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203/236

203 嫁の存在が薄くなってきたな



「これはこれは梓様ではありませんか。 お久し振りです」

レアが話しかける。

梓様?

お久し振り?

レアって、嫁と知り合い?

俺は少し離れたところで見ている。

嫁の動きが一瞬止まったような気がした。

嫁がぎこちなく会釈をしている。

レアがニコニコと何やら話をしているようだ。

そして、レアが颯の目線の高さまでしゃがんでいた。

颯が何やら一生懸命にレアに話している。


俺が見ているとエイルがそっと近寄って来た。

「テツ様、お昼のご用意ができました。 いつでもお越しくださいませ」

「ありがとうエイル。 みんなに声をかけて行くよ」

俺はエイルにそう答えると、嫁たちのところへ近寄って行く。

颯は笑顔でいっぱいだ。

嫁も普通にレアと話をしている。

ロイヤルガードたちは一定の距離をおいて凛やお義母さんの相手をしていた。

「あの・・お昼の用意ができたようなので、食べに行きましょう」

俺が声をかけると凛と颯が真っ先に反応する。

「お昼? うん、行く!」

凛が俺のところへ駆け寄ってくる。

俺は凛を抱っこして家の方へ向かう。

嫁たちも後からついてきていた。

バーンは小さくなって颯の頭に乗っかっている。


俺たちはみんなでゆっくりと歩いて家に戻って行った。

嫁はお義母さんと一緒に歩いている。

普通だな。

入り口ではテュールが出迎えてくれる。

そのまま食堂へと向かった。

食卓テーブルを見ると誰でも見えるだろう。

鳥肉のきれいな照り焼きが見えた。

ドラマなんかである丸ごとのチキンだ。

凛と颯が近寄って行ってジッと見ている。

「颯ぇ、これって鳥だよね?」

「うん、鳥だな」

「う~ん・・」

「美味しそう・・」

凛が目をキラキラさせながら見ていると、ヴェルが凛に席を勧めていた。

同時にお皿にお持ちしますと声も聞こえる。

凛と颯の前に、鳥肉から切り出した塊を乗せた皿が置かれる。

凛はまるでお預けを言われた犬みたいな感じがする。

エイルとテュールが他に座った人たちにも配膳していた。

ただ、肉は凛と颯だけだが。

まぁ順番があるのだろう。

俺たちの前には卵スープのようなものが置かれている。


「では皆さん、いただきましょうか」

俺が声をかけると、真っ先に凛が返事をして肉にかじりついていた。

レアがニコニコしながら凛を見ている。

「まぁまぁ、凛さんはとても美味しそうに食べられますね」

モグモグと口を動かしている凛だが、しばらくしてゴックンと呑み込んだようだ。

「うん、とっても美味しいよ」

返事をするとまた夢中で食事を継続する。


それからは皆食事しながら他愛ない会話をした。

嫁もレアも普通に話をしていた。



時間は14時。

久々に俺もゆっくりと大勢で食事をしたような気がする。

今度は、ばあちゃんたちを招待しなきゃ。

そういえばテュールさんたちは和食ってわかるのかな?

またそのうち聞いてみよう。


食事も終わり、レアたちが帰るという。

「テツ様、今日はありがとうございました。 また私のところにも是非お越しくださいませ。 わたくし、これでもお料理は得意ですのよ」

「ありがとうございます、またお邪魔させていただきます」

俺の返事を笑顔で受けレアたちは帰って行く。


嫁たちも食事に満足したのだろう帰るという。

本当に食事に来ただけだったようだ。

「パパ、今日はとってもおいしかったよ」

「うん、凛たち、いつ来てもいいからね」

凛が大きくうなずく。

「テツ、あのレアっておねえちゃんがバーンは凄いドラゴンになるかもだって」

「凄いドラゴン?」

「うん。 成長していけば、人にも変化できるかもしれないって言ってた」

なるほど・・。

ゼロたちも人の姿になってるよな。

ん?

颯、それってただのドラゴンじゃなくて、龍神の域に到達するってことじゃないのか?

う~ん・・考えてもわからん。

ゼロも今どこにいるかわからないし。

・・・

ま、いっか。


嫁はレアとの会話以来、ほとんど口を開いていない。

まぁどうでもいいが。

「テツさん、今日はごちそうさまでした」

お義母さんがペコリと頭を下げる。

「いえいえ、私なんて何にもしてませんし・・凛たちをよろしくお願いします」

嫁は軽くうなずくとそのままみんなで帰っていった。

俺はその姿を見送って考えている。

今の俺が子供を引き取っても育てられるはずもない。

いや、育てれるかもしれない。

だが、テュールやヴェル、エイルがいる。

子供たちの成長に大きな影響を与えるだろう。

よろしくはない。

自分でできることは自分でしなければいけないと思う。

俺が毎日凛たちに会いに行けばいいだけだ。


それよりも嫁がやけにおとなしかったような気がしたが。

レアさんは食事を作るのは得意だと言っていた。

まぁ女性が食事を作るのはイメージとしては似合っている。

だが嫁の場合は作っていても、あ~しんどい、疲れたの連続だった。

俺が皿洗いなどをしても、文句を並べ立てていた。

だから俺は自分の食器だけを洗うようにした。

すると言ったことを忘れたのか、全然手伝わないと言ったことがあった。

俺は反論。

少し口論となったが、謝ることなく嫁はプンプンしていた。

食事だって同じようなメニューばかりだ。

肉じゃが、トマトソースパスタ、チャーハン、鳥肉手羽元の煮物・・絶対に10種類以上はない。

その繰り返しとファーストフードやコンビニの揚げ物だった。

確かコンビニを利用する人は金が貯まらない人ってあったよな?

やはり嫁は厄災?

・・・

嫁の背中を見ていると、いろんな小言が頭をよぎる。

もうどうでもいいことだ。




最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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