107 第二夫人?
「テツ、本当に心配したんだからね」
!!
ビ、ビンゴ!
な、なんだこの胸に刺さる感覚は?
くぅ・・いいね。
「うん、ごめんフレイア、そしてありがとう」
俺の言葉にフレイアがうなずく。
フレイアがハーブティでもどう? というので、遠慮なくいただくことにした。
・・・
・・
カフェに入り、転移先でのことをいろいろと話してみた。
どうやらアニム王の世界の住人たちらしいということ。
向こうでの時間の流れはこちらと違うこと。
それにルナさんの分身体のおかげで、とても助かったことなどなど。
ただ、ライフドレインのことは言わない方がいいだろうと思っていたが、ついつい口が滑ってしまった。
突然、フレイアの態度が変わる。
「テツ、口移しってどういうこと? ルナ様のライフドレイン?」
「い、いや、違うんだ、いや違わないか。 とにかく、他の人には言わないでくれよ。 不安を大きくしたくない」
俺は慌てて言葉をつなぐがまとまらない。
「そんなことはどうでもいいのよ。 別に人に言ったりしないわよ。 そんな生命エネルギーを吸収したなんて話が独り歩きしたら怖いわ。 でもライフドレインって手で行ったりするものだと思っていたわ。 それがまさか口移しでするなんて・・」
フレイアはそこまで言うと、髪が逆立つんじゃないかという感じだった。
「テ、テツ・・そりゃ私はまだまだあなたに正式に認めてもらってないわよ。 でもきっと私を第二夫人にしてくれると思っていたわ。 それがこんな軽い男だなんて・・」
「え? フレイア、第二夫人ってどういうこと?」
俺は反対に冷静になった。
フレイアがハッとした感じで顔と耳を真っ赤にしていた。
俺と目が合うと、いきなりグーパンが飛んで来た。
ドゴン!
遠慮なく俺の顔面に当たる!
結構痛いぞ。
「フ、フレイア! いったい何を・・」
続いてフレイアの第2撃が飛んできた。
俺は慌ててその攻撃をかわし、フレイアのカフェを飛び出す。
危ねぇ。
「フレイア、また後でな。 俺は凛たちのところへ顔を出してくるよ」
俺は急いでフレイアのカフェを後にした。
「まったく、テツったら何てこと言わせるのよ」
フレイアは腕を組んでテツの後姿を見送っていた。
それにしても無事に帰って来て良かった。
たった2日ほど、ううん3日かな。
アニムは大丈夫って言ったし私も平気な感じだったけど、テツを見るとたまらなく切なくなってしまったわ。
とにかくお帰りなさい、テツ。
◇
<嫁の家の前>
俺は嫁の家の前で立ち止まっている。
ドアをノックすることもしていない。
フレイアの言葉が引っかかっていた。
第二夫人?
なんだそれ?
時間は7時半くらいになっている。
とにかく呼び鈴を押してみた。
「はーい」
凛の声だ。
すぐにドアが開く。
「あ、おはようパパ」
凛の笑顔が飛び込んできた。
「おはよう、凛。 ちょっと入らせてもらうよ」
俺はそういって家の中に入る。
凛がトコトコと進む後をついて行く。
リビングへ入って行った。
嫁たちは朝ご飯を食べている。
「あらテツさん、おはようございます」
お義母さんがお辞儀をしながら挨拶をしてくる。
「おはようございます、お義母さん」
俺も挨拶を返すが、嫁は黙ってパンを食べていた。
お義母さんはもうこの家の一員のような感じになっているな。
パタパタとバーンが飛んできて俺の前に着地。
「神様、お帰りなさいませ」
・・・
こいつ、いつも変な呼び方するよな。
「颯、バーンって俺のこといつも神様って言うぞ。 どうにかならないか?」
俺は颯に言ってみる。
颯は食べているパンを飲み込むと俺に言う。
「テツ、前にバーンに聞いたのだけど、龍神の雰囲気があると自分たちの上位に位置するんだって。 だから神様って言っているようだよ。 気にしないで」
「そ、そうか。 でもなぁ、神様、神様って、俺神様じゃないぞ。 テツって呼んでくれって言っておいてくれ」
俺はそう颯に言ってみたが、多分ダメだろうな。
嫁は俺たちの会話をよそにひたすら食べていた。
すると、俺の方を見て言う。
「パパさん、ちょっと話があるんだけど・・」
そう言ってお義母さんに少し頼むわねと伝えていた。
嫁が席を立ち、俺を連れて家の外へ出る。
一体何だ?
俺をジッと見て嫁が言う。
「パパさん、レアって変な話し方をする人がいるでしょ?」
俺は少し驚いたが答える。
「あぁ、あのお姫様な。 知っているよ」
「ふぅん、そうなんだ。 じゃあ、その人が第二夫人になるって言ってるのも知ってるの?」
「は?」
俺は驚いてしまった。
全く知らないぞ。
俺は少し固まってしまった。
嫁は俺を見ている。
「第二夫人? いったい何の話だ? 俺には全くわからないが・・」
俺がそこまで言うと、嫁が言葉を被せてくる。
「私もいきなり変なこと言われたから驚いのだけれど、本当に愛人みたいな人作る気があるのか聞いてみたかったのよ。 どうなの?」
嫁が俺を見つめる。
う~ん・・俺は腕を組んで少し考えていた。
それでフレイアが変なことを言っていたんだな。
確かにハーレムも望めば夢じゃない世界になっているだろう。
だが、俺の価値観はそんなところにはないと思う。
俺が少し考えていると、
「そこは考えるところかしら?」
嫁がつぶやくのが聞こえる。
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