11 最下層なのか?
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
感謝です。
「ルナさん、200メートルくらい向こうにバジリスクが4体います」
ルナはあくびをしている。
「そうか・・ふわぁ・・」
「ルナさん、俺が片づけてきます」
「うむ、頼むぞ」
ルナは軽く言うと、近くの岩場に腰を掛けた。
俺は一気に加速して、そのまま飛燕を抜刀。
ズバン!!
バジリスクが1体消滅。
なるほど、地上と同じだな。
そう思い次々にバジリスクを倒す。
3秒とかかっていないんじゃないか?
『経験値を獲得しました』
頭の中には天の声が響く。
俺は飛燕を丁寧に鞘に収めてルナの方へ歩いて行く。
ルナが座っている。
近づいて行くに従って思う。
やっぱりスゲー美人だよな。
あのルナJrはかわいい感じだったが、これだけ成長すれば完璧だ。
だが、おっさんには遠いな。
本体のルナさんはもっと落ち着いていて、艶めかしい美人だが、目の前のルナさんはピチピチしている。
ルナが俺を見上げながら立ち上がる。
「よいしょっと。 さて、行くかテツ。 ん? 何かワシの顔についているのか」
ルナが言う。
「いえ、何て言うのか、改めて美人だなぁと思ってしまいました」
俺は素直に言う。
おっさんになると、言葉が素直になるのかな。
それほど恥ずかしくもなく言える。
「そうか。 だが、あまり本気になるなよ。 お前にはフレイアも奥さんもいるのだろう」
「い、いえ・・そういうわけではありませんが・・あ!」
「なんだ?」
ルナが少し目を大きくして聞く。
「はい、ルナさん・・これどうぞ」
俺はそう言って、アイテムボックスからチーズケーキを取り出した。
そういえばいっぱい買っていたのを忘れていた。
おそらくボックス内はどこかの倉庫以上の食材が入っているはずだ。
それもスーパーエイトのスイーツは凄まじく入っていると思う。
暇な時に何度も何度も買いに行ったからな。
!!
「おぉ! テ、テツ! これは・・まさか!! くぅ~!!!」
ルナがそう言いながら俺に思いっきり飛びついてきた。
「テツ! 感謝するぞ。 これほどうれしいことはない」
俺の頬にキスをして、早速チーズケーキを食べ始める。
うまいな・・さすがだ・・などと言いながらすぐに食べ終わる。
そして、うるうるした目で俺を見つめる。
・・・
はい、わかっております。
「ルナさん、あまり食べ過ぎないでくださいよ。 無くなってしまったら食べられなくなりますからね」
俺はそう言って、ザッハトルテを出す。
まぁ、年単位を食べても無くなることはないだろう。
それほど仕入れていた。
「ぅくぅ~!! たまらんなぁ・・」
ルナはそう言いつつパクパクとザッハトルテを食べていた。
ボス、といってもバジリスクだったのだが、倒すと奥の扉が開いて下へ行く階段が現れていた。
俺たちはその階段をゆっくりと降りて行っている。
ルナもケーキを食べ終わったみたいだ。
次はないのか? などと言っていたが、全部無くなったら食べられなくなりますよと俺が重ねて言うと、しぶしぶ納得してくれた。
これって、朝三暮四、猿の餌付けじゃないのか?
まぁいい。
さて、27階層。
きれいな森の空間が広がっている。
太陽もないのに、光が差し込んでいる。
やはり地上のダンジョンとほとんど同じだな。
そう思いながら索敵をしようとすると、ルナが言う。
「テツ、ここも大した魔物はいないな」
そう言いながら、本当に雑魚ばかりだった。
ボスの扉の前に来る。
何の躊躇もなく扉を開けた。
開けると同時に俺は索敵をする。
ピピ・・。
ゴーレム:レベル31×2 トロウル:レベル29×4
確かに大したことはない。
だが、先程の冒険者の様子ではバジリスクを倒すのにもパーティを組んで挑むみたいだった。
普通はあんなものだろうか。
俺はアニム王とゼロのおかげでかなりレベルアップしたからな。
「テツ、ワシは甘いものを食べた後なので、あまり動きたくはないのだ。 頼むぞ」
ルナがあくびをしながら言う。
「はい、わかりました」
俺は軽くお辞儀をして魔物に向かう。
・・・
当然、瞬殺。
すぐにルナのところに戻ってくるとルナが言う。
「テツよ、お主は女性に対する優しさがないのか。 ワシをもっと休息させぬか。 食後、特に甘いものを食べた後は動きたくはないのだぞ」
ルナが笑いながら言う。
「す、すみません。 あ、それなら俺がおんぶして行きましょうか?」
俺がそういうと、ルナは少し考えていたようだが、頼むぞと言って本当に背負っていくことになった。
しかし、役得。
大きくなったルナのボリュームは半端ない。
シルビアほどではないが、心地よい。
ごっつぁんです!
