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168 帝都ダンジョン30階層



山下が仲間の顔を見る。

全員が同じような仕草で顔を見合わせた。

「マジかよ・・すぐにレベルが上がったな」

「あぁ、こりゃいい」

「全くだ。 帝都のダンジョンは親切だな。 階層に沿って魔物が調整してある。 これで俺たちはレベル27だ」

「確かにな。 それにしてもこんなに親切なシステムなのに、帝都の連中はレベルが上がっていないのか? なんでだろうな?」

「バカだからじゃねぇの」

「もしかしたら、ダンジョンの価値に気づいてない連中が住んでるんじゃねぇのか?」

「まぁ何にしても俺たちが強くなれれば、それでいい」

「そうだな」

山下たちは上機嫌だった。

・・・

順調に進んで行き、レベルもそれほど苦労することなく上がって行く。

山下たちはレベル29になっていた。

帝都の住民をバカしながら軽口を叩く。

30階層に到達していた。


帝都の住民がなぜレベルを上げないのか。

帝都が安心して暮らせる場所だからだ。

素材集めで十分に生活ができる。

無理に危険なことをしなくてもいい。

帝都騎士団もいる。

だがレベル上げに励んでいるパーティもいる。

そして30階層を超えると魔物のレベルが一変する。

山下たちがそれに気づくのは今からだった。


<キョウジ>


ダンジョンに入り、そのシステムを身体で学びながら進んで行っていた。

なるほど、とても丁寧なシステムだ。

無理なくレベルを上げられる。

危なくなれば引き返せばいい。

自分の力を試しながらお金も稼げるようになっているようだ。

キョウジは別にお金に興味はない。

ただ、自分の武具を試してみたい。

20階層まで来たが、何の張り合いもない。

単なる散歩程度だ。

たまに困っているパーティなどがいれば手助けをしたりしている。

ご機嫌だ。


キョウジは何の支障もなく30階層に到達していた。

同じ階層に先行していた山下たちがいる。

キョウジが到達した時に、今にも泣きそうな顔で引き返して行く人を見た。

目が合うと、サッと下を向いて帰って行く。

キョウジは別に気にするでもなく30階層のフィールドに入って行く。

ピ・・。

なるほど魔物がいるな。

レベル31:バジリスク×3、トロウルなどがいた。

ん?

人もいるのか?

キョウジはその人たちに近づいて行く。

スキルで相手に気づかれることはない。

それに相手とレベルが違い過ぎる。


<山下たち>


キョウジが30階層に到達する少し前。

このフィールドに立っていた。

「山下、このエリア・・なにもないな。 赤い砂漠だ」

「そうだな。 まぁこういったエリアもあるさ」

「「ん?」」

山下たちの前から1人の冒険者だろうか、走って来ていた。

「・・はぁ、はぁ、良かった。 人がいた・・」

走って来た人が息を切らせながら言う。

「どうしたんですか?」

山下が聞く。

「あぁ、実はバジリスクと遭遇して仲間が石にされたんだ。 ポーションも持っていたが、まさか持っている奴が石にされるとは思ってもいなかった。 俺1人では勝てそうもないので、応援を呼びに戻るところだったんだ」

男は引きつった顔で言う。

山下たちはうなずきながら聞いていた。

「そうですか・・それは大変でしたね。 お気をつけて」

山下がそう言葉をかけると、男は申し訳なさそうな顔をしながら階層入口へ向かって走って行った。


「山下、あいつを狩れば経験値が入ったんじゃね?」

「放っておけよ、あんな雑魚。 俺たちはレベル29になってるんだぜ。 小物なんて相手にできるかよ」

「俺もそう思うよ。 それにあいつ応援を呼ぶとか言って逃げてるんだろ?」

「ヘッ、まぁいいじゃねぇかよ。 雑魚に用はねぇ」

山下たちは間違いなく増長していた。

3人でニヤニヤしながら歩いていると、なるほど雰囲気の違う魔物たちと出会う。

トロウルが2匹ほど徘徊していた。

ところどころ傷ついている。

山下たちはお互いに顔を見合わせてうなずく。

「後藤、さっき逃げて行った奴と戦った魔物だろう。 見たことはないが、どうみてもバジリスクじゃないよな?」

「あぁ、俺もそう思う。 確かトロウルじゃなかったっけ? オーガか?」

「どのみち戦ってみればわかることだ」

「木村ぁ、行き当たりばったりだと死ぬぜ」

「ハハハ・・問題ないって。 俺たちレベル29だぜ。 今なら福本にも勝てるんじゃね?」

「いや、もっと圧倒的に差を開けて始末しなきゃ気が済まないぜ」

「山下は真面目だな・・あはは」

「行くぞ!」

山下が剣を構える。


後藤がトロウルにめがけて魔法を放つ。

炎の魔法だ。

トロウルがメイスで後藤の魔法を受ける。

「ハッ、バカが・・しょせんは魔物か。 焼かれながら窒息して死ね」

後藤がニヤッとしながらつぶやく。

スフィンクスの時と同じようにメイスからトロウルの身体を炎が覆っていこうとした。

トロウルがメイスを軽く振る。

ブン!

後藤の魔法がかき消されていた。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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