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191 小さな会議



<テツの家>


テュールたちがレアとロイヤルガードたちを家に入れてすぐのことだ。

ドアの前に強烈な雰囲気を感じる。

その存在を隠すことさえしていない。

テュールは思わず席を立ち、レアを見る。

レアはカップを手に飲み物を一口飲んでカップを置く。

「テュール様、どうぞお出迎えくださいませ」

レアの言葉にテュールは一礼をして席を外す。


出入り口のドアの前に来てテュールがドアを開ける。

ルナがいた。

テュールは深々と頭を下げる。

「うむ。 テツは帰っているのか?」

「い、いえ、ただいま外出しております」

「そうか・・レアが来ているのであろう。 ワシも同席させてもらってもいいかな?」

ルナが微笑みながら言う。

テュールに断る言葉はない。

普段のルナ様ならこんな雰囲気をかもし出すことはない。

「どうぞお入りください」

テュールはそう言葉をかけ、ルナを案内する。


廊下を歩きながらテュールの心は少しざわついていた。

今日は驚かされることばかりだ。

レア様にルナ様。

これは何かとんでもないことが起こる前兆なのか?

邪神王の戦いが終わったばかりだというのに。

それにテツ様も落ち着かれておられる。

それがまた波乱の幕開けなのか?

答えのない疑問がテュールの頭の中を駆け巡る。

レアたちがいる部屋の前まで来た。

ドアをノックしてテュールが開ける。


ルナが遠慮なく入って行った。

「これはこれはルナ様、まさかテツ様のお屋敷でお会いできるとは思いませんでしたわ」

レアが言葉をかける。

「レレも来ておるとはな」

「・・レレではございません。 レア・レイドルドですわ。 えへん、そんなことよりもルナ様、そんな雰囲気をまとわれてはみんながおびえてしまいます」

レアが飲み物を飲みながら言う。

「おぉ、そうだったな。 これはワシとしたことが・・」

ルナはそういうと、いつもの雰囲気に戻した。


テュールがヴェルとエイルにルナの食事も用意をするように指示をしていた。


「ん? いい匂いがするな。 ワシも一緒に混ぜてもらおう。 よいかなテュール」

「も、もちろんでございます、ルナ様」

ルナは遠慮なく席についた。

「レレよ、ここに来ているということは、これからのことを考えたのであろう?」

ルナがいきなり聞く。

「えぇ、それもありますが、わたくしはテツ様のお身体が心配で仕方がないのですよ」

「フフ・・正直なことだ。 で、実際はどうなのだ?」

ルナの顔つきが真剣な感じになっていた。

「はい、それをテュール様にお聞きしようと思っていたところにルナ様がお越しになられましたので・・」

「うむ」

「テュール様、テツ様は普段通りの生活を送っておられるのでしょうか?」

レアの質問が始まる。

「はいレア様。 我が主は何ら変わることなく過ごされております」


ルナがつぶやく。

「一度魔王への扉を開き、戻ってきたのだ。 もはや今までのテツではあるまい。 人種族としての制限はないと思っていい。 それでも普段通りの生活をできているのだな」

「えへん・・ルナ様、だからこそですわ。 わたくしが見込んだ方ですもの」

「だがレレよ。 フレイアもおるぞ」

「負けませんわ」

レアが胸を張って言う。

「それよりもだ。 レレよ、本題だがこの星の調査に出掛けていたのだろう。 どうなのだ?」

その場に居た全員がレアの方を見る。

テュールは妙な緊張感を感じていた。

「えぇ、アニム王にもご報告いたしましたが、危うい状態・・いえ、間違いなく邪王が現れてくると思われます」

テュールの目が大きく見開かれた。


ルナがレアの言葉を聞きながら静かに答える。

「やはりな・・テツの状態とその周りの連中。 先の大戦などを見ても、この星の人種族というのはレベルの上昇を好むようだな。 その先のことをあまり考えていない」

ルナの言葉に皆言葉がない。

ルナが続ける。

「フッ、まぁよい。 で、レレよ、どれくらいの規模で起こると思っているのだ?」

「さすがですわね、ルナ様。 アニム王もそこのところを心配しておられました。 私たちが推察するに、独立した街単位で起こるだろうと考えております」

テュールが驚きの表情を見せる。

そして思わず言葉が口から出てしまった。

「ま・・まさか・・そんな規模で邪王が出現するなどと・・」

テュールはハッとして一礼をする。

「申し訳ありません。 つい余計な言葉を口走ってしまいました」

レアたちは気にすることなく続ける。


「ふむ・・ワシにとって見れば高エネルギー体のエサに過ぎぬが・・」

ルナがそこで笑う。

「すまぬ、言葉が悪かったな。 高レベルの魔物と想定すればよいのだが、出現した街は滅ぶだろう。 後は本能的に同じ邪王を求めて戦いが繰り広げられる。 それに邪王と化した生物は、回復魔法などが効かぬからな・・邪王同士が個体数を減らしてゆくのを観察すればよい。 ただ、その間の防御が問題となろう」

「はい、ルナ様のおっしゃる通り、アニム王もその防御に力を注ぎたいと帝都の錬金術師たちとともに武具の制作や結界に既に取り掛かっております」

レアの言葉を聞きながらルナがうなずく。

「帝都は問題ない、テツの御父上がおられる。 ドワーフの砦も大丈夫だろう。 後はその結界や武具の数によるな・・」

ルナが口に手を当てて考えている。

コンコン・・。

ドアをノックする音がした。

テュールが席を立ちドアを開ける。

ヴェルとエイルが食事を運んで来ていた。




最後までお読みいただき、ありがとうございます


これからもよろしくお願いします。


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