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10 階層ボス

ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

感謝です。



「そっか・・じゃあ、少し転がせばいいんだな」

俺の言葉に若い連中は一瞬戸惑ったような顔をして見合わせる。

すぐに自分たちがバカにされたことに気づいたようだ。

「「な、なんだとてめぇ!!」」

「あの女はちょっとわからねぇが、お前みたいなヒョロイおっさん、すぐに黙らせてやるよ。 まぁ最悪死ぬかもしれねぇがな」

「あぁ、俺たち紅蓮の翼の7番隊だ。 なめるんじゃねぇぞ」

・・・

若者たちはかなり頭に血が上っているようだ。

さて、俺もあまり怪我をさせないようにしないとな。

そう思って、相手を見つめる。

男たちは4人で俺を囲むように広がって行く。

ルナはあくびをしながら俺と一緒に見ている。

「ルナさん、手を出さないように。 でないと、死んでしまいますから」

「あぁ、わかっている。 テツ、終わったら言ってくれ」

ルナはそう言うと、魔法でパッと椅子を作ってくつろいでしまった。


若い男たちは覗き込むように見たが、すぐに俺に向き直る。

「や、やろう・・変な魔術を使いやがって・・」

「あれって、土魔法だよな。 あの女って魔術師だったのか?」

「いや、それよりもあのヒョロイおっさんをサッサと片づけよう」

そんな言葉を聞きながら、俺は待っていた。

若い連中の1人が魔法を使う。


全員に何やら補助魔法をかけたようだ。

「これで、全員の防御力と攻撃力が向上したはずだ。 殺すなよ」

「ありがたい」

「よし、行くぞ!」

そう言って、俺に向かってくる。

剣で斬りかかって来るもの。

バックステップして、銃を構えるもの。

俺は少し驚いた。

弓じゃなく、銃なんだ。

魔法を詠唱しているものもいた。

補助魔法をかけた奴は、また何やら詠唱しているようだ。


さて、俺に向かってまず弾丸が飛んでくる。

連続で3発飛んでくる。

・・・

感想、のろすぎる。

俺は前へ出て、弾をかわし、銃を撃っていた奴のところまでダッシュ。

そのまま、軽くボディを殴る。

言葉を発することもなく悶絶。

次に剣を抜こうとしていた奴に向かって移動、同じようにボディブロー。

悶絶。

魔法を詠唱している奴のところへ移動。

こちらも軽くボディブロー。

悶絶。

補助魔法を詠唱している奴の前に来た。


おそらくここまでの俺の動きは見えていないだろう。

相手にしてみれば、まばたきくらいの時間のはずだ。

補助魔法を詠唱している奴の動きが止まる。

!!

「う、うわぁ!」

いきなり目の前に現れた感じだったのだろう。

「おい、みんな眠っているぞ」

俺はそう言って、補助魔法を詠唱している奴の肩に軽く触れた。

ポンと手を置くと、ビクッと大きく身体が震える。

見ていると、そのまま倒れた。

気絶したようだ。

・・・

アホだな、こいつら。


腕を失ったやつの所へゆっくりと歩いて行く。

「く、来るなぁ!!」

いやいや、何もしないし回復魔法かけてやっただろう。

俺は腕を失ったやつの前に行き、しゃがむ。

同じ目線の高さになり、話す。

「仲間は死んではいない。 軽くボディを撫でた程度だ。 しばらくすれば目を覚ますだろう。 後は世話してやれ。 それにお前も回復させてもらえよ」

俺はそう言ってルナの所へ戻る。

「ルナさん、行きますか」

「終わったか」

「はい」

俺は微笑み返事をする。


そのまま俺たちはダンジョンへと向かった。

回復魔法をかけてやったやつは、しばらくの間俺たちの背中を見ていたようだ。


ダンジョンに到着。

ダンジョンの入口は帝都と同じように警備員が常駐していた。

警備員に話を聞く。

・・・・

・・・

なるほど、全くもって地上と同じようなシステムだ。

取りあえず、自力で階層を進まなければならない。

進んだ階層は、次に入るときにその階層まで飛ばしてくれる。

だが、帰って来る時は地道に帰って来なければならないという。

同じだな。

さて、俺たちが入ろうとすると、警備員が一応教えてくれる。

「今、ダンジョン内では本格的な攻略組が3パーティいます。 どれもA級冒険者です。 くれぐれも攻略の邪魔をしないようにお願いします」

ルナは軽く片手を挙げて入って行く。

「わかりました。 ありがとうございます」

俺もそう返事をしてルナの後を追う。

ルナさん、マイペースだよな。


ルナが1階層を歩いて行く。

「おぉ、なかなかいい雰囲気ではないか」

ニコニコしながら歩く。

敵は、ピピ・・ゴブリン:レベル3×5

俺は言葉を失う。


レベル3っていったいどれくらいのレベルなんだ?

地上と同じくらいなら、全く問題ないのだが。

そう考えていると、俺の足に何かひっかかった。

ゴブリンがうずくまっていた。

そして、俺の方を見たかと思うと、パァ・・とはじけて消滅。

『経験値を獲得しました』

例によって天の声が頭の中に聞こえた。


は?

