171 狙撃
「おい、あの石の塊のような魔物・・ゴーレムだよな?」
山下がつぶやく。
「そう思うぜ。 それに後ろの方にいる奴はゴーレムの上位種のようだ。 形が違う」
!!
そこまで言った時だ。
ジャイアントが何かを投げる仕草をした。
「おい! あいつ・・何か投げ・・」
山下たちの目線の上にグングンと大きくなりながら迫ってくる塊が見えた。
「と、飛べぇ!!」
誰が叫んだか、3人は今いた位置から大きく飛び退いた。
ドォオーーーーーーン!!
3人のいた位置に、大型トラックはあろうかという岩の塊が突き刺さっていた。
地面も大きく凹んでいる。
「大丈夫か!」
「あぁ、問題ない」
「こっちも問題ない」
3人はジャイアントの投石を躱せたようだ。
前方を見る。
「あのでかいの・・ヤバいな」
「あぁ、だがゴーレムタイプだとすると、やっぱり額に文字があるのかな?」
「後藤、それって物語の話だろ? 誰かが作った場合じゃねぇのか?」
「そりゃそうだが・・どうやって戦う?」
「う~ん・・やっぱり額を狙うか」
「そら見ろ」
!!
またジャイアントの投石だった。
「散れ!」
山下がそう叫ぶと、3人はちょうどゴーレムたちに向かって三角形のような形になった。
山下が頂点になる。
その後ろから木村が上空に向かって弾丸を放ち始めた。
ドガガガガ・・・・。
上空のガーゴイルたちに木村の魔弾が命中し、面白いようにガーゴイルたちが落下してくる。
途中で蒸発するもの、地上まで到達して消えるもの様々あったが、10秒ほど撃ち続けるとほとんどのガーゴイルがいなくなった。
「木村、やるな! だがこれでゴーレムに集中できるぜ。 後藤、バフを頼む」
山下の言葉に呼応してすぐさま魔法をかけた。
「よし!」
山下がゴーレムの1体に向かってダッシュする。
こいつらの動きは全然速くない。
俺たちが動いてさえいればやられることはないだろう。
山下はそう考えながら、1体のゴーレムの腕を切断する。
スパン!
「ん? 手応えがあまりない。 そんなに強くないぞ」
ゴーレムの腕が地上に落下。
すぐに形が崩れるが、砂状になりながら本体に吸収されていく。
見る間にゴーレムの腕が再生していた。
!!
「き、木村、後藤、気をつけろ。 こいつら再生するぞ!」
「「なに?」」
2人は驚いたが、木村はすぐにゴーレムに向かって撃つ。
ドガガガガ・・・。
全弾ゴーレムに命中するが、ゴーレムの再生能力の方が少し勝っているようだ。
「はぁ、はぁ・・キリがないぜ」
木村がつぶやく。
山下もゴーレムのいろんな場所を斬るが、すぐに再生する。
頭には文字らしきものがない。
何度か頭を斬ってみたが、どうも違う感じがする。
山下もテツのようにメッタ突きにすればよかったのだが、そんな発想は浮かばないようだ。
「こいつらやべぇよな。 どうする?」
「山下、どうするも何も戦うしかない。 それに奥にいるゴーレムの上位種が気になる」
山下たちがゴーレムと戦っていると、初めは投石をしかけてきたジャイアントだが今はおとなしくジッとしている。
戦闘に参加する様子もない。
まるでオブジェクトだ。
理由はジャイアントとの距離が一定以上離れたためだったが、山下たちはまだ気づいていない。
「あぁ、確かにな・・あの上位種、何で動かないんだろうな。 それよりもこいつら動きは遅いのにパワーがあるし、無限再生じゃ俺たちが死ぬぞ」
「わかっている。 だがなぁ・・」
山下と後藤が会話しながらゴーレムの攻撃を躱していた。
ゴーレムの攻撃を躱すのはなんてことはない。
ただ、こちらは動けば疲れる。
こんなことを繰り返せばどこかでやられるだろう。
2人が同じようなことを思っていると、後ろから妙な気配を感じた。
振り返ると木村が腹ばいになって銃を構えていた。
狙撃体勢だ。
かなり集中している感じがする。
木村の銃がオレンジ色に少し輝くと、一発の銃弾を発射したようだ。
ドン!!
山下たちはその音と同時に銃口の先を目線で追う。
先頭のゴーレムに線がつながった。
!!
ドッパァァアン!
ゴーレムの頭が吹き飛んでいた。
すぐにゴーレムの身体が、砂山が崩れるように形を成さなくなっていく。
「マ、マジか・・」
山下は口を半開きでつぶやく。
「き、木村・・すげぇ・・」
後藤も同じような感想だ。
「木村ぁ、すげーじゃねぇかよ。 そうだよ! 頭吹き飛ばせば細かいこと考えることはなかったんだ・・って、剣で吹き飛ばせるか!」
山下は大きな声でうれしそうに語っていた。
「次が来るぞ!」
木村は次に備えて、銃に魔法を込めているようだ。
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