ですか?」
「ふむ。 詳しくは聞いてなかったが、確か25階層辺りの魔物の魔石を取って来てくれという話だったな。 この都市では20階層辺りのレベルの冒険者くらいしかいないそうだ」
ルナが教えてくれる。
「そうですか・・何かよくわかりませんね」
俺は不審そうに返事をする。
「そうだな・・ま、行ってみればわかることだが、どうする、無視するか?」
ルナが軽く言う。
「いえ、それはマズいと思います。 これからのことを考えると、依頼を受けておかないと行動が制約されると思います」
「そうか。 まぁ人社会はテツの方が慣れているだろうからな。 任せよう」
ルナがそう言って席を立つ。
俺はそのルナの仕草というか席を立つ姿を見てドキッとする。
やはり超絶美人だ。
ゆっくりと俺の方へ歩いて来て、俺の横に座る。
「ん? どうしたのだ、テツ。 ワシが添い寝でもしてやろうか」
マジですか!
そりゃそれに越したことはないが・・いっそここで理性を吹き飛ばすか!
いや、ダメだ。
これは俺に対する試練だろう。
簡単に手に入りそうなものは、後で絶対に後悔する。
返せないようになってからその負債を請求される。
もっと、俺が努力して手に入れれるようにならないといけない。
俺は心の中での葛藤していた。
「ル、ルナさん、ありがとうございます。 ですが、今はまだその時ではないように思います。 とりあえず地上へ帰るまではお預けです」
俺は何とか言葉を発することができた。
「そうか・・まぁいいだろう」
ルナがそう言って微笑み、俺の頬にキスをする。
「ルナさん、その依頼ですが、いつ頃出発すればいいのでしょうか?」
「さぁな・・特に急いでいるような感じでもなかったぞ。 なんと言うか・・行ってくれればいいというそんな感じだ」
ルナが答える。
俺は少し考えてみた。
いったい何なのだろう?
神官長からの依頼ということは、何かある。
それはわかる。
だが、その真意がわからない。
・・・
う~ん・・考えても面倒だし、わからない。
「ルナさん、では早速行きますか?」
俺は思いつくままに言ってみる。
ルナは席に座って足を組んでいる。
どこかのエロい婦人か!
ルナが笑う。
「テツよ、ものには順序というものがある。 まずは腹ごしらえだ」
右指先でテーブルをトントンとしながら俺に話す。
「は、腹ごしらえですか? ほんの少し前にあれほど食べたじゃないですか?」
「な、何を言う。 あの店の隣にあったスイーツがまた感じが違って気になるのだ」
ルナが少し焦ったように話す。
確かに焦ってするようなものでもないだろう。
依頼がアバウトすぎる。
何かある。
だが、わからない。
なら、少しくらいゆっくりしてもいいだろう。
「ルナさん・・そうですね、まずは腹ごしらえですね」
「テ、テツよ。 お主はワシが甘いものを食べたいだけだと思っているだろう。 確かに食べたいのだが、情報を集めているのだ、情報を!」
ルナが子供の様にわめく。
美人は何をしても許されるな。
仕草もいい!
「いえいえ、そんなことは思っていませんよ。 確かにあの食べ物街はきれいでおいしそうなお店ばかりでしたからね。 行きましょう」
「おぉ、そうか。 テツは物分かりが良いな」
ルナは席をスッと立ち、軽い足取りで早速移動しようとしていた。
今、どれくらいの時間なんだ?
ルナがドアを開けると、光が溢れていた。
あれ?
この宿泊所を紹介されたときには夕方っぽかったのだが・・ということは、俺は完全に寝ていたわけだ。
そりゃ、お腹もすくはずだ。
ん?
ということは、ルナは俺が起きるまでずっと待っていてくれたのか。
俺はそう思うと、ルナの背中を感謝しながら見つめた。
「ルナさん、俺って一晩寝たのですね。 ありがとうございます」
俺がそういうとルナは聞いていないようだった。
「ん? 何でもいい、早く行くぞ!」
「はい!」
俺はルナと一緒に食べ物街へ向かって行く。
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