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212/236

212 騎士団員の訓練場にて



剣技を磨いているエリア、魔法の効果を確認しているエリア、模擬戦闘をしているエリアなどが見える。

みんな、頑張っているな。

こうやって基礎から積み上げるんだ。

俺は素直に感心。

しばらく歩いていると、1人の隊員が駆け寄ってくる。

「テツ殿ぉ!」

手を振って近寄って来た。

誰?

いや、顔は知っている。

名前が・・俺って人の名前って覚えないからな。

決して若年性何とかではない。

「テツ殿、よくおいでくださいました。 隊員から聞いて駆けつけました。 私がご案内いたしましょうか?」

駆けてきた隊員は言う。

なるほど、あの入って来た時に応対してくれた人だな。


「あ、あぁ・・それじゃあ頼むかな」

俺の少し詰まった返答にその隊員が聞いてくる。

「テツ殿・・まさかとは思いますが、私のことを忘れておりませんよね?」

「な、何言ってるんだよ・・わ、忘れてるわけないじゃないか」

俺は慌てて返答する。

顔は知っている。

名前・・何だったかな?

「へぇ~・・それでは改めて伺います。 私は誰でしょう?」

「え?」

その隊員は上目遣いで微笑みながら聞いてくる。

こ、こいつ・・アホか。

知ってるんだ。

それは間違いない。

だが・・

「えっと・・そ、そう・・あの、キョ、キョウジという人がいた街に来た騎士団の・・」

俺も出会ったシーンは覚えていたので、それを言おうとすると隊員が片手を前に出して俺の言葉をさえぎる。


「テツ殿・・そのお話は・・私の黒歴史です」

隊員は下を向いて難しそうな顔をしていた。

「ご、ごめんよ・・実はな・・名前が思い出せないんだ」

俺は正直に言うことにした。

隊員は目を大きくして硬直している。

・・

俺は片手を目の前で振ってみる。

・・

反応なし。

「おい・・大丈夫か? あの・・」

「テツ殿・・メサイアです」

やや低い声でメサイアが言う。

おぉ、そうだった。

メサイアだ。

キョウジにいいように扱われていたな。

確かに本人には黒歴史だろう。

「メ、メサイア・・すまないな」

「いえ、いいのです。 それよりもどうされたのですか? 騎士団の訓練所などを訪れて・・」

「いや、特に用はないのだがどんなものかと思ってね」

メサイアも落ち着いたようだ。

「なるほど・・テツ殿、王様から聞かれておられるかもしれませんが、邪王との戦いに備えて我々もジッとしていられないのですよ」

メサイアも頑張っているんだな。

「メサイアも出撃するのか?」

俺は聞いてみる。

「はい、当然ですよ。 それよりも聞いておりませんか? 私はフレイア様と一緒に行動するのです」

「フレイアと?」

「はい。 あの黒歴史以来、私は自分が許せずに鍛えておりました。 その努力が認められたのでしょう。 頑張ります」

メサイアは片手でガッツポーズを決める。

「そうか・・俺はレアさんたちと一緒に行くんだ」

「レ、レア様とですか?」

「うん」

「そうですか・・」

メサイアが何か意味深な返答をする。


「何か問題でもあるのか?」

俺は気になるので聞いてみる。

「いえ、問題などはありません。 むしろ問題がないところが問題です。 あのお方がロイヤルガード以外の方と一緒に行動されるなど・・今までにありませんでしたからね」

メサイアがう~んと唸りながら答えてくれた。

メサイアがこちらをジッと見ている。

・・・

何か言え、メサイア!

「メ、メサイア・・そんなに変なのか?」

沈黙がたまらず俺が思わず言葉を出す。

「何と申しますか・・想像できないのですよ。 レア様は常にロイヤルガードの方々と一緒のおられます。 それ以外の姿が思い浮かばないのです。 それがテツ殿と一緒に行動される・・テツ殿、ご愁傷様です、いえ間違えました、お達者で・・これも違うな・・何と表現してよいやら・・う~ん・・」

「こらこらメサイア・・全部別れの言葉だぞ。 俺、レアさんたちと戦うのではなく邪王と戦うんだが・・」

何か余計な心配事ができたじゃないか。

「まぁテツ殿でしたら大丈夫でしょう・・多分」

メサイアが最後の方をボソボソッとつぶやいていた。

ん?

多分って言わなかったか?

この女・・聞かなければどうってことなかったのに、聞くと変に言葉が残るじゃないか。

俺はメサイア両肩をグッと掴む。

メサイアの目を見つめて言う。

「メサイア・・もう余計なことは言わなくていい。 ただこの訓練場を案内してくれるだけでいいんだ」

何か戦いに行く前に疲れてしまったよ。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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