俺は次の階層もゆっくりと歩いてゆき、ボスの扉を開けてルナを横にそっと置く。
そんなことを繰り返して、何の問題もなくギルドで言われている最下層、40階層に来ていた。
雑魚キャラというか、フロアに現れる魔物に結構高レベルの魔物がいる。
とはいっても、今まで既知の魔物ばかりだ。
やはりこの世界は、アニム王の居た世界と同系統なのだろうと俺は考えていた。
最下層のフロアにはミノタウロス:レベル38などの魔物がいる。
レベルが高いと、それほど数が存在できないのだろうか。
ミノタウロスが5体、それにキマイラ:レベル39×2がこのフロアにいる。
普通、これは詰むだろうと思う。
ボス級の魔物がフロアでウロウロしているのだから、そりゃレベルがなきゃダメだろう。
だが、俺的には問題ない。
それにルナさんもいるが、あまり頼ってはいけないだろう。
何せ、本体の1/10程度のものだと言っていたからな。
とはいえ、今はかなり成長しているのだが、いったいどれくらいのレベルなのかはわからない。
まぁ何にせよ、このくらいの魔物なら問題ない。
俺は飛燕を抜き、魔法を纏わせる。
飛燕が蒼く輝きながら、光が広がっていく。
電柱くらいの長さくらいまで光が広がると、一気に俺はミノタウロスに向かった。
フィールドでは、稲妻のように蒼い光が走る。
討伐を終え、俺がルナのところへ帰って来ると、ルナはスヤスヤと小さな寝息を立てながら眠っていた。
ほんとにこの人は・・寝顔は凛のようだな。
身体は成長しても、中身は1/10のままなのかな?
なんて俺が思っていると、ルナが目を開ける。
「・・う、う~ん・・。 終わったのか、テツ」
「はい」
俺は微笑みながらうなずく。
「そうか。 では、行くか」
ルナはそう言うと立ち上がり、ボスの扉へ向かって俺たちは歩いて行った。
ボスの扉は今までのものと同じ感じだ。
本当に最後なのか?
俺は疑いつつも、扉を開けてみる。
ゆっくりと扉が開いていく。
ん?
冷気?
扉の中の温度がかなり低いようだ。
「寒いな・・」
俺はそうつぶやきながら、ルナの方を見て聞く。
「ルナさん、寒くないのですか?」
「いや、問題ないぞ。 それよりもテツは寒そうだな」
「はい・・」
俺はそう答えつつ、ミランからもらったコートを取り出して身体に纏う。
これで安心だ。
さて、この冷気・・何がいるのか?
俺は索敵してみる。
ピピ・・。
魔物が1体だけひっかかる。
フェンリル:レベル43。
普通ならビビるんじゃないか?
俺が犬か・・と思っていると、ルナがつぶやく。
「なんだ、犬がいるのか」
コォォォ・・・ワァオォォォォン!!!
狼の遠吠えが聞こえる。
「よし、ワシが躾けてやろう」
ルナがそう言うと前に行こうとする。
「ルナさん、俺がやりますよ。 ルナさんは本体の1/10なんでしょ? もし傷でもついたら嫌ですよ」
俺がそういうと、ルナがニヤッとする。
「テツよ、お主はかわいいのぉ。 では、頼むか」
「はい」
俺はそう返事をして、シルバーを取り出した。
魔弾はフレアを装填。
他にいくつか魔弾が入っているようだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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