182 シルビアとキョウジ
『レベルが上がりました』
キョウジの頭の中に天の声が響く。
キョウジは自分のステータスを確認していた。
キョウジ(ランクA)
レベル:39⇒40
種族 :人
HP :710/760
MP :530/550
力 :655
防御 :630
敏捷 :828
技能 :555
運 :65
職業 :上忍朧9
固有スキル
忍術☆
アイテムボックス☆
タイムズスクエア☆
ハッ、あまり変わらねぇな。
そんなものか。
キョウジは顔を上げテツの方を見る。
あいつは俺よりもレベルが上のはずだ。
妙に俺に懐いてやがる。
敵ではないが、仲良くするような間柄でもない。
どうでもいいな。
取りあえず進めるところまで行ってみるだけだ。
テツの方を見ながらキョウジは思う。
◇
<テツ>
俺はキョウジのいるところへ駆け寄っていった。
「キョウジさん、瞬殺でしたね」
「まぁな。 相手に得意技を使わせる前に叩けばいい・・って、どうでもいいな。 さて、次の階層へ行くか」
俺とキョウジは40階層へと向かう。
40階層のフィールドに到着すると、誰かが戦っているのがわかった。
!
「誰かいるな」
俺と同じくらいのタイミングでキョウジがつぶやく。
遠くを見る目線でフィールドを見つめていた。
ピ!
俺は同時に索敵をしていた。
レベル40:キマイラ、レベル38:サラマンダー×2がいた。
後はほとんど魔物はいないようだ。
レベル40の人物がいる。
なるほど、この人物がフィールドにいた魔物を倒したのだろう。
魔物から離れて飛び道具を使っていた。
紫色の軌跡を描いて矢を放っているようだ。
!
あれは?
あの色・・シルビアの放つ矢の色だが。
俺はそう思いながら近づいて行く。
キョウジも無言で観察していた。
放たれた矢が見事にサラマンダーにヒットする。
ドドドッと続けざまに何本か刺さると、サラマンダーが動かなくなり蒸発する。
「やるねぇ・・」
キョウジがニヤッとしてつぶやく。
俺たちが近づいて行くと、やはりシルビアだった。
チラっと俺の方を見る。
その間にも残りのサラマンダーを倒していた。
「テツじゃないか! どうしたんだ?」
シルビアが片手を振りながら近づいてくる。
!!
キマイラが戦闘態勢に入っていた。
翼を羽ばたかせると見えにくいウインドカッターが飛んでくる。
俺は飛燕を抜き、十字に合わせてガードする。
ギン!
「シルビア、敵が前にいるんだぞ」
「あ、あぁ、すまない。 助かった」
シルビアが少し呆けたような感じで言う。
やっぱこいつはバカか?
キマイラが尻尾を動かして何やら液を飛ばしてくる。
地面に着弾すると、シューシューと白い煙を出していた。
酸の液だろう。
その間にも次のウインドカッターが飛んでくる。
俺が飛燕で防ぐ。
その間にシルビアが弓を強く引き絞っていた。
少しシルビアの身体が光ったかと思うと、濃い紫色の航跡を描いて矢が飛んで行く。
「へぇ、きれいだなぁ」
キョウジが思わず口にしていた。
キマイラが少し矢を避けるような動きをする。
!!
俺は驚いた。
キマイラの動きに従って、シルビアの矢が軌道を変える。
そのままキマイラに突き刺さっていた。
ドシュ!
続けてシルビアが何本か矢を放つ。
ドドドド・・・。
連続でキマイラに命中。
しばらくするとキマイラが蒸発する。
シルビアがゆっくりと立ち上がり、俺の方へ歩いてきた。
「シルビア、凄いじゃないか。 矢が相手を追尾していたように見えたぞ」
俺は見たままを言ってみた。
「ハハハ・・ありがとう。 それよりも、テツこそどうしてここに?」
「あぁ、俺もレベルを上げようと思ってきたんだ」
俺が答えていると、シルビアがチラっとキョウジを見る。
「テツ、こちらの人は?」
「あぁ、キョウジさんだ」
キョウジがニヤッとしてシルビアを見つめる。
「ねぇちゃん、いいね」
キョウジの言葉に俺もうなずく。
シルビアの弓を背負っている姿・・胸がとても強調されている。
ごっつぁんです!
「キョウジというのか。 何か妙な感じがする人間だな」
シルビアの言葉にキョウジの目が少し大きくなった。
「人間? ん・・エルフか? これはまた珍しい・・俺の女にならねぇか?」
?
俺は一瞬耳を疑った。
「キョウジだったか・・私は強いものが好きなのだ。 お主は強そうだが、何か違うな」
シルビアが言う。
「へへ、まぁな。 取りあえずよろしくな」
キョウジはシルビアに片手を出して握手を求めているようだ。
シルビアもスッと右手を出す。
キョウジとシルビアが握手をした瞬間だ。
!!
キョウジがシルビアをグッと引き寄せて、シルビアをふわっと抱きしめた。
そのまま遠慮なくキスをする。
シルビアの目が大きく見開かれて、右フックをキョウジに放っていた。
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