Episode.2 誓い
魔法によって私とお父様は城の前に転移した。
「とりあえずなんとかなってよかったぁ。」
ふぅ、と息を付く。
「さて、カノンよ。どういう事か説明してもらおうか?」
「あっ……。」
禍々しいオーラを放っているお父様。
どうやらかなり御冠の様子。
「なぜ、勇者とともにいたのだ?敵であろう?」
「わたしは、あの人をっ……。」
言うべきか迷う。このまま言わずに事が終わるのを待つ方がよいのではないかと、考えてしまう。
だけど、
「あの人を……お慕いしているんですっ!」
「……。」
我慢出来なかった。この気持ちに嘘はつけなかった。
それを聞いたお父様は黙って何かを考えていた。
「……それならば、あやつが本当にお前を娶るに相応しいか吟味しようではないか。」
「えっ……?」
「吟味すると言ってるおるのだ。我は強いものや誠実なものであれば、お前を嫁にやることも吝かではないのだ。そうだな……単純なものとしよう。」
そう言ってお父様は頷いている。
「一体なにをなさるおつもりですか?」
「至極単純なものだ。時期にやつはここに来るであろう。その時に我を見事打ち倒した際には、奴を迎え入れよう。しかし、我も本気だ。奴を殺すことに躊躇などせんぞ?それでもよいか?」
私は考えた。そして、
「……いいでしょう。」
私はアラタさんを信じるっ。
あの人ならきっと、お父様を越えられる、と。
「よし。では、待つとするか。配慮として、この城の我の部屋までは邪魔をさせないようにしてやろう。それでこそ全力で戦えるというもの。」
魔の王、でありながらお父様は正々堂々というのを好む。
悪の限りを尽くす、という人ではなく魔族全体を考えて、誰に対しても親身になって考えることの出来る王だ。
「さて、我も準備するか。……カノン、お前は囚われの街の少女ということでいいな?」
「はい。そうして頂けると助かります。」
「承知した。」
そう言って二人は城の中に入っていった。
更新頻度は不定期になると思いますが、最初のうちはガンガン更新していきたいと思います。