195 尋問室か?
俺は門のところにある呼び鈴を押してみる。
少しして言葉が聞こえてきた。
きれいな声だ。
『はい、どちら様でしょうか』
「あ、あの・・私テツと言いますが、レア様にお会いしたく伺いました」
俺は妙に緊張してしまった。
『・・・』
あれ?
返事がない。
少しして慌ただしい声が聞こえてきた。
『は、はい! レアでございます。 テツ様、今すぐ門にお迎えにあがりますわね。 ちょっとセレネー、どきなさい! それに・・』
ブツッ!
呼び出しの会話が途切れたかと思うと、屋敷の方から軽く駆けてくる女の子がいる。
レアだ。
ニコニコしながら近づいてきた。
門のところまで来ると、品よく挨拶をしてくれる。
「ようこそおいでくださいましたテツ様。 どうぞお入りになってくださいませ」
レアが門を開けてくれる。
「い、いえレアさん、明日私のところに来てくれると聞いたので、問題ありませんとお伝えに来ただけですから・・」
俺は慌てて返答する。
「ありがとうございます。 ですが、そうおっしゃらずに少し飲み物だけでもお飲みになってくださいませ」
レアが丁寧に言ってくれる。
するとレアの後ろの方にピンク色の髪の女の人が笑顔で立っていた。
「レア様、失礼いたします。 テツ様、レア様もこうおっしゃられているのです。 是非お屋敷にどうぞ」
「そうですわ、セレネーもいいこと言いますわね。 お茶の用意を」
ピンク色の髪の女、セレネーは恭しくレアに一礼をすると、屋敷の方へ歩いて行く。
セレネーって名前だったか。
さっきの呼び鈴の時の声の人だな。
またすぐに忘れるだろうな。
俺はそう思いながら返答。
「わかりました。 では、軽くお茶だけでもご馳走になります」
レアが両手を合わせて喜んでいた。
「ありがとうございます。 どうぞこちらへ」
レアの後について屋敷に向かう。
屋敷の入り口では細身の女の人がドアを開けて待ってくれていた。
「ようこそテツ様」
「エリス、ご苦労様」
レアが軽く言葉をかけて入って行く。
「ありがとうございます。 お邪魔します」
俺も会釈しながら入って行った。
・・・
後で思ったが、入ったのが間違いだった。
これほど疲れる家はないだろう。
レアが、リビングだろうか、白色が基調の部屋に案内してくれた。
「どうぞ」
レアが手で座るように促してくれる。
俺が椅子に座ろうとすると、やや小柄の感じの良い女の人が椅子を引いてくれる。
俺は少し恐縮しながらも座らせてもらう。
「あ、ありがとうございます」
俺が席につくと、ピンク色の髪の女、セレネーだったか、がお茶を持って入って来た。
・・・
痺れ薬とか入ってないだろうな。
俺の前とレアの前にそれぞれ白いカップを置く。
「どうぞテツ様、お召し上がりくださいな」
「は、はい」
俺はカップを手に取りながら思う。
どこの尋問室だ?
俺とレアは向かい合って座っている。
俺の後ろには先ほど椅子を引いてくれた女の人と入り口でいた細身の女の人が立っている。
レアの後ろにはセレネーともう一人の美人さんが立っていた。
レアとロイヤルガードたちはとても美人揃いだ。
誰もが振り返るだろう。
だが、この緊張感はなんだ?
全く落ち着けない。
猛獣の群れの中に檻に入って捨てられている気分だ。
「テツ様、わざわざお越しくださってありがとうございます。 明日ですが、9時に伺わせてもらってもよろしいのでしょうか?」
レアがニコニコしながら話しかけてくる。
「え、えぇ、それは問題ありません。 私の方こそ今日は十分な対応もできずに申し訳ありませんでした。 そのお詫びと、レアさんに少しお聞きしたいことがありまして伺いました」
俺の言葉にレアがカップを静かにテーブルに置く。
「はい、どのようなことでしょうか?」
「えぇ、実はレアさんがお調べになった世界の街の状況です。 確か邪王の出現とか何とか・・テュールさんから聞きました」
俺の質問にレアが目を閉じてゆっくりとうなずく。
「なるほど・・わかりました。 テツ様、これは私がアニム王にも申し上げたことですが、お聞きくださいますか?」
「え、えぇ、是非とも・・」
レアが静かに話始める。
「調査しておりましたこの星の独立していく街ですが・・」
・・・
・・
レアを話を聞いていて俺も思う。
必然なのかもしれない。
地球人の性?
いや、科学文明という妄信の為せる業なのか。
常に効率の良いもの、上昇志向の追求と思っている考え。
そして、自分達の足元を見ない。
例えば工業発展に伴う公害。
後で後悔する。
後悔できるなら問題ないが、原発など後悔などでは許されない負の遺産。
そんなのを文明の進歩と称して行ってきたのだ。
その報いというか対価を支払わされているのかもしれない。
俺の頭の中でいろんな考えが溢れてくる。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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