139 予想外
◇
<飛行船の中>
俺たちは北米ギルドを出発し、ジェニファーのパーティと一緒に帝都に向かっていた。
ケインがいろいろと話してくれた。
おかげでジェニファーという人物の俺なりの映像が出来上がる。
完全な個人主義派だな。
また集団の中でも、与えられた任務はこなすタイプだ。
結論として、帝都のやり方に反目するような人物ではないと思われる。
今の環境に満足して、むしろ生き生きとしている感じだ。
アニム王にはそう報告しておこう。
後は、ケインのパーティの男たちがフレイアにまとわりついてうるさい程度だな。
フレイアがやけに俺にくっついてくるが、まぁいいだろう。
また、ケインの仲間たちが俺の刀:飛燕に興味を持ち、持たせてくれという。
・・・
俺はテーブルの上に置いてみたが、予想通りビクともしない。
ジェニファーでも、かろうじて動く程度だ。
それも5cmも動いてないだろう。
「な、なんだこの武器は・・」
「全く動かないんだが・・」
・・・
・・
ジェニファーも驚いていた。
俺専用の武器だと回答。
帝都にはドワーフのお店もあるので、相談すればいいと回答するとみんなで盛り上がっていた。
俺は少し眠くなってきたので、寝させてもらうことにする。
フレイアには悪いが人身御供になってもらおう。
少し席を外して、俺は横になる。
フレイアが恨めしそうな顔で俺を見ていた。
後が少し怖いな。
◇
<帝都ギルド>
城戸たちがギルドに帰って来ていた。
「城戸、やっと一つレベルが上がったな」
「あぁ、俺たちももうすぐAランクになるな」
「そうなると、いろんな面でハーレムだよな、ハハハ」
城戸たちは明るい声で会話していた。
ただ、城戸は少しもやもやした気持ちがある。
ギルドで聞いた情報だ。
どうやら町田が、帝都ギルドでは英雄になっているという。
あんな奴がか?
初めから気に入らなかった。
初めて会った時の印象、真面目で頭が良さそうだった。
何となくだが、俺が気勢を張っていなきゃいけない感じだった。
俺よりも女にもてるはずもない奴だが、組織内では上司受けがいい。
俺もきちんと仕事はしていたが、町田の方が受けがいい。
お茶入れとか雑用を真面目にこなす。
俺も一応やるが、やるだけだ。
ただの真面目バカだと思っていた。
その違いが評価につながっていたのだろう。
俺はそんなに一生懸命に雑用なんてやる気にもならない。
だが、すべてそつなくこなしていたと思う。
城戸は気づいていなかったが、所詮若者が上手にやっていることなんて、できた大人にはまるわかりだったのだろう。
城戸には、俺とは何かが違うとだけ感じていた。
・・・
何かが引っかかる。
わからない・・だが、ムカつく感じだ。
「・・城戸、どうしたんだ?」
城戸の仲間が聞く。
「あ、あぁ、いや何でもない。 さて、少し休憩してまた挑戦するか」
「そうだな」
「では、また明日の朝にこの場所で」
城戸がそう言うと、パーティの仲間たちは分かれていった。
城戸とエルフが残っている。
時間は14時頃。
エルフは城戸にべったりだ。
城戸はエルフに微笑むと、一緒に宿泊施設へと向かって行った。
エルフにはわかっていた。
タカシは戦いが終わると、いつも私を求めてくる。
これからお楽しみの時間だ。
他の連中もどこかに獲物を求めて行ったことだろう。
私はタカシに抱かれるだけで満足だ。
何も望まない。
◇
<城戸敬>
時間は16時半。
エルフを部屋に置き去りにして、街を歩いていた。
エルフは大満足で動くことができず熟睡中だ。
城戸は歩きながら考えている。
何で町田のことが引っかかるんだ?
あんなカスみたいな奴。
俺が気にすることなんてない。
なのになぜ頭に引っかかるんだ?
わからない。
城戸はギルドで町田の家の場所は調べていた。
町田は結婚して家族を持っているという。
城戸も家庭は持っていたが子供はいなかった。
それに、こんな世界になってすぐに住職なんてやめて飛び出した。
自分の妻も捨ててきた。
別に心が痛むこともない。
そのうちエルフなんて見たこともない美人を見つけて仲間にした。
自分の知っている連中とつるんでパーティを組み、レベルを上げていった。
順調だった。
すべて順調に行き、帝都というところにいろんなものがあるという情報を得る。
一度行ってみたいと思っていた。
来てみれば、町田と偶然出会う。
すると、これだ。
全く・・いったい何だというんだ、このモヤモヤしたものは。
何でこのタイミングで予想もしない奴と出会ったんだ?
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