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143 来訪者



「ま、町田・・」

城戸が俺の名前を呼ぶ。

俺はその言葉になぜかわからないが一気に感情があふれ出て来る。

俺の身体から強烈なオーラがドンと弾けた。

ルナが俺を見ながらつぶやく。

「この負のエネルギー・・やはり、ダメか」



俺は一歩前に踏み出し城戸の目の前に来た。

そのまま遠慮なく城戸に斬りつける。

シュパ!

空気を斬る感じだ。

スパッと城戸が横薙ぎに斬れた。

飛燕を両手で持ち、城戸の頭から地上へ向けて縦切りに追撃をする。

スパン!

城戸の身体に十字の赤い光跡が揺らめく。

城戸は動くことなく、そのまま蒸発していった。


飛燕が地面に刺さっていた。

俺はその場で膝をついて飛燕にもたれかかる。

ドクン!!

俺の身体が熱い。

何だこの感覚。

城戸を始末したのに、スッキリしない。

それに身体の中から突き上げる衝動。

俺は思わず叫んでいた。

「うおぉぉぉぉ!!!!」

同時に身体から赤黒い閃光が広がっていく。


ルナの結界に当たって反響する。

「グッ!」

ルナの顔が歪む。

フレイアは片膝をついていた。

「ル、ルナ様、これは何ですか?」

「テツの魔王化だな・・」

ルナも目の前で見るのは初めてだ。

だが、おそらく間違いないだろうと感じる。

今までのテツの魔素とは違う。

この波動を浴びると不安な感覚にさせられる。

落ち着かない。

テツを見ていると、ルナの横から真っ白な服を着た子供が歩いて行く。

ルナは驚いた。

誰だ?

まさかワシが気づけなかったとは。

ルナはさらに驚く。

いったい何者なのだ?

だが、今はこの波動に耐えるので力を使っている。

余計なことはできない。

ルナは白い服を着た子供の背中を見送っていた。


「おやおや、だからあれほど言ったじゃないか、テツ」

白い服の子供は微笑みながらテツを見る。

俺の視界には誰かが映っていたが、よくわからない。

「ふむ・・まだ完全ではないな。 良かったよ」

白い服の子供はそう言うと片手を出して、テツのおでこにデコピンをした。

ビシ!

そのままテツはうなだれて倒れる。

白い服の子供がそっとテツを支えて言葉を出す。

「イリアス、頼むよ」

テツが倒れるとルナの結界の中がすっきりとしていく。

「はい、ゼロ様」

イリアスはゼロからテツを受け取ると右肩に担いだ。


ゼロが微笑みながらルナの方へ歩いてくる。

「君は・・ヴァンパイアだね、よろしく。 どこかテツを横にできるところに案内してくれないかな?」

ルナはゼロを見ながら少し震えていた。

・・・

なるほど・・これがクイーンバハムートか。

このワシが震えるとはな。

「うむ。 アニムのところがよかろう」

ルナはゼロとテツを抱えたイリアスと一緒に王宮へ向かう。

フレイアはただポカーンと見ているだけだった。

ハッと気づく。

「ルナ様ぁ、待ってくださーい」

急いでルナたちの後を追った。

リリィと呼ばれたエルフはそのまま置き去りにされている。

特に怪我もしていないし、自然と目が覚める方がいいと判断されたようだ・・たぶん。



<王宮>


時間は19時頃だろうか。

アニム王は政務を終えて休息を取っていた。

!!

突然、ダンジョン方向で巨大な魔素の拡散を感じる。

そして、すぐにその魔素を包み込むように結界の展開も確認。

「なんだいったい・・何が起こっているんだ? まさか氾濫か? いや違うな・・これは」

アニム王は席を立ち、アリアンロッドを呼ぶ。


すぐにアリアンロッドが現れる。

「アリアンロッドよ、この魔素の波動を感じるかね?」

アニム王が尋ねる。

「い、いえ・・一瞬だけ何か圧力のようなものを感じましたが、それだけです。 申し訳ありません」

アリアンロッドの言葉にアニム王は考える。

なるほど・・結界によって魔素の波動が抑えられたのか。

だが、いったい誰が結界を・・それよりも先ほどの巨大な波動は誰だ?

アニム王の頭の中では疑問が渦巻いている。

「アリアンロッド、ダンジョンの方で何か起こっているようなのだ。 すぐに調査してくれないか」

「御意に」

アリアンロッドはすぐに部屋を退出する。


アニム王は思う。

せっかく邪神王との戦いも終わったというのに、またよくないことが起きようとしているのか。

テツも帰還し、これからこの世界を良い方向へと考えている矢先にこれだ。

私にどれほどの試練を与えるというのだろうか。

だが、それを嘆くことはできない。

それに私は一人ではない。

この星の住人たちもいる。

いろんな意見が交じり合えば、今までにない新しい発見もあるだろう。

アニム王は窓の外を眺めていた。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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