175 ダンジョンに来たものの・・
<帝都ダンジョン33階層>
まだテツがダンジョンに到達する前。
ロングライフルと呼べばいいのか、突き出た岩の上で片膝をついて照準を合わせている姿があった。
銃口の先にはゴーレムが歩いている。
フィールドにはゴーレム:レベル32×5、ジャイアント:レベル33×3、ユニコーン:レベル35がいた。
狙撃者はマイケル。
元米海兵隊の狙撃手だった。
アメリカという国が存在していたついこの間まで、軍の命令で紛争地帯で狙撃を担当。
1㎞先の標的を狙える抜群の腕を持っていた。
世界のシステムが魔法やレベルというものがある世界に変化。
マイケルは当初から狙撃手の職種を選択。
それ以降、転職はしていない。
4人の仲間と一緒に帝都ダンジョンに来ていた。
ドン!
マイケルの銃口から魔弾が発射される。
1㎞くらい先にいるだろうか、ゴーレムの頭にヒット!
ゴーレムの頭が吹き飛び、1体がそのまま崩れていく。
その場にいたゴーレムたちが辺りを見渡すが、何もない。
少しウロウロするも、またゆっくりと移動を開始。
ドン!
ドン!
同じように2体のゴーレムが消えて行く。
マイケルの横でいた仲間たちが双眼鏡を片手につぶやく。
「さすがマイケルだな。 恐ろしいぜ」
「えぇ全くだわ。 見事としかいいようがない」
・・・
マイケル:レベル32、他の仲間もレベル31になっていた。
「やっぱり帝都のダンジョンに来て正解だったわね」
「あぁ、そう思うよ。 俺たちもレベルが4つも上がったぞ、マイケルのおかげだな」
「えぇ、その通りね。 私なんて衛生兵だから・・フフ」
「ステファニー、何言ってるんだ。 回復魔法を使える人がいるからこそ安心して戦えるんだ」
マイケルがすぐに言葉を返す。
「そうだぜ。 俺なんて銃はダメ、魔法もダメ、できると言えば・・なんだろうな?」
「アハハ・・マシューはナイフが使えるじゃない。 十分よ」
「ありがとうステファニー。 でもなぁ・・快楽殺人者じゃないかって言われるしなぁ。 確かに戦闘自体は楽しいんだが、好きで相手を斬るわけじゃない。 殺らなきゃ殺られる。 まぁこのギリギリの狂った感覚がたまらないといえばたまらないんだが、死ぬのは嫌なんだよ」
「言葉だけを聞くと、怖いわね」
「え? ジェシカまで・・」
アハハ・・。
マイケルのパーティは明るい雰囲気に包まれていた。
「マイケル、俺たちのこの装備・・あの武装ロイドの簡易改良版だろ?」
「あぁ、そうだ」
「まぁ、搭乗するわけじゃないが、プロテクターみたいに身体を覆ってくれるし、同じような性能が出せていると感じるよ」
「俺もそう思う」
「これって、マイケルが上申したんでしょ?」
ステファニーが聞いていた。
「うむ。 どうもあの武装ロイドに乗るのが好きになれなかったんだ。 だから身体を保護して能力を強化してくれるようなものはないかと言ってみたんだ。 まさか武装ロイドが壊滅するような敵がいるとは思ってもいなかったがな」
「あぁ、全くだ。 あの大戦は驚きの連続だった。 よく俺たち生き延びたものだよ。 だからこうやって俺たちのレベルを上げているのだろ?」
マイケルはうなずきながら笑っている。
武装ロイド簡易型。
機体に搭乗するものではない。
武装ロイドのパーツで身体を包むようなものだ。
だが、装着した者の基礎能力をかなり引き上げる。
武装ロイドのように魔石や魔核の限定的なレベル制限はない。
とはいえ、無限ではない。
おそらく今のマイケルのレベルが限界だろう。
装着者のレベルと織り込まれた魔石の相乗効果で、+5程度のレベルは基礎能力に反映されていた。
マイケルならレベル35くらいまで引き上げられたような感覚になっていただろう。
見た目は重量型の鎧のように見える。
だが装着している者は、装着している感じさえ忘れるくらいの装備だ。
◇
<テツ>
俺はダンジョンに入っていた。
階段を降りて来てフィールドに立つ。
「ここが43階層だな・・ん?」
俺は少し違和感を感じる。
あれ?
何か見たことあるようなところだが・・まぁルナさんの作ったものだからな。
同じような感じのエリアが多々あるのは仕方ない。
俺はそう思い、ゆっくりと進みながら索敵。
・・・
ピ!
ユニコーン:レベル35、ジャイアント:レベル33。
は?
たったこれだけ?
それにレベルが低い・・本当に43階層か?
ん?
!
人がいる。
俺は注意深く索敵。
・・・
ピ!
なるほど、レベル32とレベル31が3人か。
騎士団の連中の訓練かな?
俺はそんなことを思いながら、ゆっくりと近づいて行く。
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