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122 わからないな



「間もなく出発いたします。 ドアが閉まります、ご注意ください」

飛行船のアナウンスが流れていた。

俺も気持ちを切り替えて窓から外を眺める。

地上まではすぐだろう。


<テツがいた地上の街>


時間は12時頃になっている。

「市長、しっかりしてください。 街の運営は問題なく行われております」

「あ、あぁ、そうか・・頼むよ」

市長は元気がなさそうにうつむいて答える。

実際、元気はなかったかもしれない。

市長は元気のない声で話す。

「ギルドマスター、確か帝都から使者がやってくるという話でしたね」

ギルドとつながった政務施設内で忙しそうに人が動いている。

「えぇ、そうです。 間もなく到着すると連絡は受けています」

ギルマスが答える。

「アポロ、あなたダンジョンの巡回に行くのでしょう、大丈夫?」

ココが心配そうに聞いていた。

「あ、そうだった。 忘れていたよココ」

アポロは急いでギルドを飛び出していく。

それと入れ替わりでギルドの受付の人が入ってきた。

「あの、帝都ギルドからの使者の方が来られてます」

その言葉を聞き、ココが市長の方を見る。

「市長、どうします? まず私が会ってお話してみましょうか?」

「あぁ、ココさん頼むよ」

ココの言葉に、何とも頼りない返事で市長は答える。

ココは別に嫌がるでもなく、受付と一緒に隣のギルドへ向かった。


ギルドの受付奥の部屋で帝都からの使者という人が待機していると言う。

ココが入って行く。

黒い髪と金色の髪をした2人が背を向けて座っていた。

「お待たせいたしました。 市長に先だって審議官の私がお話を伺いたく・・」

ココが話しながら近づいて行くと、どこか見たことある気がする。

使者の横を通過し顔を確認。

!!

「あー!! テツじゃない! 帝都からの使者って、あなただったの?」

ココは驚いているようだ。

「あぁ、よろしくココ」

俺は立ち上がってココに握手を求めた。

ココは握手をしてくれて、フレイアを見ている。

「フレイアよ、よろしくね審議官さん」

フレイアが微笑みながら挨拶をする。

「ココはフレイアと初めて会うんだっけ?」

俺は聞いてみた。

「う~ん、テツと一緒にいるのは見かけたことあるけど、こうやって話をするのは初めてだわね。 よろしくお願いします」

ココも挨拶を返していた。


俺たちは席につき、早速出て行った市議の話と今の状況を尋ねた。

ココが答える。

「ギルドも行政も何の問題もないのよ。 ただ市長がやる気をなくしていると言うか、元気がないのよね」

「そうか、なら問題ないな。 後、出て行った市議ってどんな人だったの?」

「そうね、仕事はよくできたわ。 指示した仕事は完璧にこなすし、問題もない。 ただ自分から何かを提案というのはなかったわね。 それは市長の方が多かったかしら」

俺はココの言葉を聞きながら考えていた。

ならなぜ街を出て行ったのだろうかと。

俺に言わせれば、アニム王国は最高の街だと思う。

まずお金に振り回される人はいないだろう。

自分の好きなことをして、十分な生活が送れる。

街の外などを冒険して生活になる。

病気や怪我もほとんどが回復する。

人が生きるという意味では、天国じゃないかと思う。

文明レベルも前よりも進んでいる感じがする。

何が不満なのだろうか。

不満がないからこそ、不満になったのだろうか。

わからない。


ココとフレイアがジッと俺を見つめていた。

「あぁ、すまない。 ちょっと考え込んでいたんだ。 何故その市議は出て行ったのだろうかって思ってね」

俺がそう言うとココもうなずく。

「そうなのよ。 そこがわからないわ」

「ココ、その市議の行き先はわかっているんだよね?」

俺が聞くとココは即答する。

「えぇ、きちんと行き先を告げて行ったわ。 嘘はついてないもの」

ココはそう言いながら、行き先を教えてくれる。

パネルボードを持ってきて何やら操作をしている。

・・・

・・

パッとパネルの上に街が立体的に浮かび上がり、街の情報が表示される。

浮かんでいる街に触れると、いろんな情報が表示される。

街の統治者は『ススム』と表示されていた。


なるほど、泉の街か。

市議は日本の旧来のシステムが忘れられないのだろうか。

俺はフトそんなことを思ってみた。

しかし、泉もまさか帝都に反旗をひるがえすことはないだろう。

どの街も帝都のシステムで動いている。

これ以上のシステムを構築できるのか?

・・・

俺は少し考えていたが、やはりよくわからない。

取りあえず今のところ問題もなさそうだが。

「ココ、取りあえず問題はなさそうだね。 アニム王にはススムの街には注意するように伝えておくよ。 ありがとう」

ココもうなずいて言う。

「えぇ、よろしくお願いするわね」

俺たちは席を立ち、ギルドの外へ出てみた。




最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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