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166 武具



会議室に人が集まって来ていた。

人数は20人程だろうか。

大きな机を囲んでそれぞれが席についている。

机の上座になるのだろうか、旗が掲げられていた。

白地に鷲のような刺繍が施されているようだ。

その旗の下に目を閉じて座っている人がいる。

福本と呼ばれるこの街のリーダーだ。


福本は目を開けて言葉を出す。

「皆、集まったな」

全員が福本を見る。

山下たちもいた。

集まったのはそれぞれの班のリーダーたちだ。

2~3人組を1つの班として設定して街を運営している。


「まずは1つ確認しておきたい。 山下のチームだが、他の街を襲撃しているという話は本当か?」

福本はえてこの会議の最初にその話題を問う。

山下は悪びれる感じもなく平然と答える。

「あぁ、本当だ。 この街の安全のために降りかかるであろう火の粉を先に払ったんだ」

福本はジッと山下を見つめる。

他の連中は何も言わない。

妙な緊張感が空気を漂う。


この場で山下のレベルに対抗できるのは福本だけだろう。

「山下、この街は戦闘集団じゃない。 皆、平和に暮らしたいんだ。 君たちには街を出て行ってもらいたい」

福本が毅然と言う。

山下たちは一瞬驚いたようだ。

まさかはっきりと福本がそんな言葉を使うとは思わなかった。

山下たちはゆっくりと立ち上がる。

「ヘッ、福本さんは手厳しいようですな。 いいぜ、どうせこのままいたってロクにレベルアップもできねぇ。 じゃあな」

山下たち3人は素直に部屋を出て行った。


<山下たち>


部屋を出て街の外に向かって歩いている。

「山下、良かったのか?」

「あぁ、今は仕方ない。 福本の方がレベルが上だ。 だが、あの野郎そのうちにってやるぜ」

「さすがだな。 で、どうやって殺るんだ?」

仲間の言葉に山下がニヤッとする。

「帝都へ行くんだよ。 ダンジョンに入ってレベルを上げてやるぜ。 福本なんざ屁みたいな感じになってサクッとな」

「それはいいな。 俺たちもかなりレベルアップできそうだ」

山下たちは意気揚々と帝都へと向かう。


<帝都ギルド>


テツがダンジョンに潜る前。

キョウジが帝都ギルドに現れていた。

受付に行く。

「いらっしゃいませ、帝都ギルドへようこそ。 どういったご用件でしょうか?」

アリアだった。

すぐに思い出したようだ。

前に見たことがある男。

確か私を完全に無視した男だったはずだ。


「ねぇちゃん、ダンジョンに行こうと思っているんだが、何か注意事項とかねぇか?」

キョウジの質問に、アリアは受付としての仕事はキッチリとした。

ダンジョンの階層は自分の足で重ねていくこと。

行った階層は入り口から飛べること。

戻ってくるときは地道に階層を戻って来なければいけないことなどなど。

・・・

・・

「そうか、ありがとう」

キョウジはそれだけを言うと席を立つ。

アリアは文句の1つでも言ってやろうかと身構えていたが、何事もなく終わる。


キョウジはダンジョンへ向かう前に、ドワーフの店に立ち寄った。

自分用の武具を揃えるためだ。

ガルムのおやじの店の前に来る。

レベル25以下はお断り。

キョウジはその看板を見て笑う。

「ヘッ、やってくれるぜ」

店の扉を開けて中へ入っていた。

「いらっしゃい」

ガルムが入り口から入ってきた客をみる。

瞬間、自然と身構えてしまった。

レベルが見えるとか見えないとかではない。

何か異質なものを感じる。


キョウジは探られているらしいとは感じていたが、気にするでもなく武具を見て回る。

「う~ん・・どれもパッとしないな」

ブツブツつぶやいていると、ガルムのおやじの前に来る。

「おやっさん、素手で戦う武器ってあるかな?」

ガルムはジッとキョウジを見つめていた。

「お前さん、かなりレベルが高いのだろう。 その雰囲気は普通じゃないぞ」

キョウジは鼻で笑う。

「へッ、そんなことは勝手に思うやつが思っていればいい。 それよりも武器はあるのかい? 金ならあるぜ」

ガルムはキョウジを見ながら思う。

ちょうどメリッサ殿から依頼されていた武具が完成している。

ただ、納品しようにもレア様たちは世界を回っている。

それに数日もあればまた製作はできる。

ガルムは迷っていた。

この男に武具を与えてみたい気がする。

怖いもの見たさだ。

だが、それは何か恐ろしいことが起こる気もする。

制作者のジレンマ。

それにどうしてこの武具が完成したタイミングでこの男が現れたのか。

まさか武具が呼んだのか?

・・・

ガルムは顔には出さず迷った挙句、手渡すことを決意。


「素手で戦う武具だが・・これだ」

ガルムはカウンターの下にある箱から拳を保護し、肘辺りまで装着する武具を取り出した。

キョウジが真剣なまなざしになって武具を見つめる。

武具が軽く光ったような気がした。

ガルムはその瞬間を見逃さなかった。

ぶ、武具が呼んだのだ。

まさか、それほどの人物か?

やはり手渡すべきではなかったのかもしれない。

だが遅い。

いや、いずれはこの人物のところへ武具が行き着いたことだろう。

鍛冶師ならわかる。

ガルムがいろいろと思っている間にキョウジが武具を手に装着していた。




最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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