表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

144/236

144 絶望ではない



アニム王にダンジョン方向の調査を依頼されたアリアンロッド。

調査員たちを選出して王宮を出て行こうとすると、前方から歩いて来る人がいた。

ゼロとテツを抱えたイリアス。

ルナとフレイアだった。

アリアンロッドは立ち止まりルナたちを見る。

ん?

見たことのない人がいる。

白い服を着た子供と精悍な顔つきの大人。

それに誰かを抱えている。

ルナたちが近くに来ると挨拶をする。

「こんばんはルナ様。 いったいどうされたのですか? それにこちらの方々は・・」

アリアンロッドが微笑みながら聞く。

「うむ、実はな少々やっかいなことになっておる。 それにこの者たちは龍族のクイーンバハムートとイリアスだ」

・・・

アリアンロッドはその言葉を反芻する。

龍族?

クイーンバハムート?

・・・

!!

「な、な、な・・あの古龍の・・え? いったいどういうことですか? 私・・見えていますよね? え? 見えないはず・・え? あ・・」

アリアンロッドが狼狽している。


「ふぅ・・」

ルナは軽く息を吐き、こいつでは話にならないな、そんな顔をして言う。

「とにかくアニムのところへ行かせてもらうぞ」

ルナはアリアンロッドの横を通過してゼロたちと一緒に王宮へ入って行った。



アニム王の部屋をノックする音が聞こえる。

コンコン!

「どうぞ」

アニム王の声に扉が開かれた。

案内係の人が言葉を出す。

「王様、ルナ様が至急面会を申し出ておられまして、こちらに来られております」

係の言葉も終わらぬうちに、後ろからルナが話してくる。

「おぅアニム。 少し時間をくれ」

アニム王は微笑みながら係の人に労いの言葉をかけ、ルナたちを応接室へ案内した。


応接室に入ると、ルナが簡易的なベッドを魔法で作りテツを寝かせる。

「それでルナ、何が起こったのでしょうか? それにこの方々は?」

アニム王がゼロとイリアスを見る。

「うむ、彼らはクイーンバハムートと龍族のイリアスだ。 さて、話すのも面倒だな・・」

ルナはそう言うと、城戸の記憶と何が起こったのか見たままの記憶を応接室にいるみんなと共有する。

・・・

・・

「なるほど・・それでテツが・・」

アニム王がゆっくりとうなずく。

「でも、完全な魔王化はしてないはずだよ。 ここにいるみんなのおかげだね」

ゼロが言う。

「しかし、どうしたものでしょうね」

アニム王が少し考えていると、扉をノックする音がした。

コンコン!

「どうぞ」

アニム王の声に扉が開かれる。

「王様、テツ様のお母様とお父様が来られておられます。 いかがいたしますか?」

アニム王はフレイアの方を見た。

フレイアは大きくうなずく。

「こちらへ案内してくれ」

アニム王の言葉に係の人は、ばあちゃんとじいちゃんを案内する。

既に扉の外まで来ていたようだ。

優とレイアは、ばあちゃんたちと分かれて王宮周辺を捜索しに行ったらしい。


ばあちゃんたちはお辞儀をしながら入ってきた。

「お、王様、こんばんは。 実は少しお聞きしたいことが・・」

ばあちゃんが部屋に入りながら、中ではテツがベッドで寝かされている姿を見て驚いた。

「ありゃ? なんでテツがここに・・これはいったい?」

ばあちゃんが顔を上げ、部屋にいる人たちを見渡す。

「お母さま、実は・・」

アニム王はそう言葉を出して続ける。

「これからお見せする記憶映像ですが、説明するより理解できると思います。 驚かないでくださいね」

アニム王は凛のことを思ったが、どうせわかることであるし覚悟を決めて伝えようと思った。

それにまだみんなに伝えていないが、()()()もある。

絶望ではない。


アニム王から記憶映像を見せられたばあちゃんとじいちゃんはその場で腰が抜けたようだ。

ストンと尻餅をつく。

「り、凛が・・そんな・・」

ばあちゃんは、両手で顔を覆って震えていた。

じいちゃんも目を閉じたまま震えている。

アニム王がそっとばあちゃんの肩に触れて言う。

「お母さま、凛ちゃんは戻ってきます」

ばあちゃんの震えがピタッと止まる。

ゆっくりと顔を上げてアニム王の方を向いた。

涙の後も拭くことなくアニム王をしっかりと見つめている。

「王様・・どういうことでしょうか?」

アニム王はにっこりと微笑み、同じ言葉を繰り返す。

「大丈夫ですよ。 凛ちゃんは戻ってきます」




最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


よろしければ、ブックマークなど応援お願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