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128 ギルマス、いい人だな



ゲブは思っていた。

この男、本当に人間か?

人の域を完全に超えている。

俺の真のレベルも見えているのだろう。

そして、途中から動きに無駄がなくなった。


聞いていた話と、見て思った感じは妙なやつだ。

ひ弱そうな人間だが何かあるという感じを受けた。

キャシーが話しているときに見ていたが、ただの冒険者と言われれば誰もが納得する。

また、強いと言われればそうかもしれないとも感じる。

見た目は普通のどこにでもいる人間だ。

なのに妙なんだ。

だからこそ、こうやって手合わせをしてみたが、攻撃に殺意を込めるわけではない。

そして楽しんでいるわけでもない。

やはり妙だという言葉しか浮かばない。

ゲブはいろいろ考えながらテツに攻撃を繰り出していた。


当たらない。

お互いの攻撃がきれいにヒットすることはない。

ゲブの右腕がテツの顔面をスルーする。

その時にゲブの全身に警戒信号のような電撃が走る。

!!

テツがゲブの目の前に来ていた。

お腹の前辺りで上体を低くしている。

ゲブは反応できるはずもない。

右腕はまだ元の位置に戻っていない。

テツの右掌打がゲブのお腹にヒットする。

ゲブもかろうじて当たった瞬間に右掌打の突き抜ける方向へ飛んでいた。

「グッ! 危ねぇ・・」

ゲブはそう思って前を見る。

テツが自分にくっついて追い打ちをかけてきていた。



<テツ視点>


このギルドマスター、なんて反応だ。

俺の右掌打は確かに当たった。

だが、その衝撃が突き抜ける方向へ自分から飛んでいた。

大げさに飛ぶが、ダメージは与えられていないだろう。

俺は連続でゲブを追っていた。

左の回し蹴りをゲブに出す。

ゲブは右腕で俺の左回し蹴りを受け止める。

今度は飛んで躱せないようだ。

ドォーーーン!!

この室内全体の空気が震えるような衝撃波だ。

「キャ!」

キャシーが驚いて小さく声を上げる。


俺は左足を下ろすと同時に右掌打をゲブの胸辺りに繰り出していた。

ゲブは左手で俺の右掌打を受ける。

ドン!!

ゲブと一緒に20mくらい移動する。

俺の右手を掴みながらゲブが言葉を出す。

「くぅ・・テツ君、まいったよ。 まさかここまでとは・・」

ゲブはニヤッとしながら、俺の顔を見る。

どうやら手合わせは終了のようだ。

「ふぅ・・はい、ありがとうございます」

俺もそう言葉を出し、神光気しんこうきを解いた。

ゲブも光る身体から元に戻っていた。


俺たちはゆっくりと歩きながら、フレイアたちのところへ向かって行く。

途中、ゲブが話しかけてくる。

「テツ君、君は強すぎるね。 人間では考えれない強さだよ。 それに俺の右腕だが、痺れていて上がらないよ」

「あ、ギルドマスター、すみません。 俺も必死だったものですから」

「フッ、嘘だな。 君にはまだまだ余裕がある。 それにしても魔族の俺よりも強いとは、脅威だよ」

ゲブはそう微笑みながら話すが、実際は笑っていないようだ。

「そ、そうですか?」

「そうなんだ。 だがね、テツ君。 君の強さはあまり口外しない方がいいね。 生活する時には適当にバカをよそおっておく方がいいだろう」

ゲブが言ってくれる。


このゲブってギルマス、いい人なんだ。

俺は素直にそう思ってしまった。

俺たちがフレイアのところに近づいて行くと、キャシーが声を掛けてきた。

「いや~ギルドマスター、さすがですね。 最後にテツ様の攻撃を受けていたとは」

キャシーには俺の手を握っていたギルマスが見えたようだ。

「そうなんだよキャシー。 テツ君が強いものでね、俺もついついつられてしまったよ」

ギルマスがそう答えつつ、俺の背中を軽く叩く。

そして小声で俺に言う。

「テツ君、俺に適当に話を合わせてくれ」

キャシーが笑顔で話を続ける。

「それにしても、テツ様もギルドマスターも身体が光っていましたね。 何なのです、あれは?」

「キャシーちゃん、それを聞く? あれは俺のスキルなんだよ。 テツ君にしてもそうじゃないかな。 まぁ俺の場合、闘気というか気合を込めると光るんだ。 そして少しだけ攻撃力と防御力が上がるんだ。 テツ君も同じようなものだと思う」

ゲブが答えていた。

「なるほど、スキルなんですね。 私の知っている武装闘気などという神話のお話にあるものと同じかと思っていました」

「あぁ、それね。 よく似ているけど、魔法使いなんかでもバフをつけると光るだろ? あれと同じようなものだよ」

ゲブがそう説明すると、キャシーは納得していた。

「あぁ、なるほどぉ」

フレイアは横で微笑みながら話を聞いている。

俺に一言、お疲れ様と言葉をかけてくれた。

「ありがとう、フレイア」

俺も微笑みながら言葉を返すと、キャシーがチラっとこちらを見る。

「なるほど・・テツ様とフレイアさんはそういうご関係なのですね。 ごちそうさまです」

こらこらキャシー。

ギルドの受付って、こういった人材ばかりなのか?



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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