231 好きってどういうこと?
朝から落ち着くこともなく過ごしていると、アニム王のところから通知が届く。
邪王討伐に参加してくれた人たちで、集まれるものは王宮に集まってくれというものだ。
3日後に集合らしい。
朝から疲れた。
もう休みたい気がする。
俺がリビングでくつろごうとすると、玄関に誰か来たようだ。
テュールが応対しにいってくれる。
今日はよく人が来るなぁ。
時間は8時過ぎ。
テュールと一緒にフレイアがやってきた。
「テュールさんありがとう。 おはようテツ、無事に帰ってきたのね」
「あ、フレイア・・えっと・・ただいま、そしてお帰り」
俺も何とか言葉を返すことができた。
フレイアがテーブルにつく。
テュールたちは部屋から静かに退出していった。
「フレイア・・なんか雰囲気変わったんじゃない?」
俺はフレイアを見て感じていた。
妙に大人びている感じがする。
胸は豊かなままだ・・いいことだ。
「テツ・・」
「は、はい!」
俺は思わず返事をしてしまった。
「フフ・・どうしたの?」
「い、いや・・急に声をかけられたから・・」
嘘だ。
フレイアの胸を見ていたのです。
あのペッタンだった胸が・・ねぇ。
フレイアがジッと俺を見ていた。
「テツ・・あなた何か失礼なこと考えてない?」
「い、いえ・・なにも・・それよりも何か用があるんじゃないの?」
俺は取りあえず話題転換も兼ねて聞いてみる。
「うん・・あのね・・私・・」
・・・・
・・・
フレイアが話してくれた。
どうやらエルフの長と出会ったらしい。
そして、その長が言うにはフレイアはハイエルフとして成長する余地があるという。
精霊王も同意らしい。
精霊王って、そんな存在に会ったのか?
今日は衝撃の事件ばかりだな。
要は精霊族で修行をしたいと思っているそうだ。
成長するにしても時期がある。
今の時期を逃すと、成長することはないだろうという。
まぁそうだろうな。
能力ってそういうものだ。
伸ばせる時期に伸ばしておかないと、後で伸ばそうとしても伸びるものじゃない。
「そうか・・いいんじゃない? 今しかないんだろ? それなら・・」
俺は軽く返事をしてみる。
フレイアが俺をジッと見て言う。
「そうだけど・・テツ・・1つ聞いてもいい?」
「う、うん」
「テツは私のこと、好きなの?」
俺はドキッとした。
心が痛い。
「フ、フレイア・・」
「私はテツのこと大好きよ」
お、お前ぇ・・最初にそれを言うって、卑怯だぞ。
心の声です、はい。
「フレイア・・正直に言うよ。 俺は人を好きになるっていうのがわからないんだ。 確かにフレイアは大事な相棒だし、失ったらと思うなんて考えられない存在だ。 でも、好きかと言われるとわからないんだ・・」
「あはは・・テツ、何考えているのよ」
フレイアが笑いながら俺を見る。
「言葉で考えるからわからないのよ。 私に傍にいて欲しいっていう気持ちがあれば、それが好きってことなのよ」
!!
俺は衝撃を受けた。
そうか!
考えるからダメなんだ。
気持なんだ。
ん?
でも・・
「フレイア・・それなら俺はフレイアが好きだな」
フレイアが目を大きくして俺を見る。
そして、俺もそこで言葉を止めておけばよかったんだ。
だが、続けて言う。
「それに、凛や颯、テュールさんやヴェルにエイル、シルビアやルナさんも傍に居て欲しいな。 後は・・」
俺がいろいろと考えていると、目の前に影が出来た。
ゴン!
フレイアが俺の頭を思いっきり殴る。
「もういいわ!」
フレイアがそのままリビングを出て行く。
「フ、フレイア・・あいたたた・・」
俺も急いで後を追うが、頭のダメージが結構なものだ。
玄関で追いつく。
「フレイア、悪かったよ・・ちょっと待ってくれ」
「テツ! 私ね、決めたのよ。 修行してくるわ。 どれくらいの時間がかかるかわからないけど、行って来る」
「フレイア・・」
フレイアが俺の頬を両手で掴んでキスをしてきた。
フレイアの髪が俺の頬に触れる。
しばらくその感覚を感じていた。
ゆっくりとフレイアが離れて言う。
「テツ・・わかっているわ、ありがとう。 私もテツの傍にいたいけど、長や精霊王様の言葉を聞いたら、こんなチャンスは2度とないと思うの。 だから行って来るわ」
「うん」
「あ、そうそう、3日後のアニムの報告が終わってからだけどね」
フレイアはそう言うと俺の家を後にした。
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