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222 メサイアの攻撃



同じように赤い血のような煙をたなびかせて近寄ってきていた。

本来、邪王同士を共食させるはずだが、フレイアという高レベルの対象がいる。

それに今更隠れることもできない。

魔素を追跡されるだろう。

同じような方向から迫って来ていた。

「メサイア、向かって来ている左の邪王を狙ってみるわね」

フレイアが言う。

メサイアは軽くうなずいた。

自分は邪魔をしないように右側の邪王の注意を引けばいい。

メサイアはゆっくりと歩いて邪王に向かって行く。


フレイアはまずは矢を1つ放つようだ。

引き絞り、先に放った方法で矢を放つ。

ヒュン!

白い航跡を描きつつ、矢が高速で飛んで行く。

向かって左側の邪王にヒット!

煙のようにたなびいていた赤いものが消える。

どうやら同じような効果はあるようだ。

続いて、フレイアが集中して矢を引き絞る。

フレイアの身体が白く光っていた。

ヒュン!

矢が放たれる。

だが、その矢はフレイアを覆っていた光を連れて飛び出した。

白く光る航跡と共に、邪王に向かってミサイルのように飛んで行く。

先程と同じように小さな光が強く輝く。

その光は膨らみたいが膨らめず、そのエネルギーの渦が一定の空間で荒れ狂っている。


ドォーーーーーーン!

距離があっても空気が震えているのがわかる。

凄まじいことが起こっているのだろう。

メサイアはそれを感じていた。

白く光る球体が数秒くらい出来ていただろうか。

光が収束していくと、後には何も残っていない。


『経験値を獲得しました』

先程と同じようにフレイアの頭には天の声が聞こえていた。

だが、この身体の疲労はどうも回復薬などでは回復できるものではないらしい。


メサイアは苦笑する。

さすがだと。

チラっとフレイアの方を見ると、フレイアは両手をついて四つん這いになっていた。

「フ、フレイア殿・・」

メサイアは駆け寄ろうと思ったがやめた。

自分の責務を果たすべきだ。

せめてフレイアが少しでも回復して、同じような矢が放てるまで自分が時間を稼がなければいけない。

メサイアは覚悟を決め、迫ってきている1体の邪王に向かって行く。


すぐにメサイアと邪王の距離は詰まり、お互いが50mくらいまで接近した時だろう。

メサイアは思わず歩みを止めた。

なんという禍々(まがまが)しい魔素だ。

これだけの距離があるにも関わらず、吐きそうだ。

気持が悪い。

赤く垂直に立ち昇る、血のような煙。

そして邪王を覆っている血のような赤い霧。

すべてが不快に感じる。

だが、この生き物を今フレイアのところに近づけるわけにはいかない。

せめて、ほんの少しでもフレイアに体力を回復してもらわねば、大げさだが世界が危うい。

メサイアはそう自分を鼓舞しつつ、ゆっくりと前に進む。


剣を抜き邪王を迎える。

あのキョウジの時に取った不覚。

あれから自分が許せなかった。

寝る間も惜しんで・・とは言い過ぎだが、かなり修練したつもりだ。

自分でもわかるくらい強くなっている。

だが、この邪王と対峙するとわかる。

そんな強さなどが無意味に感じるほど凶悪な生物だ、これは。

しかし・・。

「ググ・・うわぁぁ!! 来い! 私でも少しくらいは時間稼ぎになるぞ!」

メサイアは叫びながら自分に言い聞かせて奮い立たせる。

「ハッ!」

息を一気に吐き、邪王を見る。

「行くぞ!」

メサイアは剣を構え邪王に向かって突きを繰り出す。

自分の全力を一撃に込める。

相手に躱されても、また同じ突きを繰り返して行く。

攻撃は最大の防御。

メサイアが今の時点で到達した場所だ。


メサイアと剣はまるで1本の槍のように邪王に向かって行く。

ビュン!

邪王をかすめ、そのまま突き抜ける。

そして方向を転換してまた邪王に向かう。


邪王もメサイアの攻撃を躱すと、垂直に立ち昇っている赤い血のような煙が揺らぐ。

少しだが効果はあるようだ。

確かにメサイアの攻撃が続いている限り、邪王は反撃がしづらそうだ。

メサイアを掴まえうとしたり、その爪で引っかけようとするが当たらない。

メサイアの突きの速度が上回っている感じだ。

・・・

・・

何度繰り返されただろうか。

メサイアの動きが鈍くなる。

「はぁ、はぁ、はぁ・・」

メサイアは方向を転換するときに、わずかだが呼吸を整えるために動きが鈍る。

そのところを邪王に反撃を受けた。

「クソ!」

メサイアの突きが邪王に捉えられる。

「ウググ・・放せ、このぉ!」

メサイアが足を踏ん張って剣を引こうとすると、光の矢が邪王にヒットする。

バシューン!

フレイアが矢を放っていた。

だが、次の矢を放てるような状態ではない。

弓を杖代わりに、その場で膝をついていた。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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