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233 勝手な協定



みんなそれぞれの想いを胸に、王宮を後にする。

大広間には俺とレア、ロイヤルガード、フレイア、騎士団長、エレンさんなど、帝都関係の人が残っていた。

ルナはいない。

「王様、私もそろそろ騎士団に戻ります」

騎士団長が挨拶をして退出していく。

エレンさんも一緒に退出していった。


フレイアがアニム王に挨拶をしている。

「ではアニム、行って来るわね」

「あぁ、フレイアも頑張って」

アニム王に挨拶が終わると、俺のところに来た。

フレイアは俺をチラっと見て、レアの方を向く。

「レア様、後はよろしくお願いします」

「えぇ、任されましたわよフレイア様。 本当によろしくって?」

レアがフレイアに言う。


何がいいんだ?

俺は不思議に思う。

「はい、問題ありません。 修行がどれくらいの時間必要なのかわかりませんが、人間の寿命の後で私の時間ですから」

フレイアが笑顔で話す。

人間の寿命の時間?

何だそれ?

俺がキョトンとしていると、フレイアが俺に近づいて来てジッと俺の顔を見る。

「テツ・・レア様のこと、よろしくね」

「は? 何言ってんだ? レア様?」

フレイアはそういうと軽い足取りで大広間を出て行った。

俺はその背中を見送ると、レアの方を向く。


レアが俺を見て微笑む。

「テツ様、これからよろしくお願いしますね」

「え、えぇ・・こちらこそ、よろしくお願いします・・って、何がです?」

俺には意味がわからない。

「はい、わたくしことレア・レイドルド・・ふつつかものですが、その死ぬ瞬間までテツ様のために生きることを誓います」

「は?」

俺はただレアを見つめている。

レアが俺を覗き込むようにして見る。

「あれ? テツ様・・フレイア様から聞いておられませんか?」

レアが顎に人差し指を当てて、不思議そうな顔で俺を見る。

「何をです?」

俺は聞くしかできなかった。

「わかりましたわ。 フレイア様ったら、宿題をわたくしに残して行きましたね」

レアがブツブツとつぶやいてから教えてくれる。

・・・

・・

どうやらレアとフレイアの間で協定が出来たそうだ。

フレイアが修行に行っている間、レアが俺の傍でいることを許可したのだそうだ。

一体何の話だ?


「テツ様の第2夫人になるという話ですよ。 私では不満ですか?」

レアが上目遣いで俺を見る。

「え・・え? えぇー!! な、何ですかその話は?」

俺の頭の中は真っ白になりそうだった。

アニム王が手を振りながら大広間から出て行く姿見える。

ちょ、ちょっと・・見捨てないで。

俺は深呼吸を何度かする。


「ふぅ・・レアさん、第2夫人ですか?」

「はい」

レアはキラキラした目で俺を見つめている。

「私では不満ですか?」

「い、いえ・・全く・・それよりも俺みたいな男のどこがいいのです? それにコブ付ですよ」

「はい、すべてにおいて受け入れております。 それでもなお、テツ様と一緒にいたいのです」

俺は言葉に困る。

いきなり過ぎた。

いや、レアさんにとってはいきなりではないのだろう。

「レアさん・・少し時間をいただいてもいいですか?」

俺には即答できそうにない。

時間をおいてどうなるというものでもないかもしれない。

だが、とても大事なことだ。

「えぇ、もちろんですわ。 では、また改めて。 皆さん、行きますわよ」

レアの言葉に、ロイヤルガードたちが一斉に動く。

セレネーだけが相変わらず無表情な顔で俺を見る。

・・・

だからそんな目で俺を見るな。

怖いだろ!


大広間に俺だけが残された。

ゆっくりとした足取りで王宮を後にする。

どこに行くでもない。

フラフラと歩いている。

フレイアのカフェの前に来た。

あれ?

営業しているぞ。

俺は中に入ってみる。

カラン、カランと音をたててドアを開けた。

「いらっしゃいませ~」

元気な声が飛んできた。

ランちゃんだ。

それにレイアがカウンターの中にいた。

「いらっしゃいませ」

レイアも声をかけてくれる。

お客さんはそれほど多くはいない。

俺はカウンターに行って座る。


レイアが俺を見てニコニコしながら言う。

「テツさん、お姉ちゃんからお店を任されました」

「そ、そうなんだ」

俺はぎこちなく言葉を返す。

だが、次の言葉が浮かんで来ない。

「いらっしゃいませ~」

レイアたちがお客を迎えていた。

すると、俺の横に来て座る人がいる。

ルナだ。

「レイア、いつものスイーツを頼む」

「はい、ルナ様」

ルナが座りながら俺に話かけてきた。




最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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