俺、歩いていただけですけど・・。

それにゴブリンはなぜうずくまっていたのだろう?

「おや、テツよ、ゴブリンに触れたのか。 あ奴等はワシのことをどうやら感じ取っているらしいな」

!!

なるほど。

ルナはヴァンパイアだ。

他の魔物なら近寄るはずもない。

それでうずくまって隠れていたのか。

けど、触れただけで消滅したぞ。

それほど脆かったっけ?

俺はなんか変に申し訳ない感じがした。


それからしばらくはルナと何事もなく歩いて行く。

どうしても下の階層に行くところで、レイドボスなんかがいると、それは倒さなければいけない。

ただ、倒すといっても触れるだけで消える。

飛燕を出すまでもない。

ルナの歩くペースも変わらず、スタスタと歩いて行く。

途中でいろんなパーティと出会うが、みんな疲労して休息しているものが多い。

積極的に攻めている連中にはまだ会っていない。

15階層に来た。


冒険者が情報をくれたりする。

何でもこの階層のボスはガーゴイルらしい。

レベル18くらいで超音波などを出し、なかなかやっかいな敵だという。

・・・

マジですか?

ボスとの戦闘は、ボス部屋がある。

これは地上のボスとは違うところだな。

俺はそんなことを思いながら聞いていた。


冒険者にお礼と回復薬を少し提供し、俺たちは移動する。

冒険者が回復薬を見て驚いていた。

これは高級回復薬みたいだとか何とか。

フレイアにもらったものだったのだが、そんなに凄いものだったのか。

こちらが驚いた。


さて、俺は移動しながら考えていた。

ボス部屋に入ると、入り口が閉じられる。

中からは開かない。

ボスを攻略すると次のエリアへの通路が開かれる。

詰めば終わりだ。

そりゃそうだ。

ただ、グループが入り扉が閉じられると、すぐに扉から入って行けるそうだ。

同じレベルの個体が現れるそうだが、前の攻略者とは違う空間で戦うらしい。

これは便利なシステムだが、ある意味、完全に攻略できなければ怖いなとも思った。

道理で、なかなか攻略が進まないわけだ。

リスクが高すぎる。

入ったら、ボスを倒すか死ぬしかない。

・・・

・・

かなりリスクのあるダンジョンだな。

とはいえ、今までの階層では問題にもならなかったが。


俺たちは、ダンジョン26階層に来ていた。

数名の冒険者がいる。

2~3組くらいのパーティだろうか。

休憩しているのか、誰かを待っているのかわからないが、ボスの扉の前で待機していた。

俺たちが挨拶をすると、笑顔で返してくれる。

いろいろ他愛ない話をした。

冒険者にお礼を言って、俺とルナとでボスの部屋に入ろうとすると、冒険者が声をかける。

「あんたら、まさか二人だけでこのボスに挑むつもりか?」

冒険者はとても心配そうな顔で俺たちを見る。

「はい、そのつもりです」

俺は普通に答えた。

冒険者たちが顔を見合わせて言う。

「やめておいた方がいい。 ここのボスはおそらくバジリスクがいるんだ。 俺たちも入ったことがないので、仲間が追いついて来るまで待っているのだが、もし良ければ俺たちと一緒に攻略した方がリスクが減るというものだ。 どうだろうか?」


俺は冒険者にお礼を言って答える。

「ありがとうございます。 ですが我々は時間もあまりないので、行かせてもらいます。 それに私よりも彼女が強いので、何とかなるでしょう?」

俺がそう言うと、冒険者が驚いたような表情をしていた。

「ま、まぁ、個人の自由だが、一応は冒険者仲間だ。 忠告くらいはさせてもらおうと思ったまでだ」

「本当にありがとうございます。 バジリスクって、あの石化させるトカゲのような堅い魔物ですよね?」

俺がそういうと、冒険者はかなり驚いていた。

「あ、あぁそうだが、君は見たことがあるのか?」

「えぇ、何度か・・ま、何とかなりますよ、ありがとうございました」

俺はそう言ってルナと一緒にボス部屋の扉をくぐる。



ボス部屋の扉が閉まると、忠告をした冒険者たちが話し合っていた。

「あの連中・・ちょっとくらい強いからって無茶し過ぎじゃないの?」

「あぁ、俺もそう思うよ」

「でも、あの黒髪の女の人はスゲー美人だったよな」

「ほんと、ほんと・・あんな美人みたことないな」

「全く、男ってちょっときれいな女の人を見たらすぐにこれだから・・」

「いや、ちょっとくらいの美人じゃなかったぞ」

「・・それにしても、気の毒にな・・」

・・・・

・・

最後に誰かがそう言うと、みんな静かになり扉を見つめていた。



ボスの扉の中。

俺とルナが立っている。

俺が索敵。

ピピピ・・・。

バジリスク:レベル29、30、31×2。

4体のバジリスクがいる。

のっしのっしと歩いてきた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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