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102 ストーンサークル



俺はゆっくりと椅子を起こすと辺りを見る。

ルナたちも椅子でくつろいでいた。

神官たちは相変わらず忙しそうにウロウロしている。

間もなく、神官たちが集まっているのが見えた。

一人が近寄って来て到着することを伝えてくれる。

そうか、この世界ともお別れだ。

長かったような短かったような感じがする。

だが、結局何もしなかったといえばそれまでだ。

ほとんどルナが動いてくれたからな。

・・・

いや、ルナは俺からエネルギーを吸ってばかりいたぞ。

そう思ってルナを見ると、ヘルヘイムたちに見守られながら寝ている。


どうやら到着したようだ。

輸送車の入り口が縦長の楕円形に開く。

俺はルナの所へ行き、ルナを起こす。

・・・

起きないな。

ヘルヘイムとヴァヴェルも困った顔をしている。

俺はルナを背負い、輸送車の外へ出た。

いつもの移動スタイルだな。

外は街の中ではなかった。

来たときにいたストーンサークルのところだった。

なるほど、街などで余計な刺激を与えてはいけないとドレイクが考えたのだろう。

ん?

そのストーンサークルのところから一人の女の人がこちらに歩いて来る。

近くまで来ると、みんなに丁寧に挨拶をしていた。

見たことあるぞ。

俺はそう思いながら見ていた。

ただ、歩いて来る時に揺れる胸。

俺は目で追っていた。

・・・

!!

思い出した。

スノトラだ!

俺たちが初めに来たときに、神殿に案内してくれた子だ。

でもあの子って、あれだけ胸がしっかりとしてたっけ?

いや、それはどうでもいい。

形がよく、たわわに揺れているのがたまらない。

俺的にはホームランだ。

!!

一瞬、俺は違う世界に行っていたようだ。

ハッとして周りを見る。

スノトラがみんなに挨拶し終えると、俺の方に向き直る。


「神殿騎士様、お帰りなさいませ。 まさか本当に光の巫女様を見つけてくださるとは思ってもみませんでした。 ありがとうございます」

スノトラがそういって頭を下げる。

「え、あぁ、そうでしたね。 いえいえ、どういたしまして」

俺も適当に答える。

「神殿騎士様がこちらに来られると連絡をいただき、お迎えにあがるように言われておりましたので、お待ちいたしておりました」

スノトラは言う。

そうか、この子は何も聞かされていないんだ。

まぁ、それはそれでいいだろう。

俺はそう思いながら、スノトラに礼を言った。

「そうですか、ありがとう」

俺が答えると、耳元でルナが言う。

「テツよ、お主あの女が歩いて来る時に妙な気配がしたな。 それで目が覚めたぞ」

ルナがそう言いながら俺の背中から降りた。

なるほど・・スノトラの胸を見ていた時だな。

俺の意識が完全に集中していたからな。

それをルナは感じたのだろう。

これが俺の弱点なのか?

隙だらけだろうな。

しかし、このチラリズムというか、見ようとして見ているわけではない。

ただ、目に入ってきたら注目してしまう。

何か、俺の深いところに回答があるのだろうが探るのもしんどいしな。

それはいい。


ルナが起きたのをみて、ヘルヘイムとヴァヴェルがホッとしたような顔で微笑む。

どうやら寝たままのルナを見送るのかと思っていたらしい。

神官たちはストーンサークルをいろいろと見て回っていた。

ルナがそんな連中など気にすることもなく、俺の背中から降りストーンサークルの中へ入って行く。

ルナは、ゆっくりとその円形上の石の並びを見ながら歩いている。

しばらく歩いて、ある地点で止まる。

「テツよ、ここが中心だな」

ルナがそういうと、ストーンサークルのド真ん中ではなく少しずれた位置に立っていた。

ヘルヘイムとヴァヴェルがゆっくりとルナのところへ歩いて来る。

神官たちも同じように近寄って行った。

ルナが俺の方を向いて言う。

「では、行くか。 シュークリームが待っている」

え?

早速ですか?

この人たちはもういいのですか?

でもどうやって行くのですか?

・・・

俺の頭の中では忙しくいろんな言葉が浮かぶ。


ヘルヘイムとヴァヴェルも少し戸惑っていたようだ。

神官たちはお互いの顔を見合わせている。

「ル、ルナ様・・もう行かれるのですか?」

ヘルヘイムが言う。

「うむ。 もはや用はないだろう。 それに、お互いに条件が揃えば行き来はできるはずだ。 世話になったな」

あっさりとルナは告げる。

ヘルヘイムとヴァヴェルは言葉がないようだ。

「ル、ルナさん、いきなりですね。 それよりもどうやって戻るのですか?」

俺は聞いてみた。

「テツよ、ワシらは異分子なのだ。 このサークルは特殊な魔法陣のようなものだ。 異分子が入れば排除しようと働く。 それに我らの魔素が媒体となって元の世界に運んでくれる。 そういう装置だと思えばいい」

ルナがサクッと説明。


わかったような、わからないような。

とにかく、その場所に俺たちが立てばいいようだ。

俺はヘルヘイムやヴァヴェルたちに挨拶をした。

「ヘルヘイムさん、ヴァヴェルさん、本当にお世話になりました。 また会う機会があれば、よろしくお願いします」

普通の挨拶になったな。

「テツ殿、クイーン・・いえ、ゼロ様によろしくお伝えください」

ヴァヴェルが言う。

「ルナ様、お会い出来て本当に良かったです。 また次にお会いするまでご壮健で」

ヘルヘイムがそう言うと、神官たちも俺に頭を下げていた。

なるほど、これはもう行くしかないな。

俺はそう思い、ルナの横に移動する。

結局、ヴァヴェルについて来ていた青い髪の人とは会話する機会はなかったな。

ヘルヘイムの執事長もほとんどしゃべらなかったし。

ま、いっか。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


これからもよろしくお願いします。


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