135 これがオーガジェネラルか
フレイアが俺を見て言う。
「テツ、どうしたの?」
「うん、今の会話を少し聞いていたんだが、はっきりとわからないんだ。 武装ロイドとか何とか・・」
「そうね、そんなこと言ってたわね」
俺は目を大きくしてフレイアを見る。
「フレイア、聞こえたのか?」
「えぇ、もちろん」
マジか。
エルフは人間よりも聴力が高いのか?
それよりもその内容を聞いてみた。
「そうねぇ・・簡単に言えば、武装ロイドを発見したから見に行ってみようという話ね」
俺はその言葉を聞いて少し固まってしまった。
「・・フレイア、武装ロイドって、あの人が乗る兵器だよな?」
「えぇ」
「あんな役に立たないものがどうして残っているんだ?」
フレイアは微笑みながら答える。
「テツ、あの兵器は狂気の産物だけれども、レベルの低い人たちにとっては超人になったような感じを与えるのよ。 でも、その使われている魔核のレベルを超えることはできないけれどね」
フレイア、はっきり言うよな。
女の人って結構グサッとする言葉を平気で出す生き物なのか?
「そっかぁ・・見た目はカッコいいんだがなぁ」
俺は思わずつぶやいていた。
「フフ・・この星の人達はあの兵器が好きなのね」
「そうだなぁ・・ロボットってわかるかな? 人型の機械なんだが、それに搭乗して操縦するなんて俺たちの世界では夢のものだよ。 それにアンドロイドなんて人型のロボも開発されていたしな。 シリコンで人の型をはめ込めば、人と見分けがつかないレベルになっていたはずだが・・」
俺はそこまで言葉にして考え込んでしまった。
そうだよ。
自分だけのアンドロイドやロボ。
魔法があれば夢じゃない。
そうすれば、自分だけの激可愛いアンドロイドができるんじゃないか?
俺はフレイアを見つめる。
・・・
「どうしたのテツ?」
「い、いや、えっと・・考えていたんだ。 俺はたまたまフレイアのようなありえない美人に出会うことができた」
俺の言葉にフレイアの目が大きくなる。
「テ、テツ。 まだエルフをバカにして・・」
フレイアが席を立とうとする。
「ち、違うんだフレイア。 なんと言うか、男の欲望というか夢というか、自分好みの自分だけの理想の人・・それが魔法があれば手に入るんじゃないかなって思ってさ」
俺がそう言うとフレイアが汚いもの見るような、痛い子を見るような、そんな目で俺を見る。
「・・テツ、気持ち悪いわよ」
「い、いや、勘違いしないでくれよ。 俺にそういう趣味は・・ない」
俺は慌てて答える。
フレイアが怪しそうな目で俺を見る。
「テツ、今一瞬言葉に詰まったでしょ」
「だから、本当にそんな趣味はない・・はずだ」
俺はきちんと言い切ることができない。
この場所にココでもいれば、ギルティって言われるだろうな。
俺のどこかにそんな変な感情もないとはいえない。
いや、ない!
絶対ないはずだ。
しかし、理想の異性や好みのタイプが作れる。
俺の妄想は膨らむ一方だ。
俺たちがそんなバカな会話をしていると、いつの間にかあの若者たちはいなくなっていた。
◇
<ケインたち>
ボス部屋の扉が自分たちの後ろで閉まっていった。
「ケイン、ボスがいるのわかる?」
アンがつぶやく。
「い、いや、わからない。 だが、いい感じじゃないのは確かだ」
「アベル、ジョー、気を抜くなよ」
ケインが注意を促す。
「こんな雰囲気で気なんて抜けないよ」
ジョーがそう言った時だ。
「何かいるぞ!」
アベルが声を大きくして言う。
「バカ! 大きな声を出さないで!」
アンが注意したが遅かったようだ。
20メートルくらい先だろうか。
ゆっくりと大きな塊が盛り上がって行く。
どうやらオーガジェネラルが立ち上がったようだ。
パッ!
オーガジェネラルの上空に閃光弾のような光が輝く。
!!
「な、なんだあの化け物は・・これがオーガジェネラルか」
ケインがつぶやいていた。
ジェニファーが魔法を放ち、辺りを照らしていたようだ。
ケインはすぐにジェニファーの方を向き、うなずく。
「よし、これで敵が見えた。 行くぞ」
ケインが先頭になり、ゆっくりと近づいて行く。
オーガジェネラルがケインたちの方を向いた。
何やらニヤッと笑ったような気がする。
まずケインが攻撃を仕掛ける。
両腕で銃を構えて、最初から全力で撃つ。
バンバンバンババババン!!!
オーガジェネラルに着弾し、小さな爆発が発生する。
アンの大剣を赤い霧のようなモヤのようなものが覆っていた。
ジェニファーが魔法を付与したのだ。
「ジェニファー・・ありがとう」
ケインの攻撃はずっと続いていた。
アンがオーガジェネラルまで駆けてゆく。
!
で、でかい。
アンは近づいてみると驚いてしまった。
でも、もう少し近づかなければ攻撃ができない。
